表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
362/364

REAL◎DISC

ゲームのアリスと、アリスです。コミックス8巻が4月1日発売です。

詳しくは活動報告か公式Xにて@ijou_sugiru

内容は文化祭とダンスパーティーとなります。よろしくお願いいたします。

 貴族学園に入学して、今日は登校二日目。私はドキドキしながら校舎を歩いていた。

 

 廊下におかれた花瓶も飾られるお花も全部豪華だ。でも、お花を切ってしまうのは可哀そう……。お庭に植えているのを見に行けば、切らずに済むのにな。


 それに、昨日とはお花が変わっていた。


 毎日変えて捨ててしまうのかな。


 勿体ない。


「どうしたの?」


 優しい声に振り返れば、そこにいたのは学級長のレイド様だった。


「レイド様……!」


 金髪でサラサラの髪に、宝石みたいな青い瞳、街で見たどんな男の人より綺麗なレイド様に見つめられ、私は思わずうつむいてしまう。


 変じゃないかな、と前髪に触れると、レイド様は「具合が悪いの?」と心配そうに首を傾げた。


 うう、それもだめです……。


 具合が悪いんじゃなくて……!


 見つめられると緊張するんです……!


 なんて言えるはずもなく……!


 頬が熱いよー!


 私は目をぎゅっとしながら「大丈夫です」と繰り返す。


「でも顔が赤いよ? 保健室の場所は分かる?」

「いや」

「じゃあ、一緒に行こう」


 レイド様は保健室に連れて行ってくれようとするけど、周りの目が痛い……!


 どうしてあんな子と一緒にいるのって思われちゃうよ。


 でも、レイド様の優しさを断ることも出来なくて、私はおそるおそるついて行く。すると──、


「レイド様!!!!」


 廊下に険しい声が響いた。


 私はびっくりして思わずレイド様の肩を掴んでしまう。


「あっ……ごめんなさ……きゃっ」


 しかし、すぐに後ろから肩を誰かに掴まれ、そのまま引っ張られてしまった。


 後ろに倒れ込みそうになる私に、レイド様は手を伸ばす。彼は私の手首を掴むと、ぎゅっと抱き寄せてくれた。


「わっ」


 まるで抱き留められてるみたいだ。ふわっと石鹸の香りがして、周囲は「きゃ」っと歓声が上がる。


「レイド様!」


 そして叱りつけるような声がまた響いた。


 後ろを振り返ると、そこにいたのは私を睨みつけるミスティア・アーレンさんだった。


「み、ミスティア様……」

「レイド様、一体どういうことですの! 屋敷にお迎えに上がりましたらもう登校なさっているとお聞きして、来てみたら……」


 ミスティア様はレイド様に食って掛かった。そんなに怒鳴りつけるみたいにしたらレイド様が可哀そうだ。それにどうしてそんなに興奮してるんだろう。私はおろおろしながらレイド様とミスティア様を見る。


「どいうことも何も、人を後ろから引っ張るなんて、良くないよ。彼女、転びそうになっていたよ」


 レイド様はミスティア様に注意をする。どうやらさっき私の肩を引っ張ったのはミスティア様のようだ。


 でもどうして肩を引っ張ったんだろう。私になにか用事があったのかな?


「レイド様に近づくからですわッ!」

「近づくも何も、彼女、体調が悪そうだから声をかけていただけだよ」

「そんなことありませんわ! レイド様に近づくためにフリをしていたんでしょう!」


 ミスティア様は私をギリッとにらみつける。真っ赤な瞳がなんだかギラギラしていて怖い。


「ミスティア、人を疑うのは良くないって……いつも言っているけど……」


 レイド様は疲れたように話す。いつも……思えば昨日の入学式の後、レイド様とお話をしている時も、彼女はこうして声を荒げていた。二人は……前から知り合いなのだろうか。屋敷に行ったって言っていたし……。


「それに、彼女は僕に近づいてなんかない。僕が学級長として近づいただけだ」

「……っ」


 レイド様の言葉に、ミスティア様は下唇を噛んだ。


「保健室に行こう」

「でも」


 ミスティア様を置いて行っていいの?


 振り返るとミスティア様は恐ろしい表情で私を見ている。


「大丈夫だよ」


 レイド様は言う。私は彼の言葉にうなずいて、一緒に保健室へ向かった。



◆◆◆TRUE◎DISC◆◆◆


 貴族学園に入学して一年。


 ミスティア様がお話をしてくださって、お爺様と少しずつだけど距離が縮まってきた。こうして学園にも通えてミスティア様には感謝しても仕切れないが、推しに家庭内の内情を知られ、問題を解決してもらった私の罪は重い。特典会で自語りにより推しに心労をかけるのもまたヲタク七つの大罪の一つだ。


 ヲタクは推しが解決できない問題を推しに話すべきではない。語るのは解決できた結果報告のみ。家族についての話題は家族が推しを推している以外秘匿すべきである。


 だというのに、一生の不覚だ。


 私は前方を歩いている金髪害悪ヲタクを見る。レイド様と呼ばれる繋がり害悪ヲタク。モッシュで痛めつけられちゃえばいいのに。この一年で彼への憎悪は留まるところを知らない。だってすごいもん推しへの蛮行。手握ったり婚約者ですって言ったり。絶対に家の悪い力でそうなったんだと思う。絶対最前管理を非合法な手段でするタイプだ。TO気取りの繋がり厨ほど醜いものは無い。厳罰に処してほしい。ミスティア様のTOは侍女のメロさんなんだから弁えて頂けませんかね、の意だ。遺憾の意。


「アリスさんおはようございます」


 前方に憎悪を注いでいるせいで、ふいうちに推しの声に心肺が停止した。振り返るとミスティア様がこちらにたたたたッと駆け寄ってきていた。止まっていた心肺は推しのダッシュで極めて良好です。YES!


「アァ……オァ、おはようございますッ」


 あー駄目だ。不意打ちだからヲタク早口が出てしまう。


 特典会だと番号だからゆっくり話す、ゆっくり話すと決められるし精神統一タイムが出来るし、前や背後のヲタクの様子で落ち着きも出てくるけどソロ公演でしょ。私は表情筋に力を籠め、なるべく無害さを演出する。ミスティア様のほうが身長が高いけど彼女は恐る恐る話すので上目遣い感がある。どうしようかな。窓から飛び降りちゃおうかな。


 この世界は今日も美しい。私は晴れやかな気持ちで推しの半歩後ろに下がりつつその隣を歩いた。





ゲームのアリスと、アリスです。コミックス8巻が4月1日発売です。

詳しくは活動報告か公式Xにて@ijou_sugiru

内容は文化祭とダンスパーティーとなります。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アリスこそが至高。 彼女のおかげで主人公をアイドル推しするヒロインの良さに気づきました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