ムーデン村に着いた
最初の目的地はムーデン村だ。
各街や村の滞在期間は3日~5日位だと教えて貰った。
ムーデン村には行った事があったが、街道を通らなかったので景色を楽しんでいる。カルテアを出発してお昼前には、街の近くの沢山在った畑は見えなくなった。
「ユーリ、君の荷物の樽は何の為の物なんだ?」
「秘密です、樽は道具として使う予定です」
「秘密か、いつか知りたいものだな」
教えづらい、商売のネタになってしまうから。
前の馬車の後ろの突き出た板の上にこちらを向いて座っている冒険者が寝ている。
よく狙って、冒険者の横に当てるぞ・・・・・・狙った所に当たった。
馬車の荷台にパチンコの石が当たった音で冒険者が起きた。
「危ないよ~」
「ありがとう~」
「パチンコか子供の時に遊んだな」
寝ていた冒険者がパチンコを見て遊んだと言っている。
やはり、遊びに使うのだな。
「ユーリは、パチンコで何をするんだい。遊び用なのかな?」
ロードさんの質問をよく考えた僕の答えは、やはり、遊び用兼武器のなのだ。
「武器が買えないので、今は武器の代りにしています」
「そうだな、武器は高価だから見習いの時にお金を貯めないと武器無しの冒険者になってしまうな、素材集めに仕事のお手伝い位しか出来ない。ユーリも頑張れよ、まだ14歳だこれからだ」
「頑張ります」
馬車に乗っているのも飽きたので、歩いたり走ったりしている。
ロードさんが移動中なら何をしてもいいと言ってくれたので体力作りと傷薬の素材集め、蔓も集める。
いつの旅と違うのは、薬が作れるようになった事だ。
「おお、これは便利草Aだ、周りに沢山有るぞ。便利草Bも有る、後で混ぜ混ぜしよう」
僕の乗っている馬車は後ろから向かって来る。あれ、僕が乗る馬車か。
傷薬の素材が街道横に生えているのに驚いた、山よりは少ないので薬師さん達は沢山生えている山に行くんだな。
お借りしたナイフで蔓から繊維にしないとな。
「お水に浸さないといけないから、次の村で浸そう」
「おーい、何してるんだ」
先頭の馬車の冒険者の男性が話しかけてくる。
「ロープの材料集めです」
「自分で作れるのか。それで、ロープは何に使うんだ?」
「今は使う予定はないです。ロープは便利なのであれば役に立ちます」
「ふう~ん」
ロードさんの馬車が来たぞ、今採った便利草を樽に入れよう。
ああ、もう樽が一杯になったよ、小さい樽だからなしょうがないか。
荷台の後ろから樽に入れていた僕は、出発した時から寝ていた2人が起きてるのに気が付いた。
確か、名前を聞いたんだよな、もう忘れてしまったのか、これも才能なのかも、そうだ、才能だな。
「おはようございます、ユーリです」
「おはよう、アメリアです。娘のミアです」
ここまでの間、自己紹介が出来なかったのは二人が寝ていたからだ。僕は急ぎ足でミアちゃんに手を振った、残念な事に手が振り返されなかった。
前を走る馬車が、街道から外れた。
「そろそろお昼か、ユーリ気を付けろ」
「は~い」
足を止めて後ろの馬車に道を開ける。
3台の馬車が街道横の広い土の地面の場所に、横並びに止められた。少しすると、荷台の後ろので焚火の火が起こされた。
魔法で付けられた火を鍋が乗る様に石を拾って来て囲った、これで鍋をかけて簡単な料理が作られる。
シチューだ。メニユーはシチューとパンだ、僕以外の人の定番だ。
僕はシチュー用のお皿にシチューをよそって配ると、パンを載せたお皿も皆に配った。
「ありがとう」
ミヤちゃん分は聞いてから渡そうと思ったのでアメリアさんに聞いてみよう。
「ミアちゃんはどうしましか?」
