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聞かいない方が

ユーデット様には部屋に籠って貰う事にした。


同じ顔が一緒にいる訳にもいかない、ミアちゃんはお昼寝中だ。


ミアちゃんが寝る前に、戻って来るから偽物のそばに居てと話した。


階段を下りて来た僕は、目の前のドアを開けた。


「隊長はいますか?」


「はい、何でしょうか、ユーデット様」


周りを見てもあの騎士さんはいない。


「急いでアルジュ村に行って下さい。何処かの宿に行商人のロードさんが泊まっています、その人にこの手紙を渡して下さい。馬なら直ぐに着くはずです、お願いします」


「何処に泊まっているか分からないのですか?」


「はい、分かりません。それでも僕の大事な人に手紙を届けて下さい」


「分かりました、行商人のロードさんに届けてきます」


走って行ってくれた、これで連絡は済んだ。


「この後はどうすればいいんですか?」


「会場に向かえばよいかと思います」


ユーデット様付きのゼンさんは歩き出した。


「ユーデット様は叔母様と会ったんですよね」


「はい、お会いになりました」


初めての叔母様か、子供達皆が会った事が無いなんて不思議だ。




会場はお城の中なのに客席がある、このガーベラ王国は戦闘好きなのかな、コロシアムもあるし叔母様が剣士を連れて来る事はよくある事なのか。


豪華な客席にはこの屋敷の貴族様達がいる。貴族様達以外にも沢山のお客さん?がいる。


会場の反対側に男性がいる。既に、武器を手にしているので対戦相手だ。


「あの人が僕の相手かな、長い両手剣か。僕の武器は何処にあるんだ」


「ユーデット様、後ろの壁際に武器はあります」


後ろか、振り返ると沢山の武器が置かれていた。1本1本を横にして掛けるタイプの物と、縦に雑に入れる傘立てような家具が置かれていた。


「どれを使ってもいいんですか?」


「構いませんが、本当に戦うのですか?」


「まあ、頼まれたし、面白そうだから」


「面白そうですか」


「冒険者を目指す者として剣術の練習はしなくてはなりません、それに魔物と人間では戦い方が違うので勉強になります」


「大きな怪我はしないで下さい、入れ替わっているのがバレます」


「分かりました」


あの人と同じ長さの両手剣にしとこう。これで条件は同じだ。


「これより試合を始めます。当家のユーデット様とコロシアムの年間優勝者のボルトさんです。参ったと言った方の負けになります」


参ったか、最初に言うのは無しだよね、こんな雰囲気なんだから。


入れ替わっていなかったらユーデット様は大けがをしていたかもしれない。


「準備が出来たら中央まで来て下さい」


剣さえあれば他に準備する事もない、心の準備か。





始めの合図から一歩も移動していない。


相手の攻撃を凌いでいるだけだ。


観客席では静かにこの戦いを皆が見ている。


「ユーデットは、あんなに剣が使えたのか」


「お兄様~頑張って」


「お兄様は本好きの魔法使いなのに剣もお出来になるのね」


「手紙に書いてあったのは本当の事だったのね」


「ユーデット、攻撃をしないさい」


応援されてますよ、ユーデット様。


今回は逃げるが勝ち作戦は使えない、手紙に書いたガーベラで一番強い剣士が、逃げ回る作戦は実行出来ない。


お母様の声援に応えるかな、暇つぶしにもなった。


剣で受けるのをやめて、攻撃してきた剣を避けて、その剣の勢いを更に付ける為に後から追いかけて剣を打つ。


相手は予想外の動きで剣の勢いが増したので体勢を崩した。


僕は当てた剣を引いてもう一度攻撃する。


「まだ続けますか?」


僕の剣は相手の首で止まっている。


「まだだ~」


あれ、普通は参りましただよね。


