帰って来たぞ
カルテアが見えて来た、港街なので城壁がガーベラよりも高い。
1年半位の長い旅だった。色々あった様な、ない様な。
懐かしい、橋を渡った門に行列が出来ていても気にならない。
「ロードさん、長い列ですね」
「そうだな、ここはいつもこんな感じだな。ミア、サラちゃんを小さくしなさい、門番さんが驚く」
「はい、サラちゃん小さくなって」
不思議だ、僕が言ってもダメだった。食事をあげてもダメだった。ダメダメだった。
瓶の中のサラちゃんはミアちゃんに手を振っている様だ。
「ここです、知人の冒険宿は」
「凄いな、初めて見たよ、何か雰囲気があるな」
表から裏庭に向かい馬車を止める。
「部屋が空いているか、確認して来ます」
「よろしく」
「ユーリ、帰って来たのね。大きくなったわ」
「ノーラさんも大きくなったね」
懐かしいノーラさんは、カウンターに座っていた。
小さいという言葉が似合わない程に身長が伸びた。子供に見えていたのに女性になっている。
20歳位になっている筈だ。
「父さん、ユーリが帰って来たわよ」
「ユーリ、お帰り。大きくなったな、男らしくなった」
おじさんの顔つきがキリッとしている。
「おじさんも元気になったね」
「そうか、店が繁盛しているからな」
2人と話していると階段からおばさんが下りて来た。
「まあ、ユーリ、帰ったのね」
「ただいま、そうだ。宿の部屋空いてないかな、6部屋?」
「丁度空いたところよ。ほら、シーツを換えたところよ」
「良かった、呼んで来るよ」
「中も凄いな、清潔で綺麗だ」
「そうですね、ロードさん」
「凄い大工が作っただろうな」
各部屋に案内すはノーラさんだ。
「この家はユーリが1人で建てたんですよ、他の人は少し手伝っただけなんです」
「ええ~、この大きさの家をユーリが」
「いや、出来ないだろう」
「旅の間に色々と作っていたけど、この家を見たら今まで作ってきた物が簡単だったと言える」
人数が多くて廊下が混んでいる。
「どんどん先に行ってよ。僕の部屋は一番上なんだから」
アルさん達は、下の食堂を見学している。食事時でもなく、宿の泊り客が宿にいない時間で良かった。
「部屋の中の家具も綺麗だな、もしかしてここも」
「はい、家の中にある物は全てユーリが作りました。快適で便利なんですよ」
「信じられない。1人で作れるものなのか」
皆は2階なので屋根裏部屋は静かだ。
僕の部屋には埃が溜まっていなかったので、ノーラさんが掃除をしてくれていたのだろう。
ベットの下にある木箱に鱗を入れる。4個揃った。
「後のドラゴンさんは何処に居るんだ、1年半も掛けてボーンさんしか会えなかった。でも街を知るだけの旅からドラゴンさんの情報を調べながらの旅に替えなければ、ボーンさんにも会えなかった」
この街にいる恩人に会わないと、マリサさんとリーレンさんだ。
「「「「「「「乾杯~」」」」」」」
無事に帰って来た、それも大成功の行商だった。
「アメリア凄いぞ儲けが、初めてだこんなに儲かったのは」
「そうですね、こんなに予定通り売れてるなんて」
「持ち込んだ商品も売れる予定がある、なんてい旅だったんでしょう」
「まあ、そんなに儲かったんですか、良かったですね」
「あれ、この飲み物冷えてますよ」
ルーベルさんが一番最初に気が付いた様だ。
「興奮していた気が付かなかった、冷えていて美味しい~」
「ビールが美味しい」
「ジュースも冷えていて、美味しいですわ」
準個室は板を外して大会場になっていた。
料理の準備はおじさんと僕がした。
おじさんには悪いけど厨房をお借りして、お酒のおつまみになる様な食べ物ばかり作った。
おじさんの料理は夕食に合いそうな、ステーキ、炒め物、シチュー、パン、スープだ。