「一緒に食べるので、お代わりをします」
「分かりました」
これで皆に配り終わったな、干し肉を馬車に取りに行こう。
「ユーリは食べないの?」
先頭の馬車の御者のベルンさんはロードさんの仕事仲間だ、僕がシチューの皿を持っていないので、聞いて来たんだろう。
「僕は特別に干し肉なんです」
「干し肉が特別なんだ」
少し笑っているな、干し肉は海を渡って来たのだ、特別なのだ。
皆から離れて干し肉をかじり、傷薬用の素材のいらない部分を取って捨てる。
便利草もいらない部分をちぎって捨てる、後は混ぜるだけ。
そろそろかな。アメリアさんのお皿が空になっていたので、受け取るとお代わりを添えた。
「ありがとう」
「お代りする人いませんか?いなければ片付けます」
「お代わり」
お代わりを申し出たのは二人だった。食べ終わった人の食器を片付けよう。
「ユーリ、一日中走っているつもりか、まだ初日だぞ」
今は一番後ろの馬車の後ろを走っている。
馬車の後ろに乗っている冒険者のウイントンさんが話しかけてくる。
一台目の馬車に御者のベルンさん、冒険者のアルさん、バジスさん、ルルさん。
二台目の馬車にロードさん、アメリアさん、ミアちゃん。
三台目の馬車に御者のヒューラさん、冒険者のルーベルさん、ウイントンさん、マリアさん。
僕は名前を覚えた。珍しい事に覚えられたのだ。出来れば皆、二文字の名前にして欲しいが、難しい名前の人がいなくて良かった。
「カルテアに帰るまで走りますよ。疲れないし」
「言い切ったな、それなら何か賭けようぜ」
「大人げないわよ」
「そうだぞ、子供相手に」
僕には味方が多い子供だから。
「ウイントンさん賭けはやめましょう、僕も悲しむ人を作りたいくなです」
「はぁ~、何か賭けるぞ」
「すいません、歩く時もあるので賭けれません。そうだ、いつも走っているはずがない。馬車も止まるので無理だ」
「まあ、俺の勝ちでいいぞ」
賭け事が好きなんだな。
海岸沿いの街道は魔物が出ないらしい。騎士団の見回りのお陰と海岸付近には何故か魔物が生息してないらしい。なので、警護の皆さんは暇なのだ。暇なら一緒に走るか聞いてみるかな。
やめとおこう、もういい年だろう、体力維持するためだけに走る事になる。
夏か・・・・妹達よ誕生日おめでとう。
にいには、走っているぞ。
夕食が終わり、警護の皆さんは見張りを決めている。
見張りか楽しいんだよな、でも、静かにしないといけないので辛い。
見張りをする時はいつも何か作っている。
今はコネコネしている。
「出来た、馬車の周りの火が燃え移らないところに設置だ。火を付けて・・・・・・・香りが出て来た」
これで魔物が近づいてくる可能性を少なくする事が出来た。ロープで安全を確保するより楽だな。
行商人の皆さんは馬車の中で寝ている。
護衛の皆は馬車の周りを囲むように寝る様だ。3交代制の様で始めは男性2人が見張りだ。
僕は馬車で寝ていいと言われたが、遠慮した。どちらかの男性と寝る事になるので、夏なので暑い。
僕は近くにある大岩の上で寝る事にした。便利だな大岩。
馬車の旅はのんびりだ、歩くよりは早いけど休憩が長いので歩くのと馬車は同じ距離しか移動できなさそうだ。
「どうだ、疲れたか?」
「のんびり走るのに疲れる」
「まだ頑張るのか」
「毎日の日課にします、体力はあっても困らないから」
今日はムーデン村に着く。
最後尾の馬車の後ろを今日も走っている。
「一緒に走らない、ウイントンさん」
「俺は警護が仕事だからな疲れるわけにはいかない」
足をぶらぶらさせて暇そうなのに。
「そうだね」
