山に登ろう
「何処に居るんだドラゴン」
ウイントンさんは森に着くなり、キョロキョロと辺りを見る。
ドラゴンさんに教えて貰った森は、大森林だ。
この先には、街も村も無いらしく森が何処まで続いているか分からないとロードさんは教えてくれた。
「ユーリ、ドラゴンを探しましょう。落ち込んではいけませんよ」
「そうだ、こうして皆で探しているんだ」
後ろでマリアさんとルーベルさんが何か言っている。
でも今は忙しいのだ、目の前に自然になっている大きい松茸が生えている。
誰か研究して松茸を安く・・・・・ここは日本じゃない、凄く安いのだ。
薬の材料になると松茸は高騰するのかな、ここは少し確保した方がいいのかもしれない。
あそこにもある、あそこにも。あそこの人達は今も松茸を取って何かと交換しているんだろうな、あそこの人達の為に輸入すればいいんだろうけど、国同士の交流がないよな。
港町ツナサンドとカルテアが独自に交流しているだけなので、輸入するのは難しい。
「ユーリ、松茸ならあそこに沢山生えているぞ」
珍しく僕が喜ぶ事を教えてくれたウイントンさん。
「凄い、全部取らないと、土瓶蒸しを飲むぞ」
「落ち込んでいませんのね」
「ああ、心配して損をしたよ」
「え、何かあったんですか?それより皆も松茸を取ってよ、美味しいスープを作るから」
僕が松茸に浮かれている間にアルさんとバジルさん、ルルさんが西の方から帰って来た。
「魔物はそんなにいない、オークが居たので倒した。解体もしてきた」
成長している、オークは食べない、解体は出来ないと言っていたのに、しかし今更と言いたい。
「川があったから、野営するなら川の近くがいいぞ」
「ロードさん、どうしますか?」
「そうだな、野営は川の近くにしよう」
野営する所が決まって、ぞろぞろと移動する。
森だから木が沢山生えているので馬車は置いて来た。馬はドラゴンさんが面倒をみてくれると言うのでお願いした。
食べ物は持って来てないので、現地調達だ。
「ユーリ、ニトリがいるぞ」
ベルンさんの指さしている先を見ると、こちらに気が付いたのか襲って来るようだ。
「ユーリの出番だぞ」
伝説の弓を構えて撃つ、見事に命中した。
「流石だな、外す事はないのか?」
「外す、そんな言葉はありません、ひたすら練習しましたから」
ルルさんが考え込んでいる、どうしたんだ。
「ユーリが弓を作ったのはライムスーデンよね、そんなに練習してないわよね」
「そうだな、まだそんなに経っていないぞ」
「伝説のパチンコを練習していたのが役に立ったようです、伝説の弓は最初から狙いを外した事が無かったんだ」
「そんなものなのか」
魔物のニワトリ、ニトリを解体して、周りを見る。
この森に魔物が少ないのはドラゴンが居るからなのかな、ドラドラさんは完全に魔物を遠ざけていたから他の理由だな。
ロードさん達に料理を配る、アルさん達と僕は旅の道具を持って来たので、ロードさん達から食事をして貰う。
「楽しいですね、冒険も」
「そうだな、行商も似た様だが商売の事を考えなくていいのは楽しいな」
ミアちゃんはハンバーグを食べている。
ミアちゃんも自分の足で走りまわっていた。子供は元気だ、そして疲れると起きていられないのだ。
ご飯が終われば直ぐに寝てしまだろう。
「ドラゴンはどんな所に居るんだ」
「僕が会う事が出来たのが3体いて、山の山頂と洞窟にいました」
「ええ~、ドラゴンに会った事があるのか?」
バジルさんが驚く。
「あれ、話しましたよね」
「そうだったか」
「さあ、どうだったのよ。アル」
「俺に聞かれても、会いたい話は何度も聞いたが、会った事があるとは聞いていない様な」
ロードさん達は食べる手が止まっている。
「ドラゴンさん」
ミアちゃんは本当に会いたいんだな。会わせてあげないといけませんね。
仕方ない、グルグルバットをするか、後で。
「どうなのよ、ドラゴンは怖いの?」
「今のところ、みんな優しいです。ただ、長生きなので忘れた事が多い様で、聞いても忘れた、思い出せないと言っていました」
「優しいのか、安心したな」
「飛んでるのは見たの?」
「見ましたよ、乗せて貰った事も有ります」
「「「「「おお~、乗りたい」」」」」
まあそうだよな、人は飛べないからな。
「見付けたら、乗せて貰いましょう。ねえユーリ、お願いしてね」
「いいですよ、頼んでみます」
川の近くの柔らかい所を野営の拠点にした。
僕だけが持っていたハンモックはアメリアさんとミアちゃんが使っている。
ベルンさん達は材料を集めて朝から作っている。ロードさんもベルンさん達に教えて貰っている。
グルグルするのを忘れていたのでこれからする。
僕の周りにハンモックを作っていない皆がいた。
見られているが、本来の遊びは見られてするので気にしない。
5分位グルグルしているので、皆飽きてきて「もういいだろ、何がしたいんだよ」と言った。
ミアちゃんとアメリアさんは瓶に入っているサラちゃんを見ている。グルグルしながらでも見えた。
