ラウンジで食事
食事用のラウンジの光景は凄い。
何でこんなに広いんだと、誰でも思う広さがある。
各学年用あるので、他に2か所あるはずだ。
ここは1年専用になっていて、食事は持ち込み、自分の家のメイドに給仕をさせている。
もちろんテーブルは一人専用だ。
確認しとこう、僕の周りには・・・メイドさんはいえませんね。
「世界でここだけの光景だろうな」
全員が個人用のテーブルで、そのテーブルとテーブルの間隔も離れている。イメージだと結婚式の披露宴かな、丸テーブルの間隔とかは似ている、違うのはテーブルが四角か丸いかの違いだ。
僕専用の四角いテーブルには、皆と違いメイドがいなければ、食べている料理も豪華?に見えない。
重箱の料理を食べていると、ポール子息がこちらに歩いてくる。
「ユーリ、ここで食べてもいいか?」
「僕はいいけど、どうしたのですか?」
「ここの雰囲気になれないんだ。我が家では、みんなで話しをしながら食べるんだ。それに個人専用のテーブルも馴染めない」
「僕も酒場の隅で一人で食べてるけど、もっと賑やかだからここは別世界だよ」
そうなんだよな。ここで食べている人は、約75人いる筈だが、話し声は聞こえなくて、食事をしている時の音だけが聞こえる不思議空間。
「カチャカチャ、カチャカチャ」この音だけがこの広い空間での音の全てだ。
ポール子息の気持ちが、よく分かる。
「酒場とは喧嘩が多いと聞いたが本当か?」
「そうですね。喧嘩とかよりも怒鳴り合いかな」
「子供とかも来るのか?」
なんか興味でもあるのかな。
「来ますよ。冒険宿もしてるので、泊ってる親子連れや泊ってなくても食事に来る家族はいますね」
ポール子息は楽しそうだ。話しながら食べるのが日常なんだな。
他のみなさんはどうなのかな、この学園での食事は変だと思わないのかな。
ポール子息が僕の重箱弁当に視線を向けている。
「なあユーリ、その肉は何の肉だい?」
「オーク肉の角煮です」
食べたいのだろうか、勧めた方がいいのだろうか。貴族様的に下さいとは言えないだろうしな。
「もしよろしければ食べてみますか?」
「いいのか、オーク肉は大好きなんだ」
僕はポール子息のメイドに重箱を差し出した、メイドさんが角煮を選んでポール子息の皿に載せる。
ポール子息はオーク肉をホークで刺して角煮を刺し口の中に入れた。
「凄く美味しい、柔らかい噛まなくてもとろける、味も初めて食べる味だ」
喜んでもらえて良かった。自慢の一品だからな。
重箱に入る大きさの料理を色々考えた。
身分が低いのは仕方ないけど、そんなの食べるのみたいの物は持って来てない。干し肉とかね。
煮物なら前日に作っておけるし、下ごしらえしとけば時間はかからない。何よりも母さんが食べたがるんだよな。なので余分に作る毎日だ。
お弁当は毎日の事なので、父さんには頼まないで自分で作ってる。
「良かったです、自慢の一品です」
「なに~、ユーリが自分で作ったのか?」
声が大きいですよ、パール子息。まあ、驚くのも無理はないか、貴族様は自分で料理をしないだろうから。
「はい、毎日の事なので」
「今まで、ず~と作って来てたのか?」
「そうなりますね」
何故かメイドさんが僕の重箱に料理を載せているのが見える。
なので、どうぞ的な仕草で角煮を提供する。食べ物のブツブツ交換だ。
ポール子息は、角煮が増えて嬉しそうだ。
ポール子息の食事はまあまあの味だ。
数日後、何故か僕のテーブルの周りにエミリー嬢、アンバー嬢、スカーレット嬢が、3台のテーブルが置かれた。
「私もこちらで頂いていいかしら?」
「ポール子息、よろしいですか?」
「ユーリ、僕はご一緒してもいいですよ」
エミリー嬢も僕達の近くで食事をしたいと言うので了承したが、個人専用のテーブルなので、僕の前に置く事にした。
それを見た、アンバー嬢とスカーレット嬢が『私達もいいですか?』との事で、エミリー嬢の横に並べる事に、三人の令嬢のテーブルとイスを運んだのは、僕とポールだ。僕の横がポール子息、僕の前がエミリー嬢、その横にお2人が、ポール子息の前がアンバー嬢に。
