お城に来ました
僕達は魔物を倒してギルドの依頼、東の大森林の討伐依頼の報告をしている。連日来ているので、もう馴染みの冒険者のように接してくれている。
「今日の討伐の報酬を支払います。1人銀貨3枚と大銅貨7枚です」
ギルドのお姉さんは今日のと言っている、僕達が連日来ているからだ。
報告が終わると宿に戻って来た、料理長はこれから皆の料理を作らないといけないのだ。
頑張ってくれている皆に美味しい料理を特別に作ってあげよう。慣れているレシピだけど丁寧に下ごしらえをするのを忘れない。一番大事なのは忘れない事、同じ繰り返しでも初心者の時のような心構えで調理する事だ。問題は遊び心を取り入れた料理か、味だけを追求した料理か迷ってしまいぶれてしまう事だ。
「魔物が減ってきたな、美味しいビールが掛かっていないと本気がでない」
「その数で少ないんですか?」
「ベルンさん、最初の日は200体だったんだ、ユーリがくれた報酬が嬉しかった」
「そうね、だんだん減ってきたわね」
今日はビーフシチューにした。ワインを使ったビーフシチューは特別に美味しく感じる。新鮮なオーク肉が毎日入ってきているけど、ワインは高価なのでロードさんがお祭りがあると知って喜んでいる今しか作る機会がない。
雑談しいる皆の前に出来た量を置いていく。
今日のメニューは、ビーフシチュー、スープ、サラダ、パンだ。
「ユーリ、シーラさんからの呼び出しなんだって、心当たりはあるのかい?」
ロードさんに聞かれたけど、最近は会っていないので、何の用なのか分からない。
「さあ、貴族様ですから、僕には分かりませんよ」
「そうだよな」
貴族様の考える事、習慣など色々分からない事だらけだ、美味しい料理を喜んで食べる事はみんな同じだけど、それ以外はさっぱりだな。
「ロードさん達はお祭りの間は、どうされるんでしょうか?」
「商品を売るために露天を出して販売するつもりだ」
「大変ですね、お祭りなのに働かなくちゃいけないなんて」
お祭りか、ロードさん達も大変だな。レイさん達は買い食いでもして見て回るだろう。
「ユーリ、ごちそうさま」
「美味しかったです」
アメリアさんとミアちゃんは部屋に帰るようだ。
僕もシーラさんに会わないといけないので、明日の為に早く寝よう。
「ご馳走様でした、もう寝ます」
「ユーリ、ありがとう」
「ご馳走様」
アメリアさん達に続いて僕も部屋に戻った。
「ドーン」
豪華な扉を豪快に開けた。
僕の後ろからは、お城の騎士団の皆さんが付いて来る。
手には剣を持っていて、これから起こる戦闘に緊張しているのか手が震えている。
「やっとたどり着いたぞ、どうなっているんだこの城は迷路の様になっていた、ここまでたどり着くのが大変だった」
「ユーリ殿、着きましたね」
「そうだ、悪政を敷く国王め、遂にここまで来たぞ、今日こそはその成敗してくれる」
悪政を敷く国王に最初で最後の指を突き付けた。
「ほう~、その方がシーラが言っていた小僧か、いい事をしているように見せかけて民衆を先導してこの国に攻め込んで来たのは」
国王様の周りには親衛隊がいる、このままでは大混乱のなか逃げられてしまう。
「武に長けた国王と聞くが大したことがなさそうだ」
おお、国王が腰の剣を抜いたぞ、やる気なんだな。
「黙れ、平民。名刀ガーベラのサビにしてくれる」
「攻めるぞ、これで終わる~」
名刀かそんな物なくても伝説がある。
「僕に続け~」
豪華な扉の開けた場所から一歩も前に出れなかったけど、前に進もう。
「ユーリ、満足した?」
「うん、満足した。ゴホゴホ、持病の咳が出るな。シーラさん、今日は帰ります」
豪華な扉まで戻れない、誰だぼくの襟を掴むのは、久しぶりだな。
王座の国王様は笑顔だ、この切羽詰まった状態なのに。
「シーラ、面白い少年だな。今のでいいのか?」
「はい、お兄様・・・・国王様。満足したようです」
「満足したので帰りたいと思います」
何故放してくれないんだ、もう僕は用がないのに。
「お願いを聞いたんだから、今度はユーリの番よ」
「ユーリか、しかし、ユーデットに似ているな」
「似てませんよ、僕は国王様の討伐なんか考えませんよ」
「でも、ユーリお兄様のお芝居て言うんですよね、面白かったです」
僕の知っている貴族の王族の皆さんが勢揃いしている。それも騎士団の皆さん全員と王族の皆さんの従者の皆さんも全員がこの部屋にいる。
