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会長さん

見えてきた王都ガーベラは、王都ローランドと比べてもどちらが大きいか分からない程に大きい。


城壁の前の堀も大きい。いつものあれがしたくなるなこれだけ大きいと。小声ならいいかな、やめとこう、騎士団が馬で北の方に向かうみたいだ、聞かれたら危険だ。


凄い行列だ、前の人に聞いてみるかな何でこんなに並んでいるのか。


「すいません、お聞きしたい事があるんですけど」


振り向いてくれたおじさんが「何かな」と言ってくれた。


「この行列はいつもなんですか?」


「ああ~、プリンランのお祭りに行って来た人達の列だと思うよ。私もお祭りの帰りだ」


でも、街道であまり見かけなかったけど。


「皆、徒歩で帰って来たんですか?」


周りを見てこんなに歩いているなら途中で会ったり、追い越したりするはずなのにと思う。


「皆、寄合馬車で帰って来たんだ。だから今だけ混んでいる」


「そうですか、ありがとうごさいます」


同じ頃に出発した寄合馬車か、僕が走っている時には見えなかったけど近くにいたんだな。





時間が掛ったが街の中に入れた。


「凄く広くて大きい、お城もあんなに大きい。お城の横の建物も大きいな」


「あれはコロシアムだよ、王都は街の中にあるんだよ」


ロードさんの説明では、7日に1日だけ試合がある、腕を競う大会で約30日で優勝者が決まる。


1年間で12人の優勝者が出る、剣と魔法は使いたい放題らしい。魔法使いは不利なので剣の出場者しかいない。


優勝者には武器一式と賞金が貰えるらしい。


「ユーリ達は本当に宿の手配をしなくていいんだな、後からでも泊まりたくなってら言ってくれ」


「はい、10日後に宿に尋ねて行きます。それではご免」


急いでいつもの様にギルドと木工工房にお願いをしに行った。





「さて行くぞ、ガーベラ山」


「「「「「お~」」」」」


自分の為にやる気を出したのに、皆が付いて来る。


仕方ない、お酒と食べ物を皆に出して貰ったので同行を許可した。


「走っていきますか?」


「ダメです、付いて行けません」


体力のない魔法使いのマリアさんから走るのは禁止された。


冒険だから歩くのだ。


「バキューン、バキューン、バキューン」


「バキューン?」


そうか、皆もいた無詠唱だな。


「魔法の練習です、まだ使えませんが」


「やめとけ、魔法は制限がありすぎて集団での戦闘には向かない。支援位しか出来ない」


ルーベルさんの指摘に乱戦には向いてないんだよねと納得する。


「1回ぐらい使ってみたいんですよ、その為の練習です」


「俺の博打と一緒だな、1回大儲けできればそれでいい」


まだ負け続けたいらしいな、ウイントンさんは。


「それで、どんな目的でガーベラ山に登るんだ」


リーダーらしい意見だな。


「実はドラゴンさんに会いたいんです、情報では火山が好きなドラゴンさんがいるらしくてガーベラにはここと西の方にあると聞いたんです」


「伝説のドラゴンを探しているのか、見た者がいないと聞いたが情報は確かなのか?」


「火山が好きなのは確かな情報です、何処の火山かは分かりません、近い所から調べようと思ったんです」


「俺もドラゴンに会いたいな」


「私も会いたいな」


皆は、いれば会いたいと言っているけどいないだろうと思っている様だ。


南門から出てすぐに勾配になっていて、こんなに街から近いければ行きやすいのにドラゴンの情報がない。でもドラゴンは隠れている様な感じだから、隠れていて欲しい。


半日も掛からずに山頂に着いてしまった。





「今夜はここで野宿です」


「誰が食事の用意をするんだ」


「俺は出来ない」


「俺は鍋に入れるぐらいないら」


「僕が作りますよ、皆さんは自分の寝る所の用意でもして下さい」


「「「「「「は~い」」」」」」


僕が食事の用意をしていると便利丸をセットしに行ってくれた。


みんな一緒に行くなんて、仲がいいな。





皆は寝ている、見張りは無しの様だ。音がしたら起きるからと皆が言っていた。


僕はガーベラ山をくまなく歩くつもりだ。


「火山だけど気温とかは山の上だから少し涼しいな」


大岩の後ろを見る、何もない。小さい穴でもあるかと人目に付かない様な所を探す。


洞窟だと気が付くようなら場所ならドラゴンさんは発見されているはず、人目に付かない所に何かあると考えている。


「問題は、シュラさんの時の様に入口と離れた所に火山がある場合は洞窟を探すのが大変だ」


ドラゴンさんの能力があれば火山口が出入り口の場合があるけど、それらしく見えなかった。


「何処にも怪しい所がない、西の火山にいるのかレッドちゃんは」


山頂から麓に下りて来て、周りを見る、斜め右にガーベラがある。


夜だと古代の王都に見える、城壁の上にはかがり火があるのが見える。


