出て行かなくていいのか
皆は15体のベアと戦っている。僕は危なくない様に離れて見ている。
ポーターは戦闘をしないのだ・・・・・武器もないし。
「そっちに行った、仕留めてくれ」
「分かったは、ユーリ大丈夫」
「はい、大丈夫です」
そよ風には魔法使いが居ないので剣での戦闘だ。火魔法が使えるが、火起こし程度しか使えないじいさんは何故か腰をトントンして戦っている。謎の多い人だ。
戦闘が終わったので休憩をする事にした。
「今日着けると思っていたけど明日になりそうよ、戦闘回数が多かったので予定が狂ったのを疲れを取って明日こそは山頂に着くわよ」
今日の当番はボードンさんに僕?・・・・皆で話し合った結果、味見役になったらしい。
シチューを時間を掛けて作るとじいさんは言っているので、アドバイスで弱火で具材が崩れたり無くならない様にすると教えた。
「ユーリ、何でそんなリ料理に詳しいんだ?」
「あれ言ってませんでしたか、うちは宿屋兼酒場なので料理が出来るんです。父さんはとても美味しい料理を作りますよ」
「ユーリ、俺に料理を教えてくれ。もう不味いのは食べたくないんだ」
「それなら基本を教えますね、後は応用だけなので自分で試してみて下さい」
「そうか、ありがとう」
時間があるので、焼く煮るの下ごしらえと調味料の使い方の基本を教えた。皆が聞いていて質問をされたりして夕食が少し遅れたが、じいさんの美味しい料理を皆で食べた。
今日は夜なべして敷物を編むので見張りをしようかと提案したら「お願い見張りして、何か出たら直ぐに起こすのよ」と言われた。
久しぶりにロープを周りに張って安全を確保する。
敷物が上手く行った、かけてみてもそんなに重くないので掛布団として使う事にする。
余った紐はロープにして持ち歩く事にする。
「ドラゴン出てこい~、何処に居るんだ」
僕の大声に反応したのはボードンさんにだけで静かに近づいてきて「うるさい、何時だと思っているんだ」と怒られた。
魔物は現れなかった、山頂に近いから急斜面が多いので近くに居ないのだろう。
嬉しそうなそよ風のメンバーは大きな木の上を見ている。
僕も見上げるが何を見てるのか分からない。
木から離れた所にある岩の上に座って皆が何をするのか見る事にした。
「さあ誰が登る、登りたい人手をあげて」
何か面白い遊びでもしているのかな、誰も手をあげないけどこの後はどうなるんだ。
見張りを1人でしたので寝る事にした。
「さあ、皆の挑戦が終わったわ、誰も登れないのね」
「私は最初から登れる自信はなかったのよ」
ワンダーさんは自信がない。木登りの競争でもしてるのかな。
「俺もあまりこういうのは得意ではないんだ。地味だしカッコ悪いだろ」
「俺も得意ではない、腰にくるんだ」
そんなに登りたいなら準備とかしてくればいいのに、あそこに登ると遠くまで見えそうだな。
「ボードンの肩にじいが乗ってじいの肩にワンダー、ワンダーの肩に私、この作戦はどうかしら」
「それでも登れそうもないな」
合体したところが見たかったが、却下されたな。
上を見て何のためにそんなに頑張っているんだろう、皆は。
「皆、木に登って何をするの遠くの景色でも見に来たの?」
「何言ってるのよ、木の上に卵があるでしょう、それを誰が取りに行くか・・・・登れないけど」
「卵を取りに来たの、市場で買えばいいのに・・・そうか、新鮮で美味しいのか」
「違うわよ、よく分からないけど高く売れるのよ。山頂に卵が有るかもしれないと情報を掴んだのよ」
レイさん以外のメンバーが頷く。
「帰ろうよ、登れないなら」
ワンダーさんが諦めた。
「駄目よ、ワンダーなんとかして登るのよ」
そんなに高価なら見てみるかな。
