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伝説のドラゴンとプレゼント

「はじめまして、グリュックのリーダーのヴエルナです」


「わたしは、シュラよ」


ドラゴンと挨拶を交わすヴエルナさん。それを離れた入り口の所で顔だけを出して二人のやり取りを恐る恐る見ている皆。


僕は巨大なドラゴンの横に来て観察中だ。


何かしてくる事もなさそうな伝説のドラゴン、伝説の魔物?魔獣?動物?分からない。


ヴエルナさんとドラゴンのシュラさんが何か話しているがどうでもいいや。


ドラゴンの横から洞窟の隅に方に膝位の大きさの岩場が沢山ある。


あそこならいいかも、誰も僕の行動には興味が無いのか、ドラゴンに視線がくぎ付けだ。


ドラゴンの所から沢山ある岩場の陰まで向かい、リュックの口を開けると中の荷物をどんどん出していく。ここなら、ドラゴンのシュラさんの邪魔にならないよね。


ヴエルナさんとシュランさんはまだ話している、リュックの中の物が少なくなるとシュラさんのところに戻った。


「伝説のドラゴンで白くて綺麗なお姉さん、少し翼に触ってもいいですか?僕、生きてる間に二度と会えないと思うので、この機会に綺麗なお姉さんの綺麗な翼を触らせて下さい。お願いします」


戻って来た僕は、ドラゴンさんとヴエルナさんの話を遮ってお願いした。


「まあそうよね、綺麗な私の翼を触りたいのは分かるわ。今日は特別よ」


「ありがとうございます、では触ります」


僕がドラゴンの翼を触り始めると話が再開された。


おお、僕と言いやすいぞ、伝説の前だからかな、ここにいればそのうち、自然に言えそうだな。言える様になるまでここに野宿でもするかな、いや、暇だと困る、またの機会にしよう。


綺麗な翼だな、ちょい持ち上げて下に入りたいな。僕の持ち上げる行動にシュラさんは、自ら少し協力してくれているよだ。重くて待ちあげれないよな、この翼。


「綺麗だな、美しい、最高だなこれ」


僕は小声で感動していた。凄い伝説がここに、それに触れている。


「触り心地最高、なんか強さが分かるな・・・白色の体だと特別な効果とかあるのかな」


翼の先の爪を撫でてみる。硬いのはあたりまえか、これ生え変わるとかしないのかな。


僕はドラゴンさんの周りで色々触ったりしていたが、視線を入り口に向けたら、皆はまだそこにいた。近くで見ればいいのに何もしてこないから。


二人の会話が聞こえてくる。ドラゴンのシュラさんの話だと、人間には300年位会ってないらしい。この場所で寝ていて、ここから出たのは400年位前の事だと・・・・・・400年もここにか、暇で死んじゃうよ。


自分以外にもドラゴンが居るらしいが、今はどうしているかは分からないらしい。


この奥の方に地上に出るための出口(自分用)があるので、いつでも出れるとシュラさんが教えてくれた。


久しぶりに起きて、人と話せて良かったと言っている。


シュラさんがここに居るので弱い魔物が寄って来て庇護のもと住み付いているらしい。


「お~い、皆来てくれ」


ヴエルナさんが隠れているつもりの皆を、見えている皆を呼んで紹介した。


僕はこんなに良くしてくれてたシュラさんに今更だけど、自己紹介をしよう。


「ユーリです。綺麗なドラゴンのシュラさんに会えて嬉しいです」


「よろしく、ユーリ」


「はい、もうひとつお願いがあります」


「あら何かしら?」


「僕が聞いたおとぎ話で伝説のドラゴンの話があります。その白いドラゴンは誰より速く飛ぶ事が出来て、そのドラゴンに乗せて貰って飛ぶと幸運になると。それで僕達を乗せて貰えませんか?もちろん遠くまで飛ぶと他の人間に見られたり変な噂が広まると困るので、この洞窟の入口まで乗せて飛んでくれませんか?」


