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7話 まだ隠されていた秘密。


場所が変わって私がテンパった事により、少しギクシャクしてしまったが…食事をしていくと、その居心地の悪さもなくなっていった。食は心を繋ぐとどこかで聞いた事があるが、生物が一番無防備になる瞬間を共有すると言うのは、やはりそれだけ意味があるのだろう。…何か、保護犬だか保護猫を人に慣れさせる過程を特集したテレビ番組で、そんな事を言っていた…気がする。人間にも適応されるのか、良く分からないが。


「それにしても…ルナ、ここで一人暮らししてるのね。」


由榎さんが持ってきたバームクーヘンで食後のお茶を楽しんでいたら、由榎さんが意外そうにそう言った。…ちょっと分かる。学生時代も、ルナさんはあんまり一人暮らしするタイプには見えなかったから。


「へへ、コトハが来た次の日からね。由榎ちゃんは実家?」


「実家ね。少し学校は遠いけれど、公共交通機関も近いから不便は感じていわ。と言うか、ルナも実家な気がしていたのだけど。」


「一人暮らし、夢だったんだよね〜。ここだとコトハも居るし、設備も整ってるからお父さんもお母さんも許可くれたの。ソルは実家だね〜。寂しがってた。」


そりゃな…十二年間寮生活で離れ離れだったから、漸く実家で一緒に暮らせる!!…と喜んだ矢先にルナさんが家を出ると言う。しかも、一階の共有スペースや私のプライベート空間なら兎も角、他は女性専用だからね。


…新生活が一段落したら一応男性向けのアパートも建設予定って言うのは、何となく今は言わないでおこう。


「へぇ?良く住人専用の施設のあるマンションは聞くけど、ここも結構色々あるの?」


あ〜…プールやスポーツジムやテニスコートとかなら、聞いた事あるな。高い所だとクリーニング屋とか入ってるんだっけ。


「この規模だと、マンションというよりアパートの方が近い感じですが…色々ありますよ。…多分、普通のそう言った施設とは違ったモノが大半ですが。」


工房の類いを併設たアパートなんて…個人的に聞いた事ない。でも、一応ギルドにある簡易鍛冶スペースはそれなりに賑わっているから…少なくとも鍛冶場は、冒険者から見たらそれなりに需要はあるのだろう。装飾台と薬品とか調合する台に需要あるかどうかは、分からないが。


「由榎ちゃん、一人暮らし始めるならここオススメだよ〜。」


「ここって、冒険者やそれ関係の人じゃないと入居出来ないんじゃないの?」


「対象なだけで、不可能ではないですよ。まぁ…かなり市街地から離れてしまいますが。」


一応バスがあるとは言え、利便性だけで言うならこのアパートはかなり不便だ。急いでいる時はイライラしてしまう。…裏技を使えば一応時間短縮は出来るが、そうポンポン使える手じゃないから。


「そこは、私の実家も似たようなモノだから構わないけど…まだ暫く、実家を離れるつもりないのよ。」


紅茶が入ったカップを手に取りながら、由榎さんは優雅に微笑んだ。…由榎さん、実家好きなんだなぁ。私も嫌いじゃないけど…職場遠いからね。仕方ないね。


「そう言えば…私、お二人の実家に行った事ないですね。」


「あ、そう言えば。」


「今度は、こちらが招待するわね。」


そう言ってパチンッと、茶目っ気タップリにウィンクをした由榎さん…うん、何だろうね。美人は何をしても美人なんだなぁって思いました。正直、ちょっとときめいた。


「でも、残念。ちょっと見せたかったなぁ、民間で初の転移装置。」


ルナさんが、お代わりした紅茶に砂糖とミルクを入れる時…私が、今まで何となく伏せて言わないようにしていた事をアッサリと口にした。


「……ちょっとルナ、その辺の話詳しく。」


「へ?でも、そろそろ帰らないとバスなくなっちゃうよ?」


「その転移装置を使えば良いじゃない。」


思いの外由榎さんがガッシリ食い付いた事を意外に思いつつ…ああ、これは泊まりかな?と思い、影の精霊に目配せしてベッドを用意させる私であった。




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