やはり来ましたか
2日目は大変だった、馬車2台分の小麦粉を用意したが。
「今日は、フリーだけを食べます」「そうですね、この機会を逃すと次はないと聞きました」「昨日は2個しか食べれませんでした」「帰りに何個、買って帰るかな」「家族の皆にも食べて貰いたいから20個位かな予定では」「うちの家族にも同じ位ないとダメだな」
お昼時に無くなる可能性があるのに、お持ち帰りの数が多すぎる。
「ヒューラさん、小麦粉の追加を持って来て下さい、どんどん作らないとお持ち帰り用が用意出来ません」
ヒューラさんは売れていく様子を見ていたが、慌てて小麦粉を取りに行く。
「分かった、直ぐに持って来るよ」
厨房で後片付けをしている。
理事長先生は最後にお持ち帰り用のフリーを買いに来た。
「まあ、全部くれるんですか?」
「はい、理事長先生に許可をいただけたお陰で沢山売れました。日持ちしませんのでお早めに食べて下さい」
「先生方に配りますね。皆喜びます、お昼時は混んでいるので来れないので時間をずらしたら、フリーは完売していたんですって」
院長先生以外の先生を見かけなかったのはそんな理由があったんだ。
後片付けがある僕の代わりにヒューラさんが校長先生と教員室に行った。
ミアちゃんとアメリアさんはロードさんと先に帰っていった、学園には後2台の馬車がある。
ヒューラさんとロードさんが2回小麦粉を運んで来たので馬車6台分のフリーを貴族様は買ってくれた。2日で7台分の小麦粉を消費できた事になる。
偶然にカリン嬢が僕を見つけてくれて良かった。それに、院長先生が後ろの席にいて話しかけてくれなければ、フリーを学園で売る事を考えなかった。女子の制服を着なければいけなかったのは変だったけど、終わりよければ恥もかくだな。
公爵様の門番さんに制服を返してとお願いして宿に帰った。
「皆、聞いてくれ、小麦粉が予定の量になった、アルさん達ありがとう、ユーリ達もありがとう。私は、この街にいつまでいるんだろうと心配になっていた、それが9日間で消費出来るとは思わなかった。みんなありがとう、2.3日ゆっくりしたら出発しよう」
「ユーリ、ありがとう。俺がミスしたばかりに大変な事になってすまない」
「別に気にしないで下さい、暇つぶしになったとアルさん達も喜んでいましたよ」
話を聞きながら食事をしていたバジルさんが僕を見ている。
「ユーリ、大変だったんだぞ、お金を入れて押すのが面白いのか、食べにないと駄目なのかと言う奴が現れたんだよ、だから冒険者はふざけてると言われるんだ」
「大変でしたね」
うん、自分達と同じ人がいると大変だよな。みんなもボタン押すのだ楽しくて何個か買っていた。
「ミアちゃんとアメリアさんが頑張っていましたよ」
「はい、沢山コネコネしました」
ミアちゃんは、本当に捏ねるのが好きなんだな、凄くいい笑顔だな。
「ミア、アメリア、ありがとう」
「楽しかったですよ」
「忘れてた、お手紙預かってる、ユーリに」
ルルさんが、食べるのを止めて僕の前に手紙を置いてくれた、誰からだ。
「誰からですか?」
「名前はシーラさんよ、必ず読んでと言っていたわ」
シーラさんが来たんだ。
アルさん達は、大変だった話を面白おかしく話している。
「俺は揚げ物をしたんだ、熱くて大変だった」
「俺は箱に詰めるのが大変だった」
「私は、食べたくなったのに我慢するのが大変だった」
みんな大変だった、おそらく楽しんでいたのは僕とミアちゃんとアメリアさんだけだったのかも。
販売機の裏で調理道具、露天を片付ける。
「学園よりも、販売機の方でフリーを作りたかったな、ゴトンを聞きたくて作ったのに」
まあ、日本で作りたいと思っていたのを丸太で作れた方が面白い。それに自作らしく丸太に絵を描いたり、説明書きがあるなんて異世界だからだ。
日本で作っても『ああ、仕組みが解かれば誰でも作れるよ』と言いそうな人が多いだろう。
「こんにちは、ユーリ。手紙を読んでくれたのね」