太くて登りにくそうに見えるけど、子供なら登れるんじゃないのかな。
一番長いロープを首に掛けて、木の前で上を見る。本当に卵はあるのか、見えないけど。
ロープでヤシの木を登るのを見たこと有るけどやめとこう、足が滑るかもしれないしロープの輪の大きさも分からない、それに木が太いからもしかしたら難しいかもしれない。
手がギリギリだな、でも大丈夫だ。
「ねえ皆、もう少し何かいい方法はないかしら、例えば・・・・・ユーリが作っていたロープあれを使えないかしら」
「ロープか長ければ使えるかもしれないな」
「ユーリが作ったロープは頑丈なのか」
「私はロープがあっても無理よ」
「それじゃ、3人でどうにかするわ、ワンダーは休憩してていいわよ」
「おい、ユーリ。ロープを貸してくれ、一番長くて頑丈なのを・・・ユーリがいないぞ」
「もしかして、落ちたのか・・・」
あれ、下で僕を呼んでいる。
「なあに、呼んだ」
「ユーリ、ロープを貸してくれ。一番長いのが必要なんだ」
「いいけど、落としていいかな?」
「ここに落としてくれ・・・レイ、ユーリが木の上にいるぞ」
下から見上げるそよ風のメンバーは「「「「登れるなら早く言ってよ」」」」
「ごめん、木登りの競争かと思っていたから誰が一番に登れるのか見てた」
「何で最初に言わないのよ、ユーリ」
「でも、最初に卵を取るんだと言ってくれれば直ぐに協力したのに」
皆の目線がレイさんに集まる。
「ほら、この事は秘密にしようと皆で決めたでしょ、だから言わなくていいと思ったのよ」
「あのな、卵を上から下ろす時に見られるだろうし、その卵を持つのはユーリだぞ」
首から下げていたロープを玉結びを何個かして枝に結いて下に垂らす。これで登れるだろう。
上を目指して更に登る。
「遠くが見えるけど、街は港町しか見えない。海も見える、海岸沿いには他に街はない。お金を貯めて色々準備しないと次の街まで行けそにないな」
「ガサガサ」
誰か登れたのかな、さて降りようか。下の方でもこんなに枝が有れば登りやすかったな。
「やった、8個も有った」
「レイ、いい情報だったな」
「今回は大儲けだな」
「ビールが飲めるぞ」
これも冒険だよな、いいんだよね。しかし、冒険はビールの樽を持ってするものなのかな、どうでもいいか、冒険者の数だけ違う冒険があるんだ。
皆が朝の縄跳びを習慣にしたんだからいいか、いつか役に立つだろう。
余計な筋肉も落ちて来たから、動きが良くなったな。
「帰るわよ、みんな気を引き締めて行くわよ」
レイさんのやる気の空回りは最初からだけど今はしょうがない。特別に嬉しいのだろう。
「ユーリ、帰りもロープ掴まらせてね」
「どうぞ、ワンダーさんは体力が付いてきましたね」
縄跳びもそうだけど歩く速度を速くしたり遅くしたりして体力作りをしていた・・・・ワンダーさん。本人は気が付いていないけど。
「楽しいな、楽しいな、卵が8個~頑張った私は~お金持ち~」
似ている僕に・・・将来はあれになるのか僕は。
楽しそうだからいいか。
「音痴だな、レイは。イケメンの俺だから聞いてられるが、他の者だと気絶もんだぞ」
ああ・・・・人前で歌えないレベルなのか。
「いいじゃない、嬉しい時は音痴位の方が楽しそうなんだから」
ヤバい発想が僕に近い危険だ、レンさんに関わるのは危険だ。
「ほら、ユーリも歌いなさい。あなたの活躍で卵が取れたんだから」
「僕は歌いません・・・・レイさんよりも音痴だから」
「ユーリ大丈夫よ、レイよりも音痴がいるはずないわよ」
完全に人前で歌えない。
「さあ帰りましょう、じいさんがあんな遠くに行ってしまいましたよ」
じいさんは会話に入らず先に歩いている。
「急がなくても、ビールは待ってくれているわよ、じい」