何で気が付かないかな、僕は両手剣を片手で使っているのに両手で使っている剣の威力を簡単に止めているのに。


それなら足も使いましょう、攻撃の数も増やすか。


「受けて見て下さい、これから攻撃に移ります」


「うるさい」


これからの行動を教えてあげたのうるさいと言われました。


相手の剣を弾いて攻撃、相手の攻撃を避けて攻撃・・・・・足を掛けるのは反則なのかな。


試合だから足を掛けるのはやめとこう。


久しぶりの剣の感触にいつかもっと上を目指すと誓う。剣が無いのが悲しなってきた。


いかん、感情のままに攻撃しては相手が死んでしまう。


お金はいつか貯まる、それまでにする事が沢山ある。


剣を両手に持ち相手の剣を弾く。


高く上がった剣を見ていると相手が倒れた。


「寝たふりですか、何処にも当たっていないの」


「うるさい、俺にもメンツがあるんだよ。誰にも見えてない筈だ」


「僕には見えてましたよ」


「いいんだよ、他の人には見えてなければ」


この人が優勝者でいいのか、何か卑怯な事で勝ち進んでいるんじゃないのか。





試合が終わって家族の皆が集まって来た。


どうすればいいんだよ、段取りでは逃げる様に部屋に戻るはずが、後ろからも関係者が来たぞ。


「お兄様、凄いです。感動しました」


ああ・・・・・家族の名前を聞いてないし、聞いても覚えないけど、名前で呼べないと会話が成立しないぞ。


「妹よ、応援ありがとう」


「まあ、あたり前です」


小さい妹が下から見上げている。


「お兄様、剣術がお出来になったんですね」


「そうなんだ、学園で少しな」


もう疲れた、ゼノさんは壁際でこちらを見ているだけ。


「そんなに剣が使えるなら、本など読んでいないで騎士団に入らないか」


お父様の申し出は受けれない、本人でない僕は断らないといけない。


「お父様、僕は本から色々な魔法を知り更に魔法を進化させたいと思っているので騎士団には入れません」


「それはそうよね、ユーリ」


誰か僕を呼んだぞ。


家族の後ろから女性が歩いて来る・・・・・・シーラさんだ。


「ユーデットより背が低いのね。どうしてここに居るのよ」


「ええと、初めまして弟のユーリです、兄のユーデット様にお願いされて、あそこの人と戦いました」


「「「「ええ~」」」」


お父様が僕の顔を確認している。


「おお~、君はオーク肉を売ってくれた行商人の子供だね」


「そんなん事ありましたか?」


「ああ、そうか、息子と勘違いするほど似ていたんだ、それで覚えていた。私の顔を見ても無反応だから人違いだと納得した」


「思い出しました、プリンランの村でオーク肉を全て売って欲しいと、立派な貴族様が買いに来ました」


「そうか、立派か~」


そこなんだ。


色々と説明する事があるけれど、客席の人達の事も考えて後で話そうとなった。





後で話そうと言われ帰れない事に気が付いた。


アルジュ村には今から向かうと入れない可能性があるので、何処かに泊まらないといけない。


「コンコン」


誰か来た。


「どうぞ」


「ユーリ、久しぶりね、説明をして下さい」


「手紙が来て代わりに戦いました」


「短くしないでよ、全部よ」


全部か、横にはミアちゃんが座っている。


「僕が分かっているのは、シーラさんとの手紙のやり取りで、見栄を張り剣の戦いなら誰にも負けない、シーラさんがそれなら相手を連れて行く。ここまでが手紙のやり取りで、戦う相手から逃げる様にアルジュに行ったユーデット様。ユーデット様を見つけてダリューンに戻る時に僕に似たユーデット様の次の馬車に乗ったミアちゃん、その馬車を追いかけた僕は屋敷に居るかもしれないので門まで来るとすんなりと入れたので中で捜索、ユーデット様に会って試合に出る事になった」


