82話 対応するにも限界があるぞ!?
頭の中で、どんな肉を買うかとか、炊飯器の中のご飯残量とか、野菜食べたいなぁとか、色々考えて…ふぅ、と息を吐いた。
こんな風にオモチャにされる事は、今に始まった事じゃない。最近は少なくなっていただけで。アルベロ先生とか、部長達とか、インドールさんやセイボリーさんとか、基本真面目な人達だから。…アルベロ先生は、私に関心がないだけかもしれないが。
ああ、もう…『遊ばれている』や『オモチャ』って私が感じる度に、視界に影の精霊が自己主張してくる。鬱陶しい。…そうだな、人の気持ちを弄ぶのはお前の得意技だもんなぁっ!!
「私が後見人になるのは別に構わない…と言うか、最早決定事項みたいなので良いですよ。」
「おや、意外と立ち直りが早いねぇ。」
何だか影の精霊が視界に入り過ぎてもう気にならなくなってきた気持ちで、この言葉を言ったカルマートさんを見る。相変わらず整った顔をしているけど…さっきの今だからか、笑みの裏に悪魔が見える様だ。
薮を突いて何が出るか分かったもんじゃないし、さっきの今だし…今は大人しくしておこう。……あ〜、はいはい。そうだね、どこにでも影の精霊は居ますね〜。凄いですね〜。
「あ、お嬢さんが慣れてきたみたいやな…せやったら、今がフェーズ2を移行する時か!?」
「いや、まだや…まだフェーズ2は早い…!!もう少しお嬢さんを泳がせてからでも遅くない筈や…くっくっく。」
「あ〜、悪役ごっこは楽しいなぁ。」
「せやなぁ。実際は悪役やなくて黒幕なんやけどなぁ。」
…この際、影の精霊達が寸劇をするのは良いとしよう。たまにやってるし。
「おやおや。」
「!?……!?」
でもさ、それをカルマートさんの家の応接室のローテーブルの上でやるなよっ!!カルマートさんはまだ何か落ち着いているけど、柚季さんが色々度肝を抜かれたって顔をしてるんだけど!!そうだよね、普通に考えたら絵本の小人みたいな謎生命体が複数出現して、いきなり喋り出したらそんな反応になりますよね!!すみません…何か私のせいですみません!!
いつも私に聞こえるだけの寸劇なのに、何でローテーブルでやるかなぁっ!?
「あ、ウチら何やお呼びでないみたいやで?どないする?」
「そんなん決まっとるやん、ウチ。」
「せやな、一択やな。」
「「「お邪魔しました、またどこかで〜…やで!!」」」
カルマートさんが興味深そうに観察、私は心の中で頭を抱えて、柚季さんは影の精霊にどんな対応をすべきか悩んでいる中、影の精霊は一旦…そう、一旦影の中に引っ込んだ。…まぁ、うん。影の精霊だからね。『またどこかで』って言ってたし。
「あっ…お茶でもと、思ったのですが。」
「いずれどこかで出会う事もあるだろうさ。また、と言っていたし。」
柚季さん…貴方、影の精霊相手におもてなしをしようと…まだアイツがどんな存在かしらないからってのもあるだろうけど、何て良い人なんだ。
「え、ええっと…話をまとめますね。あの女の子の保護責任者がカルマートさん、私が後見人…って事で良いですか?」
「うん、今はそれでいこうと思ってるよ。」
…『今は』ってポイントが、一々引っ掛かってしまってごめんなさい…。
「では、あの女の子を引き取る日時とか決まっているんですか?今すぐでないだけは、分かりますけど。」
「まだ分からないかな…夜風さんの言う通り、彼女はまだ一人で立つ事すら危うい状況だから…でも、その時になったら連絡するよ。その前に、ギルドから連絡が来そうだけれど。」
「あ〜、確かに。」
まぁ、こればっかりはなぁ。この世界では、魔法って存在のお陰で『私』の世界よりメンタルケアの技術は進んでるけど…そんな直ぐにどうにかなったら、この世界の病院に精神科や心療内科とかのカテゴリーはないわな。