ビールが飲みたくて早く歩いているのか。
ギルド前でみんなと別れた。
報酬は大銅貨5枚だった。食事付きに釣られて報酬を見ていなかった。
そよ風のみんなは、ポーターの相場はその位よと言っていた。何日も一緒に居ないといけないし危険があるからだと教えて貰った。
西の大陸の初の冒険が終わった。
そして気が付いた、飯付きの募集でお金を貯めよう、それが一番お金が貯まる。
空き地に帰って来た。いつもの日常。
「おお、帰って来た。役所に来てくれと騎士団の人が言って行ったぞ。5日位前かな」
「何の様だろう、行ってみる。ありがとう」
「ここか、役所は嫌いだけど騎士団の人は貴族なので断れないよな」
「目の前で、言わないで欲しいのだが、まあいいか。悪い事をしたいと勘違いで君を牢屋に入れた、手違いでコロシアムの選手として出場する事になった事を謝罪したい、この通りだ」
知らないおじさんが僕の前で頭を下げている」
「気にしないで下さい、覚えてませんから」
「え、ええ。それはないだろ。覚えてるはずだ」
「覚えてますよ、ただ自分がしたい事をしてただけなので、牢屋に泊りたかったし選手として出場出来たので、今まで練習してきた剣術を試す事も出来ました。魔物が弱かったので気にしないで下さい」
「弱い、オークが15体だぞ、弱いはずがない。何か勘違いをしているんだな。15体だぞ・・・でも倒したんだったな」
「少しは大変でした、15体も食べれる様に倒すのは、エミリー嬢に怒られます。『まあ、食べれません、ユーリダメですよ。食べれないのは悪ですわ』こんな感じかな」
「何を言っているんだ。それで空き地に行ったんだが、君がいなくてあの空き地の事を調べたら持ち主が亡くなっていた。街の土地は譲渡制なんだ、持ち主の家族がいればその人に、いない場合は役所の管理下に置かれる。だがそうすると君の行く所がないだろう。そこであの空き地を君に譲渡する手続きをした。これで許してくれ」
「僕の物になるんですか?」
「ああ、手続きは済んでいる」
「はぁ、喜んでいいのか分からないな、あそこから出て行かなくてすむのはいい事だよな」
「君の好きにしたまえ、仕事があるから戻るよ」
「おじさんありがとう」
役所の個室から出て行った、礼儀正しいおじさん。本当に牢屋に泊りたかっただけなんだけど悪い事したな。いつか何か役に立とう、それが冒険者として出来る事だ・・・・まだ冒険者になれてないけれどお金を貯めて「頑張るぞ~」
「君静かに、それにそろそろ帰って下さい」
大声がうるさくて、怒られた。個室をいつまでも使っていて悪いから帰るか。
「そうか、君の土地になったのか、持ち主が出来たのならここから出よう。うんそれがいい」
「別に今までどおりでいいんじゃないのかな、それにおじさんの方が先に住んでたんだから」
おじさんは、頭をポリポリして「そうか、まだいていいのか。悪いな」
どうするかな、持ち主になったのならもう少しいい暮らしにしないといけないよな。
小屋は建てた事がある。でも家となると僕だけで出来るかな、それと材料が買えない。
「おじさん、この街の材木屋さんは何処にあるのかな、それと木材は安く買えないかな?」
「何をするつもりなんだ」
「ここに家を建てたいんだ、土地があるのに今までの様に地面に寝るはダメだよ、だから建てよう僕とおじさんで、おじさんは何もしなくてもいいけどね」
「分かった、手伝える事があったら言ってくれ。材木は安くはないな、むしろ高いかも知れない。材料の方は俺が調べとくから、君は・・・・名前はなんて言うんだ?」
「僕はユーリ、おじさんは?」
「ガウディだ。ユーリ、先ずはデザインを決めるんだ、それから材料の調達だ」
「分かった、デザインを考えるよ」