「ユーデットはユーリにお願いしたのね」


僕の説明で事情が分かったので、それを他の皆に話しに行くと出て行った。


出て行く時に『夕食はお願いよ』と言われる。


泊まる事になったので、食事の用意でもするかと席を立つと笑顔のミアちゃんが洋服の端を引っ張っていた。


「コネコネするの?」


この瞬間にハンバーグに決まった。


「コネコネしますか?」


「はい」




シーラさんのお願いを聞いて夕飯を作った。


もう定番になってしまった、ハンバーグにビーフシチューだ。


腹ペコ達は喜んで食べている。


ミアちゃんが大人に見えるぐらいの食べ方だ。


「ユーリ、他に美味しい料理は知らないの?」


「有るような、無いような感じです、作り方が分からないのは知らない事になるので、シーラさんにお出しできる料理はありません」


一杯あるけど材料の確認とか大変だし、貴族様が喜びそうなものだと、お菓子になる。


お菓子は意外と簡単なんだけど、混ぜる時の温度と焼く時の温度が大事だから、温度調節とプロの腕が無いとダメだ、後はゼラチンがあれば色々出来るんだけどゼラチンを作るのが面倒だ。


「隠し事は無しよ、特に新しい事は教えてよね」


新しい事か、つい最近だと温泉ぐらいだな。


「シーラさんはお風呂を知っていますよね」


「知っているわ、ローランドの貴族の屋敷には大体有るみたいよね」


「そのお風呂の豪華版が温泉なんです、温泉は疲れが取れるし、お肌がツヤツヤになるんです」


「温泉か、いいわね。ガーベラには無いから、ローランドの何処にあるの?」


周りの皆も聞いていた、手が止まっている。


「ここから近い所です、僕の記憶だと山の名前が王都の名前と同じなんです。ガーベラ山です」


「ガーベラ山に温泉があるの、聞いた事が無いわね」


「ユーリが見つけたの、皆で入った」


ミアちゃんが食べるのをやめて報告してくれた。


報告が終わると、ハンバーグにタレを掛けて食事を続けるミアちゃん。


「ユーリが見つけたのね、それで今はどうなっているの?」


「僕達がガーベラの西門から出発した時には行列が出来てました」


何か考えているシーラさん、他の皆も何か考えている様だ。考えるのは任せて、僕は食事を始めた、すると考えるの皆が止めた。


「ガーベラに急いで行かないと、温泉に入るわ」


「そうですね、私も入りたいです」


「そうですね、お姉様」


「私達も付いて行きます」


「そうです、お肌がツヤツヤです」


「そうだな、疲れを取るのに皆で行こう」


「そうですね、お兄様にも久しぶりに会いたいです」


「そうね、お兄様も色々とお疲れだから、今頃は温泉に入っているわね」


お兄様か、偉い人なんだろうな。貴族様の兄弟は貴族様。


「お会いになるんですか、国王様もお2人に会えて喜びますよ」


あれ、領主様からとんでもない事が聞こえてきたぞ。


「あの~、シーラさんのお兄様は国王様?」


「そうなのよ、お兄様は国王様なのよ」


だから貴族様とお知り合いになりたくなかったんだよ。


シーラさんを何て呼べばいいんだ、国王様の妹は・・・殿下しかしらない。


試してみるかな「シーラ殿下、国王様の妹殿下、何て呼びますか?」


「今までと同じでいいわよ、それに内緒なんだから話しちゃダメよ」


誰に内緒なのだろうか、隠し子かそうか大変だな。


「隠し子じゃないわよ」


「声に出ていましたか?」


「そうね、聞こえていたわね。安全の為に話さないで欲しいだけよ、私はよく出かけるからあまり知られたくないだけなのよ」


ここに居ると危険なので、ミアちゃんの食事が終わったら部屋に戻ろう。


ところで、温泉の説明をしていないけど、皆はお風呂の事ご存じなんだろう、シーラさんが話していそうだ。

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