こちらから見えるなら向こうからも見えてるのか、灯りが少ない世界だから夜に隠れて何かするのは大変だな。


「沢山の松明が動いてるのが見えるな、東の方だな」


西の方には沢山の街があるんだろうな。


西の方を見ると川が見える、火山の横を流れる川。


「あれ何か匂うぞ」


匂いの方に歩いて行く。


川の近くに匂いが充満していた。


「そうか、温泉だ。何処かに入れる所はないかな」


川の横を歩いて行くと、凄い大きさの水たまり?が見える。


「湯気が立っている、どれ温度は・・・・入れない温度ではないな」


見つけたぞ温泉だ。


周りは広い。


作戦が決まった。




皆が起きるのを待って計画を考える。


木材が沢山必要だ、でもお金がないのでどうにかしないと。


忙しくなるぞ。


楽しみだな、久しぶりにワクワクする。


皆の為に、特別に美味しいシチューを作ろう、皆喜ぶぞ。






「美味しいぞ、肉はオーク肉じゃないけど美味しい」


「ユーリに付いて来て良かったね」


無言で食べている4人は頷いていた。


「食べ終わったら相談があります」


「何だ改まって、何かお願いか」


するどいな、ウイントンさんなのに。


皆が食べ終わったのでお願いしよう。


「お金を貸して下さい、木材が買いたいのです」


僕はお辞儀をして皆の反応を見る。


いつもの様にその辺の木を木材にする訳にはいかない、ガーベラの規則を知らないし、切り出したら一遍をしてしまう恐れがある。


安全の為に購入を選んだ。


「どんな事に使うんだ」


「秘密です」


取り敢えず叩かれておく。


「秘密ですが、出来たら皆にも分かります」


「判断が出来ないな」


流石リーダーだ、考え込んだので答えが出る前に付け足しておく。


「出世払いでお願いします」


「何だそれは」


皆に分かる様に説明をした。


「何~、貸した金よりも多くなるのか、俺は貸す」


ウイントンさんすぐに決断をしてくれた。


「では、街に木材を買いに行きましょう」


「ウイルソンはそんなにお金を持っていないぞ」


冒険者だからお金を沢山持っていると思っていたけど、お金が貯まらないのか。


「まあ、コロシアムで全額を使ったからな」


バジルさんの言葉で思い出す。大負けしたんだよな、僕に賭けて、僕に賭けなくて。


「それなら皆で貸しましょう、皆で出せば負担も少ないわよ」


「そうだな、ここは皆で協力しよう。10日間はユーリと過ごすと決めたんだから」


最後にリーダーが決定してくれた。





木材を沢山買ったら荷車を貸してくれた。


皆は木材の山を見たが『ユーリ1人で運べるね』と言ってビールを買いに行った。


待ち合わせは、温泉から少し離れた場所。


今日からその場所が野宿する場所になる。


荷車を南門に向かって引いていると、リーレンさんが見えたので追いかけたけど、声を掛ける前に建物の中に入って行ってしまった。


「立派な建物だな、塀で囲まれているけど何の建物だ」


門番のおじさんに聞いてみるか。


「すいません、ここは何の建物ですか?」


「ここは薬師ギルドだよ、通常のギルドは他の所に有るけれど、ここは研究所兼薬の資料の保管と発表をする所だよ、今日は発表会だから沢山の薬師さんが集まっているんだ」


そうか、この発表会を見に来たのか。


「どうぞ、お通り下さい」


お年寄りの薬師さんかな、中に向かって行った。


「僕も入っていいですか?」


「それは駄目だよ、ここは薬師の資格の有る者だけが入れるんだ。さっき通った人も資格書の提示をしていたんだよ」


資格かの提示か、僕の持っているこの紙の事かな。


「これの事ですか?」


「君も薬師なのか、この資格書はマリサ会長の署名入りだ」


本当に会長だったのか、でも会長は何でカルテアに居るんだろう。


「入ってもいいですか?」


「資格書を持っているなら仕方ない、どうぞお入り下さい」


「ありがとう」


お礼を言って、邪魔にならない所に荷車を置く。


「どんな薬があるのかな、楽しみだ」


ある部屋に人が流れて行くので付いて行く。


部屋の中は広い、大きな教室みたいだ。


ドラマとかで見た大学の教室みたいに教壇から教室の後ろの方まで段差がある。


前の人の頭が邪魔にならないけど、広いのでリーレンさんがどこに居るかわからない。




「これより、1年間の間に出来た薬の発表を始めます」


女性の司会者さんだ、筋肉がない。


「これの薬は痒み止めです、痒い所に塗れば直ぐに効果があります」


作った人が発表するんだ。


「この火傷の薬は、今までのよりも早く治ります」


効果があると言うけどそれを見ることが出来ない。


薬師の資格が有るから嘘は言わないんだろうな、少し効果が良くなった位だと思えばいいのか、そうに違いない。


どんどん発表されているけど新薬の発表はまだされたない。


リーレンさんは新薬の発表があると言っていたのに。


司会の人が壇上に戻ってきた、もう終わり?