「こんにちは、シーラさん。読みました、それでどんな話ですか?」
シーラさんの視線は販売機に。まあ、そんな予感は手紙を読めば分かるか。
「この丸太が、欲しいのよ。譲ってくれないかしら」
「いいですけど、説明はしなくていいんですか?」
片すのをやめて、販売機に近づくとシーラさんも付いて来た。
「そうね、これが何か説明してくれないかしら」
販売機の利用方法を簡単に説明すると、もうそれは凄くいい笑顔で・・・お金が儲かる顔、儲かる前の笑顔、含み笑い、博打で当たると思っている顔・・・まあ、とてももう買うぞみたいな笑顔だな。
「へえ~、売り子が居なくても良くて、買いたい人が硬貨を入れてボタンを押せばいいのね」
「はい、中の仕組みを見れば違う硬貨でも同じ事が出来ます。商品が落ちる仕組みが分かれば、違う商品用に改造することも出来ます」
「どんな使い道があるのか考えるのが楽しそうね」
考えるのが楽しそうか、嬉しい言葉だな。
「そうですね、どんな物を商品にするのか考えて、その商品用に改造すれば便利な販売機になると思います」
シーラさんは考え込んでいるな、どんな商品を売るのかな。
「硬貨を入れて、商品を貸し出すのもいいわね」
貸すか、ボウリングの時の靴は販売機だったな、凄いな、よく思いついたな、僕は忘れていたよ。
「ユーリ様、お金の音がします」
シーラさんのメイドさんが硬貨の音がすると言っている。
「ああ~、誰にもお金の取り出し方を教えてなかった。今お金を出します」
僕がお金の入る木箱を取り外すと、見た事がない、さい銭箱の下の箱はこんな感じなのかと思った。
「ユーリ、凄い稼いでいる様ね」
シーラさんも木箱の中を見て驚いている。シーラさんが買っている、魔道具の料金の方が凄い金額だと思う。
「利益を出したのは僕かもしれませんが、お金は雇い主の物なので稼いだ事にはならないですよ」
「本当に欲がないわね」
「いいんですよ」
話しながら大樽にお金を入れていく。全部入るよな。
木箱を戻すと、馬車に運ばれていく。
「温泉には入ったんですか?」
「入ったわよ、姉さん達も後から来たのよ。国王様専用の建物も出来たのよ」
「国王様専用か、立派な建物が出来たんですね」
「そうね、お兄様も喜んでいたわよ」
シーラさんのお兄様、国王様か、どんな見た目なのかな。
「お嬢様、全て運び終わりました」
「ユーリ、ありがとう。またよろしくね」
「さようなら」
シーラさん達は帰って行った。
「僕も帰らないと、お金を渡さないと片付けに集中できない」
僕が持って来た大樽の中のお金を見たロードさんは驚いてた。
「何処から、盗んできたんだ」
いい発想だけど、銀行がありません。銀行機能があるギルドだけど、こんなに大銅貨が有るとは思えない。
「強いて言えば、街の人達の懐からです」
凄い衝撃がきた、今まで一番痛い。
「やっていい事の区別がつかないのか?」
アルさんの一撃か、しかしスリでもこんなに硬貨を持ち歩けない、騎士団に捕まっている筈だ。
「ユーリ、どんな事をしたのよ」
痛い頭を押さえながら事実を告げないと命の危険がある。
「強いて言えば、小麦粉がお金に変わっただけです」
僕の言葉に皆は何の事みたいな顔をしている。
最初に気が付いたのは、小麦粉を間違えて大量に買ったヒューラさんだ。
「ああ。フリーの代金なのか、今日までの」
皆も気が付いた様だ。
「でも、何でこんなにあるんですかね」
ベルンさんがよく分からない事を言う、あんなに沢山売ったのに代金の事を忘れているよ。僕は取り出すのを忘れたいたけど。
「フリーは2個で大銅貨1枚だったよな」
「そうですね、私も入口にお金を沢山いれましたわ、でも1回で大銅貨2枚でした」
ガチャガチャの感想になっている。何回押したんだ、皆は。
「数えてみますか?」
「そうだな、皆で数えよう」
僕は面倒なので後片付けに戻る事にした。並べて数えると楽だけど教えるのはやめよう、アルさんが叩いた責任は全体責任だ。
