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久しぶりに遊びに来ました

朝早く歩いているので人は少ない。人通りの少ない道をお城の方に歩いている。


「お城の橋を歩いている人が、門まで行けない様だぞ」


もしかして、見えないシールドがこのお城にも張られているのかな、門の方から数名の騎士が走って怪しい人の方に向かっている。怪しい人は逃げ出したぞ。


騎士団は朝から大変だな。


立派な馬車が何台かこの先の交差点を横切っているのが見える。


お城の周りだから貴族様の屋敷が多くありそうだ、北にある宿から南の方に行ってみるつもりだ。ハイトに着いた時に南門から北の宿に向かった時しか南の地区を見ていない、広い街なので移動も大変で色々見て回るのに数日は掛かりそうだ。


「ロードさん達も商店に向かうのが大変だな、よく歩いて移動するよな、街の中を走る馬車があれば乗る人が多いのかな、お金が掛かるなら歩く方が得だと考えるかもしれないな」


僕なら走るけど、あまり走っている人を見かけない、騎士団と悪い人は良く走っているんだろう。怪しい人は捕まったかな。


「ユーデットお兄様」


「ほら、お兄様でしたよ」


お城の横の道を挟んだ前の大きい屋敷から来たと思われる馬車から、ユーデット様が呼ばれている。


まあ、僕の事なんだろうけど。


「おはようございます」


「おはようございます、お兄様」


止まった馬車から降りて来た姉妹は、カリン嬢とカヤ嬢の2人だ。


2人に手を取られて。


「急いでいます、早く乗って下さい」


急いでいるのか、それなら乗るしかない、断る事も出来ない。


2人に続いて馬車に乗る。


「お久しぶりです、ユーリお兄様」


「ユーリお兄様に会えて嬉しいです」


良い姉妹だ、ユーデット様もでれでれだろう。


「お久しぶりです、2人はこれからどちらに向かうんですか?」


ダリューンの街のお城に帰るんだろうな、護衛がいないけど。


「学園に向かっています、遅刻するわけにはいきません」


「そうなんです、毎朝、お姉様の支度が遅いので、屋敷を出るのが遅いんです」


「いいではありませんか、身だしなみは大切です、ねえお兄様」


「そうです、女性の支度に時間が掛るのは仕方がありません」


学園か、懐かしい響きだな。


「お兄様、毎日ですよ。それなら少し早く支度を始めればいいのです」


毎日なのか、女性の支度の経験が無いので、どの位の時間が掛るのか・・・・・。


馬車はゆっくりと走っている。






学園の個室で着替えて廊下を歩いている。


「何でこんな格好をしなければいけないんだな」


罠にはまった可能性がある。


学園に着いた馬車は裏口に回っていた。


僕達が降りると馬車は帰って行った。ここまでは良かったような・・・・間違っていた筈だ?。


2人は『お兄様、学園は制服でないと怒られます。直ぐに用意しますので、この部屋で待っていて下さい』と言って、何処かに行ってしまった。


個室の中で待っていると『これに着替えて下さい。急いで』『時間がありません』と着替えを急ぐように言われて制服を渡された。


2人が出て行くと急いで着替えたが、女子生徒の制服だった。渡された時にもしやと思ったが、指示にしたがった。僕の服は『隠しておきます』『授業に遅れそうです』と言って持っていかれてしまった。


人に見られるのも恥ずかしいが、着替える服も無い。


「まあ、ユーデット様、お久しぶりです。どうしてその様な格好をしているのですか?」


詳しくは話せないので、うっかりしていて学園に私服で来てしまって困っていたら妹が用意してくれたのがこれしかなかったと話した。


「ふふ、面白いですね、わかりました。男子生徒から借りて来ます。その部屋でお待ち下さい」


「ありがとう」





制服を着替えても学園から出れないのなら、女子生徒の制服であの個室で隠れていても良かった。


「さあ皆さん、卒業したユーデット様が授業の見学に来てくれました。2人で組んで剣術の練習をしましょう」


あの姉妹は僕を学園に連れて来て、どうしたいんだ?


久しぶりの学園を見学しようと考えたのが、間違いだった。


自分がユーデット様と似ているのを忘れて廊下を歩いていると教師に見つかったのだ。


『ユーデット様、視察ですか、卒業してからそんなに日も経っていないのに』


『妹さん達もいますので授業の見学でもしたらどうですか、剣術の先生~後はお願いします』


あの女性は上司なのだろう。


『分かりました、ご案内します』


この授業には沢山の生徒がいる、僕が通った学園では1クラス25人位だった。今いる生徒は50人はいそうだ。


25組の生徒の練習風景は凄いの一言だ。


「ハア、ハア」「うわ~」「疲れた」「合図が来ない」「先生~」「長くないか」


休憩にならない、あの学園の練習はそれなり頑張っていると思ったが、この学園の授業は休憩にしてくれない。全員が一斉に練習しているから、全員が練習するか休むかだが、休みを入れてくれない授業のようだ。


