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おめでとう

朝はシチューを作った。ミアちゃんがいるので干し肉ばかり食べるわけにもいかないし、リーレンさんが食材を買ってくれているのでそれを使った。野菜が沢山入っている。


「しかし、家にいるよりも外で食べる食事の方が豪華なのは何でだろうな」


「自分で作ったりしないんですか?」


「料理は苦手だから、露天の料理ばかりを食べている」


ミアちゃんはシチューを食べているが、サラちゃんは生えている草を食べている。


ミアちゃんが自分と同じ食べ物をあげているけど、草も食べたいようだ。


リーレンはんは前回のように急いで調合しなくてもいいので、今日も山頂に泊まって、朝起きたらカルテアに帰る事になった。


「一日のんびりと材料の使えるところだけにすれば荷物も減るな」


「帰ったら、直ぐに調合が出来ますね」


「コネコネコネコネコネ」


ミアちゃんは便利丸を作っている。


「しかし、小さい女の子なのに捏ねるのが上手いな」


ミアちゃんが褒められて嬉しそうだ。


「ガーベラの東の森の魔物を討伐が出来たのは、ミアちゃんが何日も便利丸を作ってくれたからなんです」


「それは、凄いな、どんな使い方をしたんだい」


説明が大変なので、地面に森を書いて仕掛けた便利丸の場所を部屋になる様に線を書いて説明した。


「なるほど、部屋と部屋が少し離れていてどちらかに魔物が入るようにして、隣の部屋の魔物が来ないように誘い出すのか、凄い数の便利丸がいるな」


ミアちゃんは誇らしげな顔をしたが、直ぐにコネコネしだした。


「毎日作っていたのに、討伐の時は朝から昼過ぎぐらいまで作ってくれたんですよ」


「ガーベラの帰りは森を通れたけど、そんな凄い事が起きていたんだな、ありがとう、ミアちゃん」


「はい」


奇跡の少女ミアの功績を知る人は少ない、お礼を言われる事もない。


だからあの夜に皆がミアちゃんにお礼を言った。それで良いのだ。





山頂で更に北の方向を見ると、山ばかりだ。この山頂までに魔物と遭遇する事もあるが、今回は遭遇していない。北の方には魔物が沢山いるかもしれない、騎士団も冒険者も行かないので、魔物が減る事はない。