僕は街道の脇に生えている草を見る為に屈むとどんな草なのか確かめた。
「便利草だ、2種類ともある、取るのだ。明日の為にその一、準備万端だ」
何処にでも生えてるのかな、何処にでもあるのか分からないから余分に取っておこう。
蔓もある、ムーデン村には3日滞在の予定だから沢山持って行こう。
夕方にはムーデン村に着いた。
「さあ宿屋に着いた、1階で食事が食べられるから荷物を置いたら下りて来てくれ」
馬車を裏庭に置いて馬を厩に連れて行く。
「よく頑張ったね。良い草だよ、ゆっくり休むんだよ」
馬車から貴重品を下ろしてロードさんの部屋に運ぶ。
カルテアの部屋と違い上品だけど豪華さがない。
「あの宿に泊まらなくてもいですか?」
「どうしたんだ、気に入らないのか?」
「浜辺で寝ようと思いまして、気持ちいいんですよね」
「浜辺か、それなら部屋をキャンセルするけどいいかな」
「はい、朝は馬車の所に来ます、ありがとうございます」
「お疲れ様、冒険者の皆は3日間の自由時間だ、疲れを取ってくれ。ユーリは雑用があるので、その手伝いだ。では、食事を食べよう」
皆の前にステーキが運ばれてくる。
ステーキ、サラダ、スープ、パンが今日の夕食だ。
僕も街の中では干し肉は食べない。みんなと同じだ。
「「「いただきます」」」
冒険者は自分達でビールを頼んで乾杯をしている。
ミアちゃんは小さく切ってもらったステーキを食べている。
「ユーリ、俺達は3日間休みだぜ、いいだろう」
「3日間も何しているつもりなの?」
「それは分からないな」
ウイントンさんの声が小さくなる、予定なしか。
他のみんなも予定がないらしい。
娯楽がないからね。
皆との食事が終わって、木材工房に来た。
「親方久しぶりです」
「おお、君か~。ネズミ捕りが売れているよ、予約にして良かったよ。売れ残る事もないし制作にはそんなに時間が掛からないから納期を早くする事が出来る」
「儲かってますか?」
「儲かっているよ、今は忙しくて嬉しいぐらいだ」
「どうなったか気になって来ました。頑張ってね」
「おお、ありがとう」
夜の市場に行ってみるか。
屋台が出てる、何を販売しているのかな。
「焼き肉が多いな、海で取れたものはあまり売ってないな、サザエが食べたいな。夏はサザエだ、市場はしまっているよね」
ロードさんの手伝いが終わったらサザエを探そう。
「お~い、手伝いなさい。そこの君、経験者だろ。起きてくれ」
呼ばれましたよ、ユーリ君。でも後5分を言わないと起きてはいけないルールなので・・・・・手を引かれています、そんなに元気ならご自分で引きなさい。
「さあ、綱まで運んだぞ、君の番だよ」
「分かりました」
起きてみると人数が少ない。
「あれ、他の人達はどうしたんですか、こないだより少ないですよ」
「お客が少ないんだよ、今日は5人しか参加者がいないんだ。普段は20人はいるのに」
実は地引網がしたかったのだ、海賊船も地引網の経験で思い付いた。
そうか、お礼に引っ張ろう、ここに居る間は。
「では、引きますよ。少しずつ力を入れて行きます、皆も綱に合わせて歩いて下さい、せ~の」
「せ~の」
「どっこいしょ~」
「どっこいしょ~」
5人の皆さんの乗りがいいな、これぞ、団体生活・・・・・・団体行動だな。
「さあ、全力だ~。どっこいしょ~」
「全力で、どっこいしょ~」
「もういいです、皆さんお疲れさまです」
「さあ何が取れているか見ましょう」
そうだ、宿屋の裏庭に行かないと。
「おじさんまた明日ね」
「おう、明日もお客が少ないから来てくれよ」
来てくれて、僕の宿は浜辺だぞ。




