大繁盛
「おはようございます」
「ユーリ、おはよう。馬車を広場に移動だ」
仕事の時間だ、ロードさんの指示に従い、荷台に馬を取り付けた。
馬が2頭だと荷台も大きいな。
「広場についたら馬はどうするんですか?」
「ここの厩に戻すよ、夕方ぐらいにまた連れに来る」
3台の馬車のうち2台を広場に運ぶんだな。
広場には予め用意してある露天の台があった、そこに商品を並べていく。
商品は何でも有るようで、食材、調味料、小物、服、食器等。
武器と防具もあるのかな・・・・・・有りませんでした。
並べていると興味のある人達が露店台に近づいて来て商品を見ている。
「色々あるな、見てもいいかな」
「どうぞ、何でも聞いて下さい」
ヒューラさんが担当するみたいだ。
僕は渡せれた紙に書いてある場所と台の位置を確認すると。商品をどんどん並べる。
在庫は馬車に残して、手に取りやすい様に少し間を空ける。
ムーデンに来るまでの間に色々と説明を受けている僕は、聞いた事を思い出しながら商品の並べたところが合っているか確認した。
高級な香水、高級なお酒も台の奥の方に並べた。
どれも産地で安く買い、離れた地域で高く売るんだな。
「ユーリ、もういいぞ。売れた商品は私達で品出しするから夕方頃に来てくれ、お昼は宿で用意されている」
「はい、夕方来ます」
もっと仕事があるのかと思ったけど最初の商品の陳列しか仕事がなかった。
これは思ったよりも暇な旅になってしまう。
僕も行商人スキルを使おう。
「しかし、、経験のない僕に何が出来るか、何か売れる物を考えるか」
食べ物しか思いつかない。
軍資金が無いぞカードには銀貨1枚も貯まっていない。
市場で安い食材を探そう、ここは海が近いから魚介類が安いはずだ。
魚介屋さんで安いのは、サザエだ。
食べたいな、魚介屋さんには焼く露店が用意さている。
「ユーリは何を見ているのかしら?」
あまり話した事のないマリアさんが聞いてきた。
マリアさんはロングヘアーだ。この世界の女性はあまり長い髪の人はいない。
「この貝を見てました」
「美味しくない貝を見ているんだな」
僕が見てい貝を教えるとアルさんが美味しくないと言っている。
「安いだけの貝か」
ルーベルさんも美味しくないけど安いと言っています。
「いいじゃない、安ければ沢山食べれるのよ」
ルルさんも美味しいとは思ってないんだな。
人には好みがあるからね、それに美味しい料理は下ごしらいを丁寧にする事で本来とは違う味になる。
僕が色々考えていると、男の子と女の子のが僕の事を見ていた。
僕は歩いてその子供たちの所に向かった。
「どうしたんだい、あの貝が食べたいのかい?」
「父ちゃんと母ちゃんが一所懸命に獲った貝なんだよ」
「あまり売れないと買い取って貰えない」
いい子達だな、あの悪い6人の大人の事は忘れよう。
そう仕事は頑張っても報われない事もある。
それを誰も分かっていない、裕福になると見向きもしなくなる。
誰かが見えないところで頑張っているのを気にしないし馬鹿にする。
そうなんだ、嫌がる仕事をしている人もいる、それが当たり前の様に。
ゴミの回収の人も汚い人と見られている。昔よりは匂いがしないが祭日でも回収に来る。
この子達の両親も誰かが食べてくれると思い頑張っている。
そうなんだよ、食材を美味しく食べる努力が足りないんだよ。
焼くか煮るしか考えつかない、下ごしらえの事も料理で美味しくする事を頑張っている父さん達は食材を美味しくする努力をしている。
僕の好きな土瓶蒸しも美味しい・・・・他の食べ方だとそんなに美味しくないけど。
「君達の父さんとお母さんに美味しい食材をありがとうと言ってくれるかな、ここにある貝は僕が全部買うよ」
「本当~、買ってくれるの」
「うん、僕は美味しく食べる方法を知っているんだ。そうだ君達も食べよう、僕の奢りだ」