干し肉の為にいつか行く日がくるかもしれないな。


「ユーリ、籠であっちに行ってみたい」


振り向くとミアちゃんは北の方を指さしていた。


「何か気になりますか、姫?」


「1本だけ大きい木が見える」


指の先を見たけど大きい木が見えない。


僕は目が悪いのか、ミアちゃんが目がいいのか。


「リーレンさん、ちょっと行ってきます」


「ああ、気を付けろよ、北の方は行った事がないから、何がいるか分からない」


「はい、夜までには帰って来ます」


ミアちゃんを乗せて、北の斜面を駆け下りる。





まさにそこは別世界だった。


「何でこんな大きな木が育っんだ」


大きさを例える事が出来ない、高さは周りの木の高さと同じだが、傘と言えばいいのか、凄く広い。


東京ドームの真中に立ったらこんな感じかもしれない。


「ユーリ、小鳥が一杯いるよ」


そう、傘の中には動物と小鳥が一杯いる、いすぎだ。


「ミアちゃんを歓迎する為に集まているんだよ」


小鳥が寄って来る、ミアちゃんに。


ミアちゃんの体に小鳥が寄って来てた、僕は邪魔な様なので離れる。


不思議なのが鳴いている小鳥がいない。何故静かなのか分からない。


ミアちゃんが木に向かって歩き出すと、小鳥は何処かに飛んで行った。


全ての小鳥が同じ方向に飛んで行くのを見ると、不吉な感じだ。


「ユーリ、何か書いてある」


木の幹の前に立て看板がある。


「何故か、魔物が来ない場所・・・・・リリカ・クライス」


ふむ、便利丸の匂いはしない。他の可能性は分からない。ドラドラさんはここには居ない。


リリカ・クライスがレッドちゃんと関係がある、そのレッドちゃんは何処に。


ミアちゃんが遠くに歩いて行く動物、パンダ?を見ている。


魔物がいないならパンダだ、子供の好きなパンダ。可愛いけど近寄るのは止めよう、だって凄く大きい。


動物園で見たパンダの2倍はありそうだ。亀亀は何倍なのか全然分からない。


「ミアちゃん、帰ろうか?」


「はい、鳥さん達はあっちに飛んで行きました」


飛んで行ってしまったのが悲しいのかと思ったが、嬉しそうなミアちゃん。


西の方に飛んで行った鳥達は綺麗だった。





「ユーリ、募集を受けてくれてありがとう、楽しかったよ。ミアちゃんも来てくれたありがとう」


リーレンさんはミアちゃんの頭を撫でながら、お礼を言った。


「リーレンさん、ありがとう」


人見知りだったミアちゃんが、リーレンさんにお礼を言う。


しかし、まだ山を下りた麓なんだよな。


「あのまだ、街に着いていませんけど」


「ああ、走って帰るのかと思って」


「リーレンさんと一緒に帰らないとリュックが渡せませんよ」


勘違いをしていたリーレンさんはリュック見て。


「忘れていた」


「挟まれている子供を忘れるんですか」


頭をポリポリして苦笑いのリーレンさん。


「ところで、光の雫で何か調合したんですか?」


「何の事だい、光の雫の調合とは?」


「お土産の光の雫で調合してないんですか?」


「もしかして、あの綺麗なガラスは光の雫だったのか、何で教えてくれないんだ」


「言いましたよね」


「いや、お土産としか言わなかったぞ。ユーリ、走って帰るぞ」


「分かりました、先に行って下さい。追い付きますから」


「先に行くよ、気を付けてな」


「はい」


リレーさんは走って行った。僕は状況が分かっていないミアちゃんを背負う為の準備をした。


ミアちゃんを背中にリュックは前に2個持ってリーレンさんの家に向かって走る。






「ただいま」


「ただいま」


かくれんぼに帰って来た、僕とミアちゃんは浮かれているロードさんを見た。


「お帰り、ミア、ユーリ。聞いてくれアメリアに子供が出来た」


「隠し子ですか、大変ですね」


強い衝撃がきたぞ、振り返るとベルンさんが怖い顔をしていた。


「そこは、おめでとうだろ」


「でも、生まれていないなら、これから赤ちゃんが出来るとか妊娠したと言いませんか、子供ですよ」


「浮かれてるんだから仕方ないだろ、言われた事が分かってないぞロードさんは」


まあ、ミアちゃんを抱いてグルグルしていれば、聞こえていないと分かる。


「おめでとう、ミアちゃん。妹と妹はどちらがいいかな?」


「妹しか言っていないぞ」


ヒューラさんの指摘は気にしない。


グルグル回っているミアちゃんは「妹~」と言ったので、妹が生まれるのが決定した。


「俺は、男の子がいい」


ロードさんの希望は聞いていない。これは親よりも子供の為のイベントだ。いつも一緒にいるのは兄弟だ。


旅の途中で調子が悪かったのは、妊娠していたからなんだな。


もう冬だし、のんびりしていればいいのだ。


今更気が付いたが、もう2年も西の大陸にいる。更にこの異世界は秋が短い30日も無い、冬が60日位で春も短くて60日も無い、夏が長いのだ。夏生まれが多いのを北の山頂で気が付いた。


ミアちゃんの妹は夏生まれになる。


ロードさんは、報告が終わるとミアちゃんを連れてアメリアさんの所に行った。


おめでとう、アメリアさん。




屋根の上で樹脂を塗っていると、そよ風のメンバーがかくれんぼに入って行くのが見えた。


レイさん達を見るのは久しぶりだ、山頂には居なかった。


屋根に樹脂を塗れば家全体の樹脂が塗り終わり、これで完璧な家になる。


ロードさんが浮かれていたのは、報告を受けた日だけだった。


販売と仕入れをしなければいけないので、出かける事が多い。


2日間掛った樹脂の塗装は、家全体をコーティングしたのが分かるほどにキラキラしていた。


「完璧だ、ここまでやれば、大工さんの仕事に見えるだろう。レイさん達は昼頃に来たけど、まだ出て来ていないな」


自作の梯子を下りて分解する。普段使わないので樹脂を塗る為だけに作った。


道具を片して食堂に入ると、酔ったレンさん達が居たけど、屋根裏部屋に戻った。


部屋でのんびりと過ごして夕食を食べに食堂に行った時には、レイさん達はいなかったので帰ったんだろう。





「ノーラさん、お代わり」


「野菜スープね、直ぐに持って来るわ」


食堂で早めのお昼を食べている、今日の予定は今のところ何もない。


何かする事があるか考えるが、思いつかない。


カルテアの知り合いには旅から帰って来てた後に挨拶に行った。


ギルドに行って何か依頼を受けるか、何処かに向かって旅をするか・・・・ガーベラ王国の行ってない街はユーデット様が住んでいるダリューンの南のアルジュ村の西のヤーガン村、ヤーガン村の南西のアーライド街の2か所だけだ。アルジュ村はミアちゃんが馬車に乗り込んでしまった村だ。


「置いとくわね」


「ありがとう」


お昼を食べ終わったら、亀亀の食事を持って行くかな、その後にギルドに寄る。


「さあ、お昼を食べるわよ、皆」


「朝から元気だな、レイは」


「あらお昼よ、寝過ぎよボードン」


「冷えたビールが飲みたい」


階段を下りながら、そよ風の皆が話している様だ。飲んだ後に泊まったんだな。


「ノーラさん、冷えたビールを4つお願いします」


「は~い」


あの人達は本当にビールが好きだな、ビールの為に樽を運んで旅をしたり、ビールが飲みたいから急いで街に戻ったりとビール絡みの行動が多い。


「お待たせしました、ビール4つね」


「ありがとう」


良いお得意さんになっているようだが、冷えたビールはここでしか飲めないからだけど。


「レイさん、ユーリが帰って来たんですよ」


「へ~、ユーリが何処にいるのかしら?」


「隣のテーブルでお昼を食べてますよ、それじゃ」


嫌な展開になってきたな、急いで出ればそこにはレイさんがジョキを持って立っている。


「久しぶりですね、レイさん。一段と綺麗になって、僕に遠慮は無用です、さあ飲んで下さい」


話している最初から飲んでいたけどね。


「ユーリ、さあ、こちらに来て話そうね」




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