川の近くでは、ローダさん達がロープ作りをしているのが見える。
もういいか、回転を止めてフラフラするのに任せれば、その後は倒れるだけ。
「倒れたぞ」
「グルグルしているだけなのに」
「何で倒れたんだ」
馴れた来たけど、回復するのが早くなってきたのかな、それでも直ぐには立てそうもないな。
頭をあげて前を見える、川を渡った西の方だ。
「アルさん、昨日探索して来た方に何かありましたか?」
「そうだな、山があった位かな」
山か、この森は木が育ちすぎていて遠くが見えない。水平に見た方が見えづらいが遠くが見える。
「ここからどの位掛かりそうですか?」
「2時間位かな」
「なんで山があると昨日教えてくれなかったんですか?」
「・・・・・・山もドラゴンに関係あるのか?」
「山にドラゴンが居るの話したのに、温泉に入った時にも火山に居る可能性が・・・・」
村で火山が近くにあるか聞くの忘れていた。
「まあ、仕方ありませんね。ロードさんに相談してきます」
ロードさんに相談したら、登山は全員で行かない方が良いだろうとなった。
それにドラゴンを発見出来ればいいが、いない時は全員で時間を掛けて行くより、アルさん達とユーリの様な慣れた人が先に探した方がいいと言われた。
これは僕個人の希望なので、先に発見する事の方が大事だと思った。その後に皆で行けばいい。
「ユーリ、あのグルグルは何の為にしたんだ?」
先頭を歩いている僕にウイントンさんが聞いてきた。
「あのグルグルはドラゴンを探すための儀式なので、倒れた方向にドラゴンが居るんです」
「でも、アル達もグルグルして遊んでいたじゃないの」
そう、ルルさんのご指摘の通り、アルさん達に遊び方を教えた。僕のグルグルとアルさん達が遊んでいるグルグルは違うのだ、めまいが起きる様な感じまでする儀式はドラゴンを探す僕専用なのだ。
他の人は遊びの方をした方がいい、危険だから。
「バジルは何で付いて来たんだ?」
「皆を守るのは大事だが、ユーリといると面白い、それだけだ」
「私は違うは、美味しい物が食べれるからよ」
「俺は、付いて行けば何かが起こると思った」
僕の登山に付いて来たのは、バジルさんにルルさん、ウイントンさんの3人だ。
森の中は色々と楽しい、歩きながらロープが作れたり、薬の材料が生えていてそれを取っる。
右に見えるのは沼みたいだ、どんよりした雰囲気がある。
「ねえ沼よ、珍しわね」
そうだ、異世界の沼を見た事が無い。
珍しい沼を皆で見に行くと、そこには見た事のない魔物が居た。
襲って来ないけど、危ないので近づかない。
「あの魔物は何ですか?」
「ああ、伝説のカッパーだな、沼に生息していて、近づくと沼に連れ込まれる。気が付いて良かったな」
伝説のカッパーの魔物はカッパに見える。とても目つきが悪い、睨み負けしない様に頑張る。
「近づくとは、どの位かしらね」
知りたそうなので、後ろから押してあげる。
「やめて、襲われてたらどうするのよ」
「大丈夫です、何処まで近づくと危ないか検証しますから」
どんどん押していく。
「私でしないでよ、ウイントンにしてよ」
「俺も嫌だ、カッパーが何体いると思っているんだ」
沼の中から見ている視線を受け止めて、数えてみる。面倒なので。
「300体です、数えました」
「300以上はいるな」
大体合っていた様だ。見た目で分かる様になったんだな僕は。
誰も押させてくれないので自分で試す事にした。
1歩1歩近づいて行くと視線が更に鋭くなったので、慎重に足を前に出すと「ジャバ~」と音がしたので、1歩戻っるとカッパーが沼から出て地面に立ったが、沼に戻って行った。
1歩踏み込むと「ジャバ~」と音がしてカッパー地面に立つ、戻ると「ジャバン」と沼に戻る。
この1歩でカッパーは連れに来るんだと分かったので、何回も楽しむ。
「面白いな」
僕の真似をバジルさん達も横に並んでしていた。
真似をされたので、違う事をする。
フェイントに騙されたカッパーは「クワァ~」と鳴いて沼に戻った。
連続でフェイントしてみたら「クワァ~、クワァ~」と鳴いた。
虐めている様で可哀そうなので山に向かう。勿論干し肉を1枚あげた。
仲間で争っている様だが仲良くしてほしい。
疲れたと言い出した、ルルさんを背負子に乗せて山を登る事になった。
「楽ちんよ、ウイントンも乗ってみる」
「俺はいい、乗るのが怖い」
「バジルは?」
「疲れてないし、ユーリは小さいから乗りづらいな」
山の傾斜は緩やかで登り易いが、道が無いのでルルさんは疲れた様だ。
「直ぐに着きそうだな、山頂は高そうだが緩やかだからな」
バジルさんの意見は正しい。僕が走れば10分も要らない。
「ねえ、走って行かない。体力が付くよ」
「それは良いな、この頃は体が軽く感じるんだ、走る事で体力が付いているのかもしれない」
「そうなのか、それなら俺も走りたいな」
「そうなの、じゃ私も走る。疲れたらユーリに乗せて貰う」
ルルさんを降ろして、皆が疲れなさそうな速さで走って山の山頂を目指す。