「でも、そんなに美味しくないよ」
子供は正直だな、でも美味しくなったサザエを食べさせたいな。
「おじさん、買ったら焼いてもいいのかな?」
「ああ、その為の露店だ」
「この貝を全部下さい。それで露店を貸して下さい」
「いいのか、全部だと200個位はあるぞ」
「あの1個いくらですか?」
「1個小銅貨1枚だ。全部で大銅貨2枚でいいぞ」
「ありがとう、カードでお願いします」
支払いを済ませんて、焼こうとしたが調味料が無い。
「君達ここで少し待てるかな、急いで美味しくするソースを取って来るから」
「うん、待ってる」
「本当に買ったぞ」
「ああ、あんなに買ってどうするんだ」
悪い大人はほっといて調味料を借りに急いで行こう。
急いで戻って来た僕は、サザエがもっと美味しくなれと魔法を掛けて、下ごしらえを手早く済ませた。
「こうすると身が硬くならないんだよ、それで食べやすい大きさに切ってこのソースを入れて焼くんだ。中は柔らくて外がコリットして美味しくなるんだ。食べてごらん」
露店のお皿にホークを借りて2人に渡す。
「美味しい、これ本当にあの貝なの」
「美味しい~」
「そうさ、お父さんとお母さんは美味しい貝を獲ってりるんだよ。みんなが美味しく作れないだけなんだよ」
何故か、ずっといる・・・・暇な6人は驚いている。
「試しに食べてみますか?それとも食べないで不味いと決めつけますか」
「言い出したのは俺だ、食べる」
そこまで頑張って貰わなくてもいいんだけど。
「美味しかったら僕のお願いを聞いて下さいよ」
「え、何故そんな条件を」
「子供の前で不味いを連呼した責任を取って下さい、美味しければ」
暇な6人に美味しいですよと言って渡して、子供達にもお代わりを渡した。
「ええ~、美味しい、凄く美味しい」
「おお、コリコリがいいぞ」
「中は柔らかいですね」
暇人6人は大げさに美味しいを連呼しているので買いたいとお客が言ってくれたので、お店のおじさんに了解を貰い販売した。1個小銅貨2枚で完売した。
子供につぼ焼きを4個お土産に持たせた。
「美味しかったとみんなが言ってたと言ってね」
「ありがとう」
「ありがとう」
2人は帰って行った・・・・・僕は食べていなかった。
つぼ焼きを1個も食べてない僕は一遍を実行した。
市場のサザエを買い尽くして食べた、5個までは美味しかったが6個目はダメだった。
飽きてしまった。
僕の後に付いて来た6人も飽きるまで食べた。
残りのつぼ焼きは、美味しそうに食べていた僕達を見て、買いたいと申し出てくれたお客さん達のお陰で完売した。
お昼を食べれないと宿に戻って行ったが、6人はちゃんと食べた。
「ユーリ、もっと食え大きくなれないぞ」
誰かが言っていた。
儲かったので大きいリュックを買って街の外に出て便利草を沢山取った。
何処にでも生えてる便利草、今は在庫を増やそう。
試してみたい事がある。
夕方になる前に広場に戻ろう。
「片付けますね」
「ああ、疲れたよ、お昼を食べ損ねた」
「そんなに忙しいんですか?」
「行商は売れそうな物を持って来るのでお客さんも見に来てくれるんだ。まあ、変な物を持ち込むと相手にされなくなるけどね」
奥が深い行商、経験も相当積まないと赤字になるんだろう。
ロードさんは若いのに凄いな。
ロードさんは22歳アメリアさんは20歳だ。
冒険者より若い、冒険者のメンバーの平均年齢は25歳位だ。
「馬を先に連れて来た方が良かったですか?」
「いや、片付けた後の方がいい、周りに迷惑になる」
「では、片付けも終わりそうなので馬を連れて来ます」
「ああ、連れて来てくれ」
「さあ、働くのです、食事の前の労働です、もう少し腰を落として」
「皆さん、引いて下さい。大漁ですよ」
「せえの~」
「せえの~」
今日は早起きして宿屋に皆を向かえに行った。
