96話 一度離れて、改めて思う。
ナヴェーさんもお昼ご飯を食べ終わって、教室に戻る時間を考慮してもまだ時間に余裕があったので、私達は残りの昼休みをのんびり喋りながら過ごす事にした。
具体的には午前中の授業の話しをしていたんだけど…話せば話す程この三人の頭の良さが分かってきて、何だか妬みや嫉みで舌打ちしたい気持ちになった。
ナヴェーさんもミストラルさんは何となく分かるけど…何気にラシェールさんの、この程度の問題が解けないで護衛が勤まる訳ないでしょう?と言わんばかりの余裕さが…学生時代それなりに勉強頑張った身として、凄く妬み嫉みの対象と言いますか。
私は…ほぼ同じ授業を一度受けた事があるので、例外って事で。それでも久しぶりで何ヵ所か忘れてる所あったから、授業をちゃんと聞かないと足下を掬われてしまうかも…いや、私は一週間しか居ないんだけどさ。
「そう言えば、皆さんは昨日から寮なんですよね?ナヴェーさんはラシェールさんが同室でしょうが…ミストラルさんはどうなんですか?」
うんうん自分の事について考えていたら、ふと皆さんの寮の部屋事情がきになった。そう言えば今朝かその辺りに、初めて泊まってテンションが上がってしまったとか何とか言っていた様な。
「今は一人部屋ですね…少し、寂しいです。」
「…そうでしたか。」
本気で残念そうなミストラルさんを見て、私はまぁ妥当だろうと…ミストラルさんから見たら、多分凄く酷い事を考えていた。
ナヴェーさんやラシェールさんと違って、ミストラルさんはいつどこでうっかり正体がバレるか分からない…言わば爆弾を常に抱えている状態だ。平穏無事な学生生活を送りたいなら、可能なリスクは削っていかないと。
でも同室の人との交流を楽しみにしていたミストラルさんの気持ちも分からなくもないから、この考えは口にしない。もしかしたら、ミストラルさんにもいずれ相手が出来るかもしれないし。希望を捨てるには、まだ早いと思う。
「私、寮のお部屋が話に聞いていた一人暮らしが出来るお部屋そのもので感動しました!!」
「ユニットバスではなくシャワールームですけどね…トイレとは別ですから、そこは比較的ポイント高いと思います。」
感動ポイント訳が何かアレすぎて…もう何がなんだかだよ、ナヴェーさん。同室者が居る時点で一人暮らしではないじゃない…とか、そもそも寮生活は厳密には一人暮らしと違う…とか、言わない方が良いのだろう。こう言うのは、雰囲気だからね。知らんけど。
「そうですね…寮の中はどこも清掃が行き届いていましたし、まだ大浴場には行っていませんが、心配であるのと同時に少し楽しみです。」
「あ〜、寮の大浴場ですかぁ。良いですよ、広いお風呂。」
警備の面から見ると、あまり好き好んで向かいたくない場所だろうけど…裸を見られる事を除けば、広いお風呂は気持ちが良いモノだ。大浴場内の内装も、今思えば結構凝っていた気がする。
と言うか、清掃が行き届いているとか…そんな所を見ていたのか、ラシェールさん。
「夜風さんから見た、気になるポイントってあるんですか?」
そうナヴェーさんに言われて、少し悩んだ。卒業した私から見たトレラント学園は…気になるポイントだらけだからだ。
普通に考えて、色々可笑しい人が在籍していると思う。私が知らないだけで、もっとアレな人達も居るかもしれない。現在の技術棟の状況や、ルナさんが在籍していたモノ作り部や、私が在籍していた棒術部が今どんな状態になっているか…後は図書館の新刊とかも気になるな。暫く行けてないからなぁ。
全く関係ない事を言うなら、小春が今何をしているか凄く気になる。
「まぁ…色々。」
「えぇ、夜風さん答えになっていませんよ?」
「実際色々気になりますからねぇ…。」
別にはぐらかした訳ではないんだけど、結果的にはぐらかした感じになってしまって、何かナヴェーさんのムゥッて顔が見れました。本当にありがとうございました。




