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何でここに

朝の食事が終わると今日も広場に荷馬車を引いて行く。


祭りのお客は朝食を食べただいぶ後に来るので時間に余裕がある。


昨日の販売は夕方頃から夜までの短い時間だったが、それなりに売れたとロードさんは言っていた。


それなりに売れたので今日はいつもの様に品出しをしたら自由時間だ。


アメリアさんとミアちゃんもお祭りを楽しむためにロードさん達と別行動らしい。


アルさん達も朝の荷馬車の手伝いが終わると何処かに行った。


「さあ、ギルドで依頼のチェックをするぞ」





掲示板には沢山の依頼がある、カルテアより報酬がいい。


「ここなら冒険者も少しは稼げるかな」


僕の言う冒険者はFランクの事だ。駆け出しの冒険者はコツコツと数をこなす、報酬がそんなに良くないが、その地域で役に立つ依頼が多い。小さい子供も受けるので、街の外の近い所で採取したり、弱い魔物の討伐の依頼を受ける。


依頼には聞き覚えのある動物の名前の魔物が多数あった。


「うさぎ、オオカミ、蜘蛛、ヘビ、熊」


うさぎは見た事があるけど、オオカミには会いたくないな。オオカミだと集団行動だよね。


蜘蛛は嫌いなので、気絶してしまうかもしれない。


千葉の海に行った時に、海の家を経営しているおばさんと両親が知り合いで、おばさんの旦那さんが運送会社の経営者で、会社の前に在る寮に泊めてくれたんだ。


東京に住んでいる僕達は泊めて貰った寮で大きい蜘蛛が押し入れの中にいるのを発見した。


慌てずに閉めた襖、閉まるまでに見た蜘蛛は15㎝位あった、手のひらよりデカい。


押し入れから微かな音がして寝れなかった。それからは蜘蛛が嫌いになった。


異世界の魔物だから人の大きさはあるかも知れない。


「すいません、ギルマスはいますか、お話がしたいんです」


僕は考えたのだ、この行商の旅でこの大陸の街を知ろうとしていたが全て分かるわけではない事、最初の目的は街を知ろうだったが、何でドラゴンの情報を集めないのかと、色々な街を回っているのに情報を集めないと二度手間になる事に・・・やっと気が付いた。


そこで考えたのが、ギルマスに聞こうだ。ギルマスは冒険者だった人が多いので、ドラゴンの事を何か知っているんじゃないかと。


「呼んで来ますね」


ギルドの受付の人はとも親切で嬉しい、この仕事に女性が多いのは親切な人が女性に多いからだろう。ギルマスは色々だ・・・本当に色々と残念な人がいる、たまに。


「何かしら?」


女性のギルマスだ、初めて見た。


「ドラゴンさんを探していてす、何かお知りではありませんか?」


「そうね、ガーベラの受付のターナなら知っているはずよ」


遂にドラゴンの情報が、聞いて良かった。


「ありがとうございます」


「あら、それだけでいいの他に聞きたい事は無いかしら」


そうか、レッドちゃんは火山が好きだ。


「ガーベラ王国に火山はありませんか?」


「火山は二つあったはずよ、一つは王都ガーベラの南にあるガーベラ山ね、後は西の方で名前は憶えていないわね」


おお、近くに火山があるのか、そこには行ってみるかな。街から近いなら休みの間に行ける。


西の方は行商の旅で行くかもしれないな。


「ありがとうございます」


ドラゴンさんの情報を教えて貰えて嬉しい僕はギルマスにお礼を言うとギルドから外に出た。


「ああ、済まない・・・ユーリか、何しているんだい?」


ギルドの入口でぶつかった人は薬師のリーレンさんだった。


「お久しぶりです、僕は行商人の雑用の仕事で旅をしてるんです。リーレンさんは何してるんですか?」


凄い偶然だな、異世界あるあるかな。高校1年生の夏に高校の友達と九十九里浜に海水浴に行ったけど、そこに小学校からの友達が高校の友達と遊びに来ていた。


ばったり会った友達のグループはサーフィンをしに来て休憩中。なので、お願いして板を貸して貰った。板の上に立つ事が出来る様になると波に乗るのはそんなに難しくなかった。