ノーラさん達も加わっているので、凄い騒がしい。貸し切りになっている。
今回の報酬が皆に支払われる。
「ロードさん、ありがとう」
ウイントンさんが感激している。
「こんなに良いんですか、2倍ですよ」
「いいんだ、今回の旅は危険と無謀な戦いが多かった。皆がいなかったら無事にストーンセナにも行けなかった。思い返せば何で無事なんだと思うよ」
「そうですね、ガーベラの東の森、砂漠のワームと魔物が多かった」
皆、盛り上がっているな。
「ユーリ、ありがとう。ミアを助けてくれた事、ストーンセナではお祭りの準備をしてくれた事感謝で一杯だ。カードを貸してくれ・・・・・ユーリはSランクなのか?」
「それは、ユーデット様の叔母さんが知り合いなのでそれでです。CかBランク位だと思いますよ」
「そうか、凄い人と知り合いなんだな」
「ユーリは、金貨5枚か、俺は金貨10枚だったぞ」
「良かったね、お金持ちだ。大事に使ってね、ウイントンさん」
「おう、大事に使うよ。一点賭けはしない」
学習能力が賭け事には何にもないんだな。
「あなた、私のカードにはユーリが稼いだお金が入っているのよ、確認してみて」
何かしたかな、一番最初に売ったのは・・・・覚えてない。それなら最後に売ったのは、販売機のお金は大樽で、ロードさんがカードに入れたはずだから。その前だともう思い出せない。
「何だこの金額は金貨104枚大銀貨5枚銀貨9枚。大銀貨5枚は入れてあった、約金貨104枚が増えているのか」
「「「「「「「ええ~」」」」」」
機械の故障なんじゃないかな。よくあるよね、喜んだ後に間違いだったて。
「ユーリは、販売機の2倍の値段でフリーを売っていたんです」
「それだと計算が合わない、確か馬車7台分しか売っていない筈だ」
「ロードさん、もしかしたら。ユーリが売ったフリーにはコストとか掛かってないんじゃないですかね」
「どうなんだ、ユーリ?」
学園で売った時だと、厨房でミアちゃんとコネコネして揚げた。その時の材料は、小麦粉だけだった。その他は、理事長が使っていいと言うのでタダだった。ミアちゃんのハンバーグの材料もタダだった。
「持ち込んだ小麦粉以外に掛った材料費がありませんでした、お言葉に甘え過ぎたようですね」
「小麦粉だけしか・・・小麦粉が一番安いのに、小麦粉だけ」
金貨104枚か・・・・なるほど、テン・シ・・天使からのプレゼントだな。
「凄い事は忘れましょう、僕も今思い出しましたが、忘れます。僕達は温泉をあげて来たんです。それを覚えていれば他はどうでもいいです」
完璧だ、温泉は独り占め出来ない。
「忘れましょう、ロードさん。ユーリの言う通りです、全ての責任はユーですから」
「それでいいのだろうか」
何かこじつけれる言い訳は僕の得意とするところだ。
「Sランクのユーリからの褒美です、この旅の・・・この度違いか、行商人のロードさんにはネズミ討伐の報酬として全ての街から合計で金貨104枚が送られました。これからも食料問題に取り組んで下さい。ユーデット様の弟ユーリ」
「ロードさん、ユーデット様の弟がああ言っているので、これからも頑張りましょう」
「そうだな、今更返せないいよな、ハァ~」
「でも、ユーリの商人ギルドカードにはもっと凄い金額が入っていますよ」
「「「「「「ええ~」」」」」」
「見せませんけどね」
ナイスだ、ノーラさん。嘘も方便とこの世界では言わないだろうけど、ナイスだ。
しかし、嘘はいけないのだ。
「ロードさん、気にしてはいけません。この家の価値は金貨100枚位はする筈です」
「ユーリ、そんな安くないよ。金貨で1000枚はしてもおかしくないぞ」
ロードさんは金貨1000枚の価値がある言う。なるほど、そんな価値があるのか。
「ノーラさん、お金持ちですね」