なんとか小麦粉を消費出来た次の日は、馬車で取り置きをしてくれていた商店に商品を取りにロードさん達は出かけて行った。
街をぶらぶらしてしてたら、洋服屋さんから服を沢山買ったリアさんに会った。
「ユーリ、見てよこんなに買っちゃた」
同じ店でそんなに買わなくてもと思ったがお気に入りのお店なら大人買いをするだろう。お金持ちは『ここから、あそこまで頂戴』だからな。
「沢山買いましたね、光の雫は取りに来て貰ったんですか?」
「来てくれたわよ、ギルマスさん自ら来てくれたのよ、余りにも多いので、驚いていたわ」
「伝説の光の雫があれだけあれば誰でも驚きますよ」
「私行くわね、また光の雫を取りに来てね」
「近くに来たら寄りますよ、さようなら」
「さようなら」
光の雫が手に持てるのがが嬉しいんだろうな、自分用に1個は取っておいたのかな。
「ぬお~」
ハイドを出発した僕達は北に進んでいる、何日か進んだ後は北東に曲がる、更に東に曲がった先に村がある。ロード村だ。
ぬお~と言って、馬車3号に乗り込んだウイントンさん、その前に『待ちなさい~』とルルさんは言って馬車に乗り込んだ。
馬車1号に乗っているアルさん達も走っていた、皆は毎日走る事にした、マリアさんは皆より体力が無いので短い時間だが走っていた。
「ハァ~、息が上がる。なんでユーリはミアちゃんを乗せてあんなに速いんだ、追い付ける日が来るのか」
「ハァ~、ユーリはアメリアさんと二人を乗せても速いわよ」
「姫、全力で走ります、落ちない様にして下しさい」
「はい」
馬車3号の後ろを走っていたが、前方に狼煙が上がっている3個も。
馬車2号の横を通る時の「狼煙です、確認してきます」
「狼煙?」
ロードさんには分からなかった様だ。
知らないのか、僕も知らない、この世界の人が使うとは。
「お食事中にすいません、埃が立ちましたか?」
「大丈夫だよ、君は」
「それは良かった、籠に人を乗せて運ぶ仕事をしています。ではご免」
もう直ぐお昼か、馬車に戻ろう。
「ただの食事の用意の煙で慌てたのかユーリは」
「違いますよ、誰よりも早く確認するために全力で走りました」
他の行商のお昼にお邪魔している。
馬車を置ける広い場所だったので、僕達も同じ場所でお昼にする事にした。
「ユーリ、俺達なんだが、もう少し鍛え直したいと思っているんだ」
シチューの用意をしているとアルさんが話し掛けてきた。
「へえ~、遂にSランク目指すんですね」
「それは無理だ。それに、AランクでもSSランクでも何も変わらない、違いが何もない」
「そうなんですか、僕もBランク位にしてほいいな、カンストしてるみたいで面白さが無いですよね」
そろそろ味付けを薄い味がいいかな、年寄りが多いので。
「カンストの意味が分からないが、Bランクだと特別クエの義務がないのと、現在何処に居るのかギルドが把握してないくらいの違いしかないぞ」
あれ、今聞きたくない様な事を聞いたぞ。
「何処に居るか把握されているんですか、僕達は?」
美味しいく出来たな。野菜多めは僕とミアちゃんの為。
「ああ、カードを使うと何処に居るのか分かる仕組みになっているらしい。まあ偉い人達が冒険者を呼び出すのに使っているんじゃないのか、呼ばれた事はないけど」
なるほど、マリサさんにから手紙が来たのは先回りして送られて来たからなのか、シーラさんもハイトに来たのは僕が居るからなのかな・・・・・・僕がSランクなのは監視するためかな。
まあ、どうでもいいか便利に使えている様なら。
「皆で出来たよ、配るから座って」
ロードさん達は情報交換していたのか話していた会話を止めてこちらに来る。
ミアちゃんとアメリさんはハンモックから降りて来た。
僕達が食べ始めると、ハイトに向かう馬車は出発して行った。
「これから向かうロード村までには魔物が街道から何箇所も見えたそうだ、戦闘も3回あったらしいので気を付けて進もう」
「ロード村にロードさんが行く」
「つまらないぞ」
しょうがない、捻れないよ。同じ名前なんだから。




