第七話 これでよし……なのかな?
「な……え? なん……で? なん……なんだ……これ……な、なんて大きさ……こ、これが、都の魔法学校の生徒の力……!? 勇者だった爺さんとも比べ物にならないほど強大な……こ、こんな人間が、こ、この世に……う、あ、……あ……」
自分の力をはるかに上回る魔法の力に、ソラくんも全身を震わせる。
「へ? こ、これが、ぼ、ぼく?」
そして、太陽を作り出した彼自身も、驚いて目が点になってますね。
『ぬわはははは。まっ、あとで記憶操作すればよいだろう。これ、一回こっきりだしな』
『そうですか……あれ? でも、この魔法打っちゃったら……この学校消滅しません? みんな、死にません?』
『ん? …………あ~………』
あら? 御主神さま目が泳いで……あまり考えられてなかったのですか!?
ですが……
「いいや、そんなはずはない! 少なくとも、爺さんより強いやつがこの世にいるはずはない……俺は弱い……だけど、世界最強と十年以上も戦って鍛えられた……見せてやる!」
折れかかった心を奮い立たせ、ソラくんは……
「俺の力は魔法だけじゃない! 魔法剣!」
腰に帯刀していた剣を抜き、幼いころから蓄積された膨大な魔力をその剣に宿し……
「全てを切り裂く魔法剣!」
貴族くんの生み出した太陽に対して、ソラくんは大地を揺らすほどの魔力を剣に凝縮し、眩い閃光を放ちます。
「ちょ、あの新入生くん、なんなのあれは!」
「し、信じられない……ナヒカーリもそうだけど……やっぱ、あの新入生は何者なんだ!」
「信じられない……なんて力だ!」
なんというか、周囲のギャラリーの生徒たちは、もはや驚き要員になってしまっていますね。
そんな周囲の反応にソラくんは……
「ん? また、みんなして俺に……俺、また何かやっちゃったのかな?」
「「「「「いやいやいやいや!?」」」」」
チートを与えられたものの宿命の鈍感力なのか、また的外れといいますか、御主神さまが不快に思われるようなことを……でも、彼が鈍感だろうが敏感だろうと、もう彼が何をやろうと勝負は……
「いくぞ、全てを切り裂く! シャイニングエターナルストラッシュ!」
「えっと……えい、プロミネンス!」
「ッッッ!!!???」
ただ大きいだけではありません。
貴族くんが御主神さまの加護より放った太陽は、もはや人間のチートでどうのこうのの次元を超越しているのです。
「う、あ、ああああああああああああああ!!??」
激しくふっとばされ、剣も、服も燃え尽きて……
「あ、あわ……わ……」
あれ? でも燃えたのは服だけ?
『ふふん。急いで調整した。我の与えたチートは……人を殺めず、なおかつ怪我もさせないという条件を与えた……』
『御主神さま?』
『死なれたらメンドーだし、そもそも下手したらこの世界が滅んでいたからな……チート小僧の技を消して、衣服を燃やすぐらいに留めた……これぞ、我が与えた……『ご都合主義脱衣魔法』なのだ! ……ほんとうは、オナゴ相手に放つ魔法ではあるがな……』
『って、それはそれでどうなんでしょうか!? 脱衣魔法って……しかも女の子向けにって!?』
『なんじゃ、妾以外の裸に興味を持つとは、浮気か? おぬしは黙って妾の神下着でも見ておけ、ホレ!』
『ぶっ、御主神さまハシタナイです! スカートを自分で捲り上げるなど……って、ご、御主神さま!?』
『ん? おお、しまった……何も穿いてなかったな! さっき、おぬしと一戦する寸前にその辺に脱ぎ捨てておったわ。ぬわははは』
『も、もう……』
『何を照れておる。もう見慣れておるだろうが』
まったく、御主神さまは困ります。何も生え……何も穿いていないんだなんて困ります!
って、そうではなくて、今は目の前の決闘です。
御主神さまの気まぐれには色々と心配でしたが、慈悲を与えられたのですね。
そして、これで十分。
ダメージなくとも、今のでいくら鈍感なソラ君も……
「あ……う、あ……そん、な……か、かてない……たすけ……て……」
そもそも、戦うまでも無いのです。
いかにチートを与えられても……所詮は人間なのです。
戦意も、心も、それを保てるような相手ではない……そもそも、戦いを挑むという次元ではないのです……まぁ、腰を抜かしてお漏らしぐらいしちゃいますよね……あらら、立場が逆になってしまいましたね。