「素晴らしかったです、国王様」
「おお、ぞうだ、賊をこれから打ち取るところが迫力がありました」
「よく分かりませんが、民衆の代表の子供が楽しそうでした」
まあ、楽しかった、一度はしてみたいランキング1位が経験出来た。
「国王様は去年無駄遣いをしたのよ、それを内緒にしていた。問い詰めると去年の今頃にオーク肉を沢山買ったのよ」
「シーラ、それは何度も話しだろう。お城のみんなにオーク肉を振る舞ってあげたいと思ったんだよ」
「でも、お兄様はオーク肉を買いすぎましたわ。私達姉妹が来た時にオーク肉をお出しにならなかった」
「出さなかったのは悪いけど、俺だって」
まずい、このままでは。
「ここに居る者たちよ、偽ユーデットが命じる王族の皆さんと公爵様以外は速やかに仕事に戻るように、従者の皆さんは残るように、騎士団長、ご命令を」
「おお、そうだな、騎士団は仕事に戻るように」
「「「「「「「は~」」」」」」」
「貴族のみんなも退室して下さい」
何とか国王様達の子供の喧嘩が見られなくで良かった。
僕も出ていこう・・・・出ていこう。
「ユーリ、ありがとう。でもここに居てね」
また掴んでいるんだな、諦めよう。
「そうですよね」
王家の皆さんと従者の皆さんだけになった。
関係者以外の皆さんが居なくなると先程の続きが始まった。
「シーラ達にオーク肉の料理を振る舞ってあげなかったのは悪いと思う、しかし、あんなに買うはずではなかったんだ。聞いた話だと外出許可書を持った少年が徹夜でオーク肉を何度も持ち込んだらしいのだ、途中で止めなければそのまま続いただろうと門番が言っていた」
そんな事が合ったのか・・・・僕の事だよな。そう残念でならない、何処に持っていっても良かったが、討伐したオークが多くて全てを街に持ち帰る事が出来なかった。騎士団にあげたいぐらいだった。倒したのは騎士団だったし。
「そんな事情が合っても、買い過ぎはいけません。それに反省もしていません」
「いいではないか、お城のみんなも食べたんだから」
この争いの先に何があるんだ。見守っているアイシャさんと公爵様は聞いているだけだ。
僕は、ユーデット様と似ているから呼ばれたのか、妹達が手を振っているので、僕も振ろう。
「食べた話ではありません、買った話です」
「シーラ、言い争っても仕方ありませんよ。やはりあの話を勧めた方がいいのではありませんか?」
「そうだ、シーラ決着をつけよう」
「そうですね、その方がお兄様も納得するでしょう」
ユーデット様達は面白そうに笑っている。公爵様も笑っている、その隣の男性も笑っている。皆が笑っている。
その皆の視線が僕に?後ろを見ても誰もいないだろう。
「ユーリに来て貰ってのは、お兄様と賭けをしたからなのよ」
「そうだ、シーラのお気に入りが世界一強いと言うので、お小遣いの金額を賭けたのだ。俺が勝てば金貨1000枚、シーラが勝てば金貨10枚になる」
金貨1000枚は何に使うのかな、質問してもいいのかな。止めとこう、知らない方がいい。
「質問があります、発言してもいいですか?」
「なんだ、言ってみろ」
「そもそも、何で試合で決めるんですか、別の方法とかご自分達で出来る事で決めれば簡単なような気がします、面倒だから、コインの裏と表で決めませんか、今直ぐにお小遣いが減るんか増えるのか分かりますよ」
「いい質問だな、王家の者で何らかの勝負を直接本人同士がする事はない。今回もシーラとの勝負では代理人が代わって勝負をする事になる。分かったか?」
なるほど、そんなん事がありそうな世界だよな、貴族社会とは。
仕方ないか、面白い体験も出来たんだから・・・・・最初に報酬を貰ってしまっていたのか。
「やりましょう、僕は負けませんよ。僕はシーラさんの味方です、肉を独り占めして、お腹を空かした2人の妹様が可哀そうです。お小遣いが減ればその分、妹様方のお小遣いにしましょう。その方が面白い」
「ユーリ、悪い子になっているわよ。でもいい案ね、お小遣いが増えたら何に使えばいいのかしら」
「まあ、お小遣いが増えるのね。何処に旅行がいいかしら、家族旅行ね、楽しみね」
「アイシャ、何で俺が負ける事になっているんだ。まだ勝負は決まっていない」
この後も3人の言い争いは続いたが、僕がコロシアムの試合に出て、国王様の選んだ人より順位が上だと僕の勝ちになり、シーラさんとアイシャさんのお小遣いが増える事になった。