「いやよ、私は要らないわよ」
「おじさんの物になったら困りますよ、ノーラさん」
「仕方がないわね、私の物でいいわよ」
「何か、とんでもない事を気軽に言っているぞ、アル、リーダーらしく何か言え」
「俺にどうしろと言うんだ、冷えたビールでも飲んで忘れろ」
「そうだな、ウイントンも冷えたビール飲め」
冷えたビールで酔い始めた人が出始めたので、アメリアさんとミアちゃんは部屋に行った。
僕も自分の部屋の戻ろう、酔っ払いの相手は苦手だ。慣れているけど。
「こんにちは」
「ユーリ、結婚してあげる」
マリサさんが浮かれている。
「新しい薬が出来たんですか?」
「そうなのよ、ドラゴンの血液が役に立ったのよ、新しい薬。完全に石化しても治せるはずよ。何処かに石化してくれる魔物はいないかしら、ユーリなら出来るわ」
婚約者に何て酷い事を考えているんだ。
「何処かに居るかもしれませんけど、僕は石像になりませんから、それに石像が飲めるか怪しいじゃないですか」
「そうね、口が開いてる状態でもどうなるのか分からないわね」
石化は治らないでいいよ、石像が動きだしたら変だ。
「光の雫の薬は作れましたか?」
「感激よ、鱗が沢山送られて来た数日後に光の雫よ。いい弟子を持ったわ、薬師なら光の雫を取れるか必ずあの村に行くのよね」
そんなに有名なのか、それならマリサさんも行ったんだな。
「ユーリ、私は行かないわよ。だって誰も取れないのに行くわけないいじゃない、面倒だし。それでどうしてあんなに取れたのよ。誰が取れたの教えてよ」
僕の考えた事に、答えが返って来たぞ、エスパーマリサだったのか。
「それは秘密ですよ。その人がマリサさんの犠牲になるのは可哀そうです」
話しながら調合しているのは、光の雫を使った薬だろう、キラキラしている。
「まあいいは、雫は沢山有るから、うふふふ」
うふふふ・・・・女の人の最高の喜びを表す。他にもいい事があったんだな。
「それで他にも出来たんですね、薬が」
「よく聞いてくれたわ、光の雫からは何と・・・・ユーリ、手を切断してみない、治るわよ。ネズミの尻尾は治ったわよ、傷口に塗れば数秒で出てくるのよ。無くなっても大丈夫なのよ、凄いでしょう」
とんでもない薬を作ったんだな。何でいつも治験者担当が僕なんだ。
「切断しませんし、飲みませんからね」
「まあいいか、ユーリ、ドラゴンの血液と雫を調合したいのよ。お願いね」
「次のドラゴンさんに会えたら頼んでみますよ」
「お願いよ。光の雫を取ってくれた人にお礼を言っといてね、愛していると」
「言っときますよ、もっと送って来いと」
「まあ、それは良いわね」
調合が本当に好きなんだと分かったので帰る事にした。
手が元通りになる薬を貰ったが、使う事が無いだろう。
マリサさんの家から亀亀の食事を集めに市場に向かった。
「ユーリ、久しぶりだな。長い旅だったんだな」
「はい、1年半位掛けてガーベラ中の街や村を見て来ました」
ソーインさんは変わらず元気そうだ。
「カーヤさんがユーリのいないお祭りはつまらないと言っていたぞ」
「先に会って来ました。元気に野菜を売ってましたよ」
「どうだ、会えたのか?」
「はい、会えました。乗せて飛んでくれました」
「おお、それは凄いな、帰りは飛んで来たのか?」
ソーインさんはお客さんの対応をしながら話している。
慣れた市場を見回して、うん、帰って来たんだと実感した。僕の西の大陸の始まりの場所だ。
「飛んで来ませんよ、見られたら大混乱ですよ。それにドラゴンさんは住処からあまり出ないんです。何故か分かりませんけど」
「そうか、私もいつか会ってみたいものだな」
「荷車を借りますね」
「久しぶりだな、市場を綺麗にしてくれ」
「はい、頑張ります」