「いいわよ、洞窟の入口でいいの、近すぎないかしら?」


「そんな事ないですよ、乗せて飛んでくれれば幸運になれるんですから」


僕はニャリと笑ってお辞儀をした。


僕は洞窟を歩いて帰るのが嫌だ。もう魔物が出ないかもしれないし、何日掛かるかも分からない。


それに、何も起こらなければ暇だし食べ物も無くなる。


「いいわよ、準備が出来たら言ってね」


僕が色々考えてるとシュラさんが送ってくれる事になった。


僕は皆に帰りに必要な水が足りなくなるかもと言って直ぐにここを出ようと申し出た、一応行き止まりまで来たので依頼は達成ですかと確認した。


「そうだな、この奥に通路は無い、依頼は完了だ」


ヴエルナさんが依頼は完了したと教えてくれた。


帰りの分の水が無くなる事、依頼が達成出来た事で、ヴエルナさんは帰る決定した。


「ドラゴンのシュラさん俺達を乗せて入口まで行って下さい」


僕達の準備が出来たので、皆を代表してヴエルナさんが乗せて下さいとお願いした。


「もういいのね、私の背中に乗ってね。私の背中からは落ちないから安心していいわよ」


シュラさんが屈んでくれた、ドラゴンは優しいんだな、悪いドラゴンの話とかあるけど、シュラさんは優しいようだ。


僕達皆は、シュラさんの背中に乗るのにそっと歩いて背中の中央まで行った。


僕は最後にシュラさんに乗った、リュックが取れないようにしないと、大丈夫だよな。


「いいわね、飛び立つわよ」


「「「「「「お願いします」」」」」」


僕を含めて、皆の声が揃った。


シュラさんが飛び上がって、出口に向かう。


この大きさのシュラさんが飛ぶのに変な感覚になった。この速度と浮遊感で落ちないのか、凄いな。どうなっているのかな。


大きな穴を上に飛んで行く、上を見ると空が見える、今は青空だ。


外に出ると直ぐにシュラさんは水平に飛んでくれた。


飛行機に乗った事はなかったけど、ドラゴンに乗れた方がいいな。


前方を見ると洞窟の山が見える?僕達が居た場所はあの辺だったかな、洞窟は恐ろしく長いそれもとんでもなく。


もしかしてこの世界で、ドラゴンに乗った人は、僕達が初めてだったりして。


「ここでいいです」


「あら、こんなに近いの」


洞窟の入口に着いたので、シュラさんが降下して僕達を下ろしてくれた。


「ありがとうございます、ドラゴンのシュラさん。お陰で洞窟を出る事が出来ました。そして乗せてくれてありがとう」


皆がそれぞれ、シュラさんにお礼を言った。


「綺麗なお姉さん、ありがとうございました。空も飛べたしドラゴンにも乗れた。最高でした」


僕は心を込めてお礼を言った。


「じゃ帰るわね」


挨拶もそこそこにシュラさんは帰って行った。凄い、もう穴に向かって降りたんだ。





「いや、緊張した。まさかのドラゴンだぜ」


「ドラゴンは伝説ではなかったんだね」


「私乗ったのよ、ドラゴンに」


「いやマジ、ヴエルナ尊敬するよ」


「そうだな、よく話が出来たよな」


「ねえ、ドラゴンは美味しいの?」


「オイオイ、ユーリ何で美味しいとか言ってるんだ」


ドラゴンの肉は最高に美味しいは、定番のはずなのに。


「あのね、人間がかなうはずないから食べた事がある人なんていないわよ」


送ってくれたシュラさんが帰って、皆の緊張がとれた、洞窟の中の事を話しながら帰る僕達の街に、カルテドに。少しカッコ良かったな今の。




ギルドに着くと、驚き顔のキャサリンさんが走って来た。


「皆さん生きてたんですね」


「「「「「「?」」」」」」


皆はそれぞれ何の事みたいな感じの顔になる。僕もなった同じ顔に。


話を聞くとなんとこの街を出てから26日後に僕達は帰って来たと。


計算すると洞窟の中に22日間いた事になる。


そんなにいたのか、長く感じたはずだ。


あまりにも帰って来ないので洞窟の中で魔物にやられたとギルドでは思っていたらしい。


ヴエルナさんが、今までのいきさつを簡単に話した。


ドラゴンに遭遇した事は、皆で決めて言わない事にした。


グリュックは依頼の完了報告をする。


僕も初めての依頼の完了報告をする。


グリュックの皆は依頼が終わると打ち上げをするのが決まりで、今回は僕にも来てくれと誘われた。


打ち上げの時に報酬も渡すからと半強制的に連れていかれた。




