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8話 こう言うの、嫌いじゃない。


転移魔法自体は珍しくない。しかし、その多くが大規模な魔法陣や魔法式を用いる事が多い。…と言うのも、ただ空間座標を決めるだけでなく…まぁ何とも面倒くさい処理を必要とするのだ。理解できそうになかったので、私はその辺聞き飛ばした。…人間、向き不向きがあると思うの。


話を戻すとして…この家にある転移装置は、人二人が立って少し余裕があるくらいの大きさしかない。住人一人につき月に一回しか使えない、一度使うとその日は使えない、行き先はギルドの裏手に固定されている…その他に細々とした制約はあるが、郊外にあるこの家では、結構強力なカードだと思う。私はポンポン使うからなぁ…いや、最近は使ってないけどね?まだ二日くらいしか出勤してないけど。


…因みに、私が普段使っている転移魔法は影の精霊の謎技術により成り立っていて、かなり毛色の違う話になるので割愛する。


「へぇ…竜脈だけでなく琴波の余剰魔力を併用したり、送る範囲を抑えたり、『送る』に特化させる事で、こんなに式をコンパクトに抑えたのね。…と言うか、そんなに琴波の魔力って凄かったのね。予想以上だわ。」


ルナさんから転移装置の説明を受けて、ルナさんがどこからか取り出したタブレット端末を食い入るように見る由榎さん。…ああ、そう言えば由榎さんの前では、飛行魔法とか派手な魔法使ってなかったなぁ。と言うか、最近結界以外で魔法使ったっけ。


……ふふ。我ながら、色んな意味で強くなったもんだな。


「ね〜。あ、改めて既存の転移魔法洗ってみたんだけど、その過程で気になった事があってね。この式さ…。」


「どれ、見せてみて。…ああ、この式のこの部分は、昔は…。」


ルナさんと由榎さんが私では理解できない領域に突入したのを見て、私は苦笑いをしながら静かに溜め息を吐いた。


私も少し覚えはあるが、理系と文系ではあるが根本的に研究者気質の二人がこの領域に入ったら、ちっとやそっとじゃ止まらない。眠たくなるのを待っても良いが、このまま行くと…眠たくなるのは、明日の昼間辺りかな。お昼ご飯後の授業とか。


「由榎さんの着替えと…お夜食ぐらい用意しましょうかね。」


「ベッドの準備と、念の為にお嬢ちゃんの部屋のマスターキー用意しといたで〜。」


相変わらず仕事早いな影の精霊は…。


下着は流石に用意できないから、下着に関しては浄化魔法でキレイにするしかないけど…寝巻きぐらいは、今着てる服じゃない方が良いだろう。シワになるし、普通に寝苦しいだろう。


「お嬢様のブラ、ワイヤー入っとるタイプやで?」


「一日くらいなら、それで寝ても大丈夫なんですが…流石に窮屈ですかね。」


でも、この流れで影の精霊に頼んで下着まで用意してしまったら、由榎さん引きそうなんだよね…影の精霊とルナさんにスリーサイズモロバレしてるとは言え、自分用の下着を用意されると言うのは気持ちの良いモノではないだろう。


私がどれだけ考えても、この問題に対する最適な解は思い浮かばなかった。…仕方ない、その辺りはその時になって考えよう。


私が普段来ているジャージを取り出してきてから、ネットで夜食にちょうど良さそうなレシピを調べ、お風呂を沸かしてから夜食製作の作業に取り掛かる。


あ、飲み物…カフェイン入ってない方が良いよな。ハーブティーの類いは、由榎さんが淹れた方が美味しいから…私が取れる手は…。


「そして、皆大好き麦茶になる訳か〜。」


「カフェイン入ってないし、濃く煮出せばコーヒーみたいな風味になりますから、ルナさんでもお気に召すかなぁって。」


そう言えば、麦茶に牛乳だかコーヒーフレッシュだかを混ぜて何ちゃってカフェオレってレシピを、どこかで聞いた事ある気がする。良くもまぁ、そう言うレシピ思い付くよね。そこまでしてカフェオレ飲みたかったのだろうか、このレシピを考案した人。


「お嬢さん、そう言う事やないやろ。」


「ま、その辺も私達が知らない話でしょうね。」


あーだこーだ話しているルナさんと由榎さんを眺めながら、私はアクビを噛み殺すのであった。




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