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76話 私の知らない所の話。


私の人生で何度目か分からない、心臓に重りが付いたんじゃないかってくらいしんどい気分になった。…いや、今回の場合は聞かなきゃいけない事だったからまだ良いのかな?……何にしても、重い溜め息を吐くぐらいは許してほしい。


本当、『私』のエピソードなんて軽い方なんだなぁ。いや、命に重さなんて付けるモノではないんだけど。…ヤバイ、命とか考えていたら過去にあったアレやコレやソレを思い出してきた…鬱っぽい気分に…なってきた。


「コホッ、コホンッ…カルマートさん、その方にどんなご用なんですかね。」


「それはぁ〜、あの姉さんから直接聞きっ!!」


落ち込み過ぎるのを防ぐ為に、ワザと咳を出して話題を変えたのに…これは…あっ。


「お嬢さん察するのが早すぎやでぇ。」


「影の精霊と何年も一緒に居たら、この程度察するなんて余裕だわ。」


とは言え、当たり前ながら詳しくは分からない。けど、面倒事と予想外の事が起こるのが分かっただけでも、多少は身構えが出来るから。身構えた所で、受ける衝撃は変わらないって事はあるけど…これは気持ちの問題だから。


「まぁアレや。間接的に、お嬢さんはあの人の命の恩人って事やね。あの組織に面白半ぶ…無理矢理に所属させていたんはあのお嬢ちゃんだけやったからなぁ。」


「…何て事なの。」


影の精霊が話題を変えてくれたから、可笑しいとは思ったんだよ…本当に言い直す前の理由だったら、あの女の子不憫過ぎるんだけど。そんな理由で人生を決められるとか…命あるだけ儲けモノを言えるのは、ちゃんと家族とか、戻った時に支えてくれる人達が居る前提なんですよ。


「いやぁ、あのお嬢ちゃんの先天性加護(ギフト)が、接触した相手の過去を視るってヤツなんよ。そこが面白がられた結果やろうな。まぁ、それが切っ掛けで家族目の前で殺されたんやけどな。」


「……何て、事なの!!」


先天性加護(ギフト)に振り回される人は、数は少ないけど私も見た事ある。私も多少振り回された事あるし。でもコレは…先天性加護(ギフト)を使う事を躊躇ってしまう…と言うか、先天性加護(ギフト)そのモノがトラウマになってしまってるのでは?


「なっとるなぁ。そんな状態なんに、組織所属時代はバンバン過去を見せられて…敵対組織ならまだ可愛い方で、時には味方の過去を見せられて…まぁ、この子にしたら敵も味方も同じ様なもんやったから別にええんやけど。」


「う、うわぁ…。」


ここまで来ると呻く事しか出来ないんだな…精神が壊れるだろ、そんなの。


「お嬢さんらが警察署で暴れたお陰で、完璧に手遅れになる前に助かったんや。さっきも言ったやん、お嬢さんはあのお嬢ちゃんの間接的な命の恩人なんやって。ファインプレー、ファインプレーや。」


そう言われても…と、頭の中で色々考えてしまう。もしかしたら、とか。何かできていれば、とか。


「……こんな『タラレバ』を考えてしまうのは、独り善がりな偽善、なんでしょうね。」


はぁ…何だかとても気分が落ち込むなぁ。当たり前だけどね。仕方ないけどね。自分の独善的な考えに落ち込むよぉぉああっ!!


「…夜風さん?」


「うひっ!?」


壁に背中を付けて深い溜め息を吐いて落ち込んでいたら、カルマートさんが急に私に声を掛けてきた。うわぁ…変な声出た。


「いや、そろそろ君も話をしないといけないからね。呼びに来たんだ。」


「そ、そうですか。すみません。」


わ、私も参加しないといけないのか…って、そうか。私はあの女の子の間接的な命の恩人…なんだっけ。


「さぁ、こちらに。彼女も待っているよ。」


「はい。」


う、ううん…気まずい。私別に、彼女に感謝される様な事なんてしてない……いや、こう言うのは私の主観は関係ないんだよな。あくまで、あの女の子の気持ちが優先なんだよね。


…いい加減腹を括れ、私。もう大分括ってるけど、更にキツく括れ、私。




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