国王様は逃げる事を許さんと言って、僕は大会が終わるまでお城にお世話になる事になった。
「好きな剣を使ってくれ、稽古も相手が欲しければ誰でも相手をする様に言ってある」
「ありがとうございます」
お城の小さい個室をお借りして泊まった。お城の客室なんかに泊まりたくないのでお願いした。
朝ご飯を食べた後に暇なので騎士団の稽古を見ていた。そこに現れた騎士団長に練習をするなら自由にしてくれて良いと言われて、剣をお借りするところだ。
「コロシアムの試合のルールはどうなっているんですか?」
「そうか、初めてなら説明しよう。好きな武器、好きな盾、何にを使ってもいいルールだ。魔法も使いていいのだが、相手の移動で魔法攻撃が当たらないので、魔法使いは出場しない。中には両方使う者もいるが、やはり魔法の攻撃が当たらないので武器の試合になる」
僕の考えと同じだな、しかし、僕が魔法が使えたら、この世界は恐ろしい事になる。まあ異世界小説が好きな人なら、魔王になるだろう。
「二刀流で戦ってもいいんですか?」
「それは構わないけど、ユーリ君は二刀流が出来るのかい?」
「出来ると言えばいいのか分かりませんけど、自己流の二刀流です」
「それは、面白いな。手合わせして欲しけどいいかな」
稽古か、学園の時以来になるのかな。
「はい、いいですけど、僕は防御に徹します。僕の方が有利・・・・僕の名前ユーリです」
ダジャレが名前に有ったぞ。
「え?」
「すいません、ダジャレでした。僕の方が有利なので、攻撃はしませんが剣は振るので気を付けて下さい」
「よく分からないが、気を付けるよ」
これにしよう、手頃な剣を2本選んだ。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
騎士団長は両手剣を構えた。僕は基本の構え左手が防御用だ。
おお、強い人で静と動が出来るぞ、集中だ。
騎士団長が攻撃してきた。
左手が盾の様に使うのが分かったのか、右側を狙って来る。
でも両手に剣なんだから右で盾の代りでもいいのだ。
右で剣を弾く、左は騎士団長の隙を付いて近くに振る。攻撃はしないが攻撃も出来る事を相手に知らせる。
「どんどん攻撃してきていいですよ、全部弾いて見せます」
「それなら、本気で行かせてもらうよ」
話している途中から剣が速くなった。
それでも、その剣を弾く、弾かれた剣を無駄なく次の攻撃をする騎士団長。
どの位経ったのか、騎士団長の攻撃が止まった。
「ハァ、ハァ。参ったよ、攻撃が当たる気がしない」
「そうですか、ありがとうございました」
「パチパチパチ」「パチパチパチ」「パチパチパチ」「パチパチパチ」
「凄い、稽古でした」「騎士団長の剣の動きが速かった」「ユーリ君の防御も凄かったぞ」
中庭で稽古をしていたので、終わると皆が集まって来た。
「ユーリ君、君が攻撃もしたら私に当たっていたかな?」
「それは分かりませんが、いつでも騎士団長の剣を弾いて反撃する事は出来ました。両手の剣のどちらかを盾代わりに使えたので、騎士団長の攻撃は当たる事はないと思いました」
「そうか、シーラ様が世界一と言っていたのは本当だったんだな」
「それは分かりませんよ、僕より強い人はいると思います。それに他の人と比べても意味がありません。試合だけです、相手より強くなければいけないのは、魔物と戦うなら怪我をしなければいいのと守りたい者を守れればいいのだと僕は思います」
「守ればいいか、その通りだな。また稽古を頼むよ、何か掴めそうだ」
「はい、次は手加減しませんよ」
「手加減・・・・・・してくれていたのかい?」
「こちらから攻撃をしないのは手加減になります、騎士団長が盾と片手剣で戦えば僕の両手の剣がいかに有効で手加減をしていたのか分かると思います。でも魔物で試さないで下さい。慣れてないと危ないので、失礼します」
「お疲れ様、ありがとう」
「ことらそこ、ありがとうございました」
もっと稽古したかったけど、邪魔をしたら悪い。それに同じ装備で戦わないと実力の違いは分からないだろう。
この世界に剣術を教えてくれる人はいないのか、それともこれから剣術を研究をしていき僕の様に訳も分からず上を目指すようになるのか。
どうでもいいか、僕は冒険者になる為に頑張っている、剣士は他の人に任せよう。