楽しかったけど、偶然とは凄いとこの時に思った。


「王都で行われる薬の発表会に出る為にガーベラに向かっているんだ。まだ数日先なのでお祭りを楽しんでいるんだ」


お薬の発表会か、どんな薬が発表されるのかな。


そうだリーレンさんに聞いてみるかな。


「リーレンさんが教えてくれた便利丸は誰かに教えてもいいんですか?」


「便利丸?」


ああ、勝手に名前を付けていたんだ。


「魔物が嫌っている便利な薬の事です」


「あれの事か、便利丸か。変だけど面白い名前だな。その右手はどうしたんだ?」


リーレンさんの視線の先に僕の右手が。


「崖から落ちた時に手から落ちたので。骨が折れたんです」


「気を付けろよ、骨折は治るのに時間が掛る3ヶ月くらいだったかな、あまり骨折する人もいないからな」


ええ~、僕の骨折はまだ20日位しかたっていない、後70日もこのままなのか。


リーレンさんとギルドの前で別れた。その際に便利丸を教えるのも販売するのも好きにしていいと許可を貰った。


今回の旅で試していたり、使っていたのを皆には言っていなかった。リーレンさんに許可を貰うまで誰にも言わないつもりだった。


最初に教えて貰った時に薬師なら知っている人が多いと言っていたけど、販売されてないし使っている人も見た事がなかった。自分が使っている時の香り以外に匂いを嗅いだ事がなかった。





特売の武器の前に立つている、価格はお祭価格らしい。


後ろではアルさん達が新しい武器を購入するかを話している。


名刀を探すのをやめたけど、特売品は見たいので武器屋さんに来た。


「凄くカッコいいなこの武器は、伝説が付きそうな価格で売っている」


小銅貨2枚だ、伝説だ。でもやめよう同じ武器は要らない。


パチンコ2個を使いこなす自信はない。


伝説の武器は誰か他の人に買って貰おう。


まだ話し合っている皆と挨拶を交わし店を出た。




僕の作戦を実行するのに木工工房で、小樽の細工を見せて同じ物の大きいサイズを作れるか聞いてみた。


「出来るよ、他の部品もうちで注文してもいいぞ。そんなに売れるのか?」


「はい、農家の皆さんが買ってくれれば農家の数の4倍まで売れます。1家に4台の時代です、説明は今見た様に動かすと相手に分かりやすいです」


「それでいつ頃売れだすんだ」


「それは、ギルドに頼んできましたので数日中ですね、口コミで農家の人に知れ渡ればどんどん仕事が来るはずです。作る時間があるなら説明用に小さいさを作るのもいいですね」