「では、依頼の成功と無事に帰って来れた事に乾杯」


皆がよく来る酒場の一番奥のテーブルでヴエルナさんの乾杯の音頭で打ち上げが始まった。


皆は依頼や仕事の良かった事をそれぞれ言って乾杯まわしをする。


「無事に帰って来れて乾杯」


「依頼完了に乾杯」


「凄い・・・・に会えて乾杯」


「美味しい食事に乾杯」


何週かすると流石に乾杯するものが無くなってきた。


もういいかて感じになった時にレベッカさんがこれ最後と言って。


「ユーリに会えて乾杯」


「ユーリの飯が食いてええ」


レベッカさんの乾杯にグラットきたら、横からマシュさんが雰囲気をぶち壊した。


乾杯回しが終わって今回の依頼の雑談をしだした。


「しかし、俺は飛んだぜ」


「皆が飛んだのよ」


「あの時は危ないと思ったな」


「そうだな」


「しかし、よく帰って来れてよな」


「確かにな、26日間だもんな」


「帰りが、歩きだったら同じ位掛かったんだな」


「シュラさんに感謝だな」


だいぶ時間が経ったので、僕は帰る事にする。


「そろそろ、僕は帰るね」


ヴエルナさんが今回の報酬を渡してくれた。


「銀貨7枚もいいの?」


手には銀貨7枚が載っている。


「ああ、いいさ」


「違うでしょ、ユーリ、ありがとう、銀貨7枚でも安いかもよ」


レベッカさんがヴエルナさんの言葉を遮って、僕にお礼を言ってくれた。


「今回の依頼は確かに儲かったけど、それよりもユーリがいなければ皆は死んでいたかも。戦闘もそうだけど飲み水を沢山汲んどいてくれなければ洞窟で水なしだった。それにシュラさんに乗せてと頼んでくれたのもユーリだった、だからもっとあげてもいいのよ」


「しかし、リーダーのヴエルナが決めた事だ安い高いではないぞ」


カカルさんはリーダーが決める事は従わないといけないと言っているんだな。


「僕は銀貨7枚も貰えて嬉しいです。皆ありがとう」


僕は、改まって咳をして。


「では、僕からもプレゼントがあります」


皆は僕の言葉に皆が驚く。それ僕が何も持って来てないし今も自分の荷物すらないからだ。


テーブルの奥に置いてある、いつも背負っていたリュックを持って来る。


「先ずは、ヴエルナさんに皆で使った皿をあげます。マシュさんにはカップをカカルさんに鍋をメグさんに赤いリボンを」


僕は今までに使ってきた物をレベッカさん以外の皆にあげた。


皆は何でプレゼントが俺達が持ち込んで使ってた物なんだと思った筈だ、不思議そうに手に渡されていた、今もプレゼントを見ている。


僕は最後のレベッカさんにもプレゼントを渡す。


レベッカさんは次は私だと期待している筈だ?。


「私には何をくれるの?」


「ジャン~、レベッカさんにはシュラさんのこれを上げます」


僕はレベッカさんの手にシュラさんのあれを載せた。


皆がシュラさんの部分に反応したのか、レベッカさんの手の上の物に視線を向けた。


「これって・・・」


「あれだよな」


「そうだなあれだな」


「あれは高価だぞ」


「あれは売買が出来るのか」


皆、あれの正体を言えない。


「何でここにあるのよ」


「あの時、岩場で何してたんだ」


「もしかして、翼を触ってる隙に拾ったのか?」


「おかしいと思ってたんだ。帰りになったら、なんでカップと皿が1個づつしかないのか、食事の時にその1個を何で回して使ったのか。それと、あの時なんで不自然に綺麗なお姉さんとか言ってたのか」


「俺も何故、おだててるんだと思っていた」


皆が色々推理しているが、僕はそろそろ帰りたいので更にリュックから後4枚出して、みんなに見せる。


「「「「「ええ~」」」」」


皆、よく重なるよねと思う。


それぞれに渡していく。


「いいのか」


「ユーリの分は」


僕は聞かれて更に5枚の鱗を取り出す。


「何枚持ってるんだ」


「これだけだよ、僕が拾って来たんだから5枚は僕のだよ」


「いやそれはいいのだが、俺達にもくれていいのか?」


「いいよ、皆の荷物捨てて来ちゃったからお詫びに1枚上げる」


皆はありがとうと言って、でも返さないぞとも言った。


「僕行くね、楽しかった。バイバイ」


「「「「「ありがとう、ユーリ」」」」」

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