654の数字と興味
「い〜ち、に〜、さ〜ん、し〜」
数を数えながら折原は何かをしている。何をしている?
あの混乱の朝から数日たったが、しばらく何もないなと考えていた瞬間にこうだ。何をしているのか聞きたい!猛烈に。ただ、無理だ。時間に問題がある。休み時間で俺は友達と話してしまっている。友達置いて女子としゃべるなんて勘違いが面倒くさくてできない!どうする、誰かが聞くのを待つか?いや、どうしよう。
「折原?何してんの?」
グッドタイミング!森田が聞いてくれた。俺は耳を澄ます。
「ん〜、床の木目数えてる」
折原の答えに納得する。そういうことだったのか。数えてなんの得があるかは本当に理解ができないが。と考えている間にそんな考えを持たれていると知らない折原は次の言葉を紡いだ。
「折原太閤による、太閤検地!」
それを聞いた森田が、床を踏んだりして数える邪魔を始めた。
折原は森田に抱きつきそれを除外しようとする。仲良しだ。とても微笑ましい。そうこうしているうちに数え終わったのか嬉々とした様子で折原は森田に654だった!!と言う。654もあるのか。知らなかった。
「…ぅ…はら、上原?」
「え?」
ふいに名前を呼ばれる。気づいたら話を聞いてなかったみたいだ。ごめんな俺の友達。もう一度最初から〜といったら腹パンされた。
ごめんよ。許しておくれ。君が広い心を持っているなら!
殴られた。解せぬ。
やり返そうとした途端チャイムがなってしまい、痛む腹を押さえながら相手にチョップをして俺は席についた。満足だ。それにしても今日は本当にタイミングが悪い。
先生が入ってくる気配はない。もう少し話していられた。
チャイムがなっても先生が来ないため、折原を見ると天井の板の数を数えていた。今度は何枚あるんだろう。また数えてるの?と森田に聞かれると折原は答える。
「暇だから。床には興味あったけど天井にはない」
床と天井で違うのか?上にあるか下にあるかだろ?本当によく分からない。
ガラガラガラッ
天井と床の違いを聞こうと思ったところで先生が入ってくる。タイミング悪すぎ先生。先生がなにか忘れ物していないかと期待したが、していなかった。ほんとに今日はついてない。
天井と床の違いも聞いて日記に書こう。と、小さすぎる決心をしてタイミング悪すぎ先生の授業を俺は受けた。今度からそう呼んでやる。