「どうです、今日はいつもより皆は頑張っています、ユーデット様が見ているからです」


アヤ嬢がこちらを見たので頷いて。


「皆~休憩です、先生がお手本を見せてくれます、集まって下さい」


僕の号令で皆が「やっとか」と呟いていた。


「どうして止めたんです?」


「先生のお手本が見たいんです」


僕を睨みつけているのかな。


「では、この大陸で一番の剣術とやらを見せてもらいましょうか」


その話は誰でも知っているのか、学園の先生が・・・・・妹さん達が話したのか、ありそうだ。


「お兄様、私頑張りました、皆に優勝者の方に勝ったとお教えしました」


「ありがとう、アヤ嬢・・・・アヤ。今から先生と練習したいと思います」


皆に囲まれて練習する事になった、自分から言いだして練習相手になったんだから仕方ない。


男子生徒の剣を借りて先生と対峙する。


「先生は、教えるのとご自分で剣を振るのと、どちらが得意なんですか?」


「どちらもです、いつでもいいですよ」


何処から来るんだ、その自信は。


「では、行きますよ」


僕の剣は先生のクビで止まる。


「先生、今のは見切りですね、流石だ。次も行きます」


反対のクビの横で剣が止まる。


「今の様に見切る事で余分な動きをしないで攻撃するのがいいのです、皆さん見ましたか?」


「はぁい」


先生の言葉に微妙な返事をする生徒さん達。


先生的にそれでいいのならいいのだが、この後はどうするつもりだ。


「先生も疲れているので、休憩します」


全員が休憩する事になった。


アヤ嬢があの先生はお兄様の担任でしたと教えてくれた。





「さあ、皆さん、的に当ててみましょう」


今度は魔法の授業か、そろそろ解放して欲しい。


剣術の授業の時と同じで、生徒が50人は居そうだ。


見ていても参考にならない魔法の授業。


全員が魔法を使えるので先生と呼びたいぐらいだ。


魔法はイメージなので個人差があるようで、威力の強そうな魔法、早く飛んで行く魔法、命中率がいい魔法とそれぞれ違いがある。


的に当てるのも簡単そうに撃っている皆。ローランドでは苦手な人もいたけど、目の前の生徒達は個人差はあるけれどそれなりに使えているようだ。


「今日は調子がいいみたいですね。ユーデット様が見ておられるので頑張っているんですね・・・そうですね、魔法の得意なユーデット様にお手本を見せてもらいましょう」


どうしてお手本の話になるのかな、飛ばない魔法を見せる事は出来ないのに。


「やめときましょう、それほど得意ではないのです」


「ご謙遜ですね。お願いします」


魔法の先生は場所を空けてしまった。


「分かりました、最近は魔法を教える方に興味が湧いたので誰かに教えたいと思います。誰かいませんか?」


「「「「は~い」」」」


良い返事だが全員だ。先生も手をあげている、自分も参加する気なのか。


「では、皆さん、僕に魔法を当ててみて下さい。本気でいいですよ、当たらないので」


「では、開始です」


50人の魔法が飛んで来るが、避けるなの簡単だった。


僕を狙う事は出来ても、当てられない。みんな頑張っているけど、少しずれるだけでいい。


避けられるのを考えたのか予想する様になってきた。学園の的は動かない実戦向きではない授業なのだ。


魔法も手加減してくれていた様で、威力が上がっている。


「そうです、考えて下さい。僕は動きます、動かない敵はいません。それに魔法を使う皆は仲間に当てない様にしなければなりません。動いている僕に当てられないのなら、その攻撃は動いている仲間に当てる可能性も出てきます、さあ頑張って下さい。的は動くものなのです」


皆は自分も動かないといけない事に気が付いた。同じ魔法使いに当てない様に動いて僕を狙う様になった。


「はい、やめて下さい」


先生の合図で皆は魔法攻撃をやめた。


「素晴らしい授業です」


「えっと、次に50人全員を班分けします。1~4番の班に分けます、僕が決めるので従って下さい」


生徒1人1人に番号と並ぶ場所を指示して4ヶ所に分かれた。


「3番の生徒は的に魔法を当てて下さい、5回でいいです。4番の生徒は3番の生徒の魔法をよく見て同じ事が出来る様になる為に、イメージを頭に焼き付けて下さい。目を閉じて思い出せると良いですね」


3番の生徒達が練習を始める、それを4番の生徒がよく観察する。


「同じ事をします、2番の生徒が的に攻撃、3番の生徒がそれを見てイメージする。次は1番の生徒が攻撃、2番がそれを見てイメージです」


自分より少し上手い人を見て違いが分からなくても、真似をすれば上達する。


「先生、1番の私達は誰を見ればいいですか?」


「魔法の先生が見せてくる筈です。僕は見せることが出来ません」


嘘はついていない、完璧だ。


「私が見せるんですか、では的に攻撃をします」


おお、凄いのが飛んで行ったぞ。見事に命中だ・・・的が無くなった。


「先生は、凄い魔法を見せてくれました。みんな拍手をしましょう」


的が無くなって気分が沈んだ先生にみんなが拍手する。


「この様に全力で的を壊さないようにして、頑張りましょう」


立ち直ったようだ。


1番には僕から教えられる事が少ないので、魔法の飛ぶ速さのイメージを僕がのんびり走ったのと全力で走った時の違いを何回も見せて違いを分かって貰った。





授業が終わると、カリン嬢とアヤ嬢が校庭に迎えに来た。帰りたいが、男子生徒の服を返さないと行けない、自分の服は見つかると駄目だと何処かに隠されている。


「お兄様、私の制服はお嫌いですか?」


「カリン、君の事は可愛い妹だと思っているが、制服は女性用だ。面白い変装だが、学園を歩くのには恥ずかしいのだ」


「ほら、私もおかしいと言ったでしょう」


「でも、私服では怒られますから、仕方ありません」


「いいんですよ、今は男子生徒の服をお借りしているので」


「そうだよね、もう良い事です。一緒にお昼を食べに行きましょう」


「行きましょう」


「はい」


やはりまだ帰れないようだ。

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