こうしてチームのみんなで食事をする様になった。後日、スカーレット嬢が可哀そうだと並び替えして四角く囲んだ形が貴族の皆さん、出っ張りの様に四角にくっているのが僕のテーブルになった。
僕達が皆で食事をする様になってから数日すると一年生全員がチームの皆と食べる様になった。
皆がまとまって食べる様になったので、もともと広いと感じてたラウンジが更に広く感じる。
素材の基本の採集は、種類を覚える事と採集した物の保存方法と取り扱い方。専門的なので、基本だけでいいと思う者は基本だけを覚える事に。
僕も専門的にするつもりはないが、冒険者としてクエなどにかかわるような素材は覚えておきたい。
僕のチームの皆は、基本のみで深く知る必要はない。いやここに通って来てる僕以外の人に必要がない授業だ。
でも、長男、長女などの後継者以外だともしかしたら必要になってくる人もいる。
この広い学園の中で今は採集中だ。
僕以外の皆はのんびりと散歩みたいだ。
僕がこの草は素材として使える物かと確認してる横で。
「まあ、少し涼しいですねここは」
エミリー嬢は暑いのかそんなことを言ってる。
「それに、この木々があると森のようですね」
校舎が見えて、塀に囲まれているのに森だとスカーレット嬢はおっしゃている。
何で皆は僕の近くで雑談してるのかな、他の人達もチームで行動してるからかな。
この授業、僕一人で受けている気分だよな。
「ヤー」「トー」「エイ」
剣術の授業はみんな真剣だ。
今までの皆さんを見ていると基本だけ分かればいいとかそんな感じだったのに、真剣に授業をしている。
ポール子息が教えてくれたが、各家の後継者じゃない者は騎士を目指す人が多いとか、女性も頑張ってる人がいる。
手柄を立てて認めて貰う事で、貴族として認められたり、騎士団に入れたりするのだと、だからこの授業は真剣なんだと。
皆は、剣術をこの学園の入学する前から鍛錬しているので初心者はいない。
各チーム内で打ち合い先生が見て回る。
僕とポール子息で打ち合っている。女性陣は交代で女性同士で打ち合う。
「ユーリ、この僕とお手合わせ願いたい」
今日もこの時間がきたのかと内心落胆する僕。
彼はフレディ・アダムス伯爵子息だ、なんで僕に手合わせを申し込んでくるのか分からない。
そして平民の代表(この学園の平民は僕だけ)の僕は断る事が出来ない。
「わかりました。その申し出を受けます」
先生の合図で始まったこの手合わせ、先に動いたのはフレディ子息。
フレディ子息の攻撃をなんとか凌ぐ、僕の攻撃もしのがれて対峙する。
フレディ子息の動きは分かりやすいので剣で受けたり、受け流す事が簡単にできる。
僕の攻撃はフレディ子息が受けやすい様にしていた。
先生の合図でフレディ子息との手合わせが終わると、彼のチームの男性二人とも手合わせする。
フレディ子息より未熟な剣術だが、一撃のパワーはフレディ子息を上回る。
二人との手合わせも終わり、一休み。
「ユーリ、あなたフレディ子息に何か恨まれてません事」
エミリー嬢は、このところフレディ子息に手合わせを申し込まれている僕に聞いてきた。
「いえ、心当たりがありません。しいて言えば、僕のチームの女性の皆さんの中に好きな人でもいるのかもしれません」
上品に笑って「そうかしら、フレディ子息には婚約者がいますよ」
「そうです。確かお相手は金のクラスのリリー様だと思いますわ」
「私は、リリー様と仲良くして頂いてますので、フレディ子息との婚約がされてると聞いた事があります」
そうすると、なんで僕は申し込まれているんだ。
他にフレディ子息と接点がみつからない。
「分かったぞ、リリー様がユーリになにか恨みがあるとかだ」
ポール子息がとんでもない事を言ってる。
「まあそんな事、言ってはいけませんわよ、ポール様」
「そうですわ、いけませんわよ」
「まあ、手合わせするだけですから僕が受ければいいだけなので気にしないで下さい」
僕がこの話はこれで終わりだと切り上げると、何故か先生が僕との手合わせを申し出た。
「あの、もういいですか。疲れました」
僕は地面に疲れたと言って座る。
先生も息が荒いがまだ余裕の様だ。
「わかった、みんな剣術の授業はこれで終わる」
疲れたふりをするのも疲れるな。しかし、何の為に手合わせをしたのかな。