「それでは、1年間に出来た新薬の発表です、新薬は2個あります。会長お願いします」


会長のマリサさんはどこに居るんだ。


観客席から1人の女声が立ち上がった。あれがマリサさんなのか、怪しい服装をしてないぞ。


「会長のマリサです、新薬は女性の悩みを解消するものです。この薬は凄いです、材料は安くて大量生産が出来ます」


「ああ~」


やばい、大声を出してしまった。あの新薬は松茸が材料の女性限定の薬だ。


「あらあら、ユーリじゃないの、ここに来て」


名指しされて無視は出来ないので、仕方なく壇上に向う。


向かっているとリーレンさんと目があった。


僕は小声でマリサさんに話し掛ける。


「何で呼んだんですか?」


「いいじゃないの、ユーリの松茸のおかげなんだから」


「そんな事で呼ばないで下さいよ」


「ゴホン」


司会の女性の咳払いで会長のマリサさんが会場の中にいる、薬師の皆さんを見回して話し出した。


「今、紹介された新薬は、この少年のアイデアを薬に応用したものです、材料もユーリから提供を受けました。ユーリは女性の悩みの事を知っていてそれを薬になる前に食べ物で実行して効果を女性の皆さんに与えました。それは、私達の常識とは違うスープでした。安全な食材から作る事が出来たのです。既にお薬は販売しています」


マリサさんの説明を聞いていた会場の皆から凄い拍手が、女性の拍手は男性よりも早く感激度を表している様で、男性の皆さんを困惑させた。


マリサさんが小声で話しかけて来た。


「その手どうしたの?」


「ある事情で骨折したんです」


最初から手に包帯の代りに布を巻いていたのに、今気が付いたのか。


「流石ユーリね、私が見込んだ薬師だわ」


何の事だ、マリサさんはたまに分からない事を言うよな。


「次の新薬も会長が御作りになりました」


会場の拍手が鳴りやむと、司会の人が次に発表するのもマリサさんだと言った。


凄いぞ、新薬を2種類も作ったのか、しかし、新薬がこんなペースで出来ていいのか。


「皆さん、ここに居るユーリの手を見て下さい。骨折しています、骨折をする人は少ないので貴重です」


リーレンさんも同じ事を言っていたな。この世界なら骨折位一杯いそうだけどな。


「さあ、ユーリこちに来て下さい」


「痛いです、引っ張らないで下さいよ。骨折してるんだから」


「これを飲んでユーリ」


僕が会場に視線を向けると、事の成り行きを見守る様に壇上にいる僕達に視線がむけられていた。


マリサさんが待っていた新薬の助剤を僕に渡した、手を上げて光にかざして見たが、辺な外見はしていない。


危なくないのかな、薬を作る人達は試したくてしょうがないんだろうな。


「早く飲みなさい、皆が見てるんだから」


見ていた錠剤を取られ、そのまま僕の口の中に入れられてしまった。


「飲んじゃたじゃないですか」


ニヤリと悪人顔になったマリサさんは「皆さん、ユーリは飲みました、見ていましたよね」と会場の皆さんに聞こえる様にお声を上げた。


会場の皆は静まり返っている。どうなるんだと僕も皆の様に思っている。


マリサさんが僕の右腕を上げる、何しているんだろう。


「どうですか、もう治りましたよ」


「ええ~、痛くない。どうして」


シーンと静まり返っている会場に僕の驚きの声が響いた。


「ユーリ、新薬は骨折を治す薬なのよ」


新薬の確認だったのか、変な錠剤を飲ませるからどうなる事かと、説明が無いんだよな。


あれ・・・・・・。


「僕の骨折が治ったの?」


試すために目の前に有る教卓を右手で掴んで力を入れてみる、おお、持ち上がったぞ。


「おお、痛くない。簡単に持ち上がる、教卓て軽いんだな、やった~」


「ユーリ、嬉しいのは分かるけどどいて」


「はい」


言われた事に従って横にズレて教卓を置いた。ハア~治ったんだ。異世界は凄いな、何回も折ると強くなる筈、いや癖がついて脆くなると聞いた事がある。誰だよ折ると強くなると言った奴は。


「どうですか、骨折が治りました。この新薬の材料を提供してくれたのもユーリです。それも自分の手を骨折して、今日、こうして現れてくれるなんて、私の為の日ですね」


マリサさんの日か、いい日だな。手も治ったし帰ろう皆が待っている。


僕は小声でマリサさんに伝える。


「帰ります、知人がいたので来ただけなんです。急いで行かないと、僕、忙しいので、これにてご免」


「そう、またね」

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