「そうだな、君と同じ位のを作るか」


農家の人が来たら販売と説明をお願いした、訪れた街の木工工房にネズミ被害を無くす為の道具作りをお願いしている。


ギルドにはネズミの被害に合って困っている人に、便利な道具が木工工房に売っていると紹介してくれる様に頼んだ。





夕方になると僕は広場の片づけをする為に向かった。


「そろそろ片付けますか?」


「そうだな、夜売れるような商品は無いからな、皆片付けて今日こそ一緒に食事を食べよう」


「お祭りなのでビールが飲みたいですね」


ベルンさんが珍しくビールを飲みたいと言っている。


「そうだな、たまにはいいか。飲み過ぎない様にしないとな」


皆は飲む気だけど、僕は子供だ後1年は飲めません。


お酒か、そんなに美味しくないんだね。中学生の時にお祭りで間違えてビールを飲んだけど不味かった。


荷馬車が1台なのでみんなで押して裏庭の井戸に向かった。





「皆ご苦労様、昨日は出来なかった食事会です。沢山食べて飲んで下さい、乾杯~」


僕とアメリアさんとミアちゃんはジュースだ、他の人達はビールだ。


料理は焼き物が中心だ。


野菜炒めに、焼き肉、野菜スープ、魚介類の焼いた料理。


僕は野菜系が好きなので野菜炒めと野菜スープだ。何種類かあるので少しずつ食べる。


「お祭りはいいですね、客が沢山来てくれるので」


「そうです、お客が少ないとかの心配が要りませんよね」


「そうだな、ありがたいよ」


行商人の3人はお仕事の話をしている。


「遂に新しい武器を買った。安くなっていたな」


「いいよな、俺も金貯めるかな」


「あんたは博打で直ぐに使ちゃうでしょうが」


「私も武器を新しくしたい」


「使い慣れているのが一番だぞ」


「買うのはいいが、まだ使えたのに」


ルーベルさんは武器を買ったのか。使っていた武器はどうしたのかな。


「ルーベルさん、使っていた武器はどうなったんですか?」


「ああ、新しいのを買う時は買い取って貰うんだ、差額を払て新しい武器を買う」


へえ~、一度もした事ないな。


「ミア、残念だったわね」


「はい」


「何が残念だったんだ」


ロードさんがアメリアさんの話が聞こえて、残念だった事をきいているな、何が残念なのかな。


「カルテアのお祭りで珍しいお菓子が売られてたそうなんです。それをミアは楽しみにしていたんです」


「そうか、カルテアのお祭りには間に合わなかったからな」


「お祭りの度に探そうとミアと約束していてので、今日・・・探してみたんです」


「探しました、でも、なかった」


珍しいお菓子か、僕の白い雲も珍しいお菓子かもな。


「ユーリはカルテアに居たんだから、知っているんじゃないのか?」


バジルさんが僕に話をふってきた。


「僕は市場の皆さんと一緒に露店を出していたので料理を沢山作っていました、お祭りで何が売られていたか分からないんですよ」


「そうか、何か手掛かりがあれば、俺達も探してあげれるんだけどな」


「名前は分かっているんです、けど、見た目が分からないので露店の人に聞くしかないので大変なんです」


「どんな名前なんですか、私も協力します」


「白い雲です、カルテアに着いた時に子供達が話しているのをミアと聞いたんです」


白い雲か同じ名前だ・・・同じ物だよね。


「そうですか、白い雲ですか、僕は知っていますよ。そうあれは先ず機械を作る事から始めました。木工工房の親方に任せたので、時間が掛りましたが徹夜で作りました。炭も自作で温度調節がし易い様に団子炭にしたんです。子供達が・・・・ロードさん襟を掴まないで下さい。話しずらいです」


「ユーリ、説明はいいから作れるのか白い雲とやらを」


「まあ、機械を作れば白い雲は誰でも作れるし、機械なしでも食べるだけなら簡単です」


「お願いです、食べたいです」


下を見るとミアちゃんが見上げておねだりをしている。前にもこんな目をされた事があるな。


ハンバーグの好きな、エミリー嬢の目と一緒だな。僕はこの視線に弱いんだよな。


「では、近日中にミアちゃん専用の白い雲の機械を作ります。ではこれにてご免」


近日中は、今日中なのだ。


「おいユーリ、まだ食べ始めたばかりだぞ」


ミアちゃんの目は人を働かせる事の出来る、僕だけだけど、働くか。


走りながら考える、個人用ならあんなに大きくなくていい・・・作りも簡単にできる。


「材料は使ってもいいんだよな、慌てて確認を取るのを忘れた。ミアちゃんの為だロードさんも気にしないだろう」


勝手に納得したが、使う物が少ないので大丈夫だろう。


「白い雲か、子供は好きなんだよな」


僕も小さい時にお金を入れてぐるぐるしたな。

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