「頑張って下さい。朝ご飯が美味しく頂けますよ」
冒険者の6人は頑張って引いている。他の客は4人しかいない、10人+関係者2人の12人で引いている。
僕は声援をあげて、皆のやる気を出している。
男性冒険者は力があるのかおじさんが僕にも引けと言ってこない。
「皆さんお疲れ様です、成果をみましょう」
網の分が砂浜の上に上がったので、朝食を食べに行こう。
「前にこの村に来た時も浜辺で地引網はされていたのかな」
「私も浜辺には行ったけど覚えてない」
「浜辺には行かないからな」
朝の食事を食べながら皆は地引網の感想を言っている。
「しかし、面白いなあんな漁の仕方があるんだな」
「そうそう、皆で協力して頑張るのがいいわね」
起こされた時はあんなに怒っていたのに楽しそうだ。
広場で品出しをした後に馬の世話が終わると自由行動だ。
地引網に参加した6人はお魚を貰って来た。
『ユーリ、お魚あげる』
『私も要らない』
6人は魚が好きではないと僕にくれた。
今は昨日の露店で魚をツナにする為にさばいている。
準備が出来たのでパンを薄切りにして出来たツナを挟んでいく。
食べやすい大きさに切れば出来上がりだ。
「出来ました、食べてみますか?」
「出来たのか、ありがとう」
露店をお借りしてツナサンドを作ったので、食べて貰おう。
「変わった味だ、でも美味しいな。さっぱりしているな」
露店を借りたお礼を言って広場に向かう。
「連日沢山のお客さんが市場に来るんだな、魚介屋さんもよく売れてたな」
今はお昼前なので日本の商店街なら歩いている人もまばらで、まだお客は来ない時間だ。
でもここでは、お昼でもお客が多い。
ロードさん達が見えてきた。
馬車にはアメリアさんが乗っているな、馬車のところに行こう。
「今日もお昼抜きだと聞いたので、差し入れのサンドイッチです」
「まあ、ありがとう。私達の分もありますか?」
「はい、余ってもいい様に少し多めに持って来てます」
バスケットをアメリアさんの前に差し出すと受け取ってくれた。
「ありがとう」
露店の3人はお客さんを相手にしていて話しかける事が出来そうもない。
並べられた商品を見ると、品切れみたいに見えるので馬車から急いで商品を取り出す。
「あらどうしたの?」
「台の上に商品があまり並んでいません、あれではお客が見ないで他に行ってしまします。急いで商品を並べます」
アメリアさんの横ではミアちゃんがツナサンドを食べていた、ミアちゃん用に小さく切ってある。
「そう、お願いね」
先ずは、ロードさんが説明しているお客さんの邪魔にならない様にして朝の様な状態にする為に決まった場所に置いていく。
ベルンさんとヒューラさんは台から少し離れて接客をしているので、台に近ずく前に並べていく。
3人の邪魔にならない様に品出しをしていると、完売している商品もあった。
30分ほど掛かり在庫の有る物は出す事が出来た。
「ユーリ、助かったよ。品出しが出来ないほど次から次とお客が来るとは、中には接客が終わるまで待っていてくれる客さんもいるから品出しの時間はなかったよ」
「そうそう、話している僕達は商品が台からなくなっていくのに困っていたんだ」
「俺はお客さんに説明していて振り返ったら台に商品が並んでいるのを見て驚いたよ、その時にはユーリはいなかったからな」
今はお昼で昨日と違いのんびり出来ている。
「ユーリ、このサンドイッチ美味しいな、材料はどうしたんだ?」
「6人の暇人が朝から地引網をして貰ってきたんです、魚は食べないみたいで僕にくれたんです」
「地引網をしているのかこの村では」
「観光の体験みたいですよ。お客が少なくてもしないといけないみたいで、暇な6人は明日も行くみたいです」
ロードさんは浜辺の方に視線を向けている。
「観光目的か、大変なんだな」




