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55話 話を聞き付けるの、早いなぁ。


突っ伏してるままではどうにもならないので、定時まで事務部の仕事を少し手伝った。だって、武闘部の仕事は基本個人作業で、手伝うに手伝えないから…いや、手伝おうと思えば手伝えるんだけど…私まだ武闘部の方々と仲良くなってないんだよっ!!


「コトハコトハコトハあふんっ!?」


自分の人見知りっぷりに軽く自己嫌悪を覚えつつ、普通に定時にギルドから出て、さてこれから帰るかーと思っていたら、突然ルナさんが私に突撃を掛けかけた。


ルナさんが誰かに後頭部を叩かれて突撃が不発で終わらなかったら、ちょっと面倒な事になったかもしれない。そう思えるぐらい、ルナさんは凄くハイテンションだった。…どうでも良いけど、影の精霊みたいな声出したなさっきのルナさん。


「お、おう、どうしましたルナさん…と言うか、大丈夫ですかルナさん。」


「大丈夫よ、加減はしたから。」


ルナさんの後ろから由榎さんが出てきて、キリッと決め顔をしながらそう言った。…いや、ルナさんの痛がり様を見たら、かなり痛かったって言うのが伝わってくるんだけど…ルナさん、痛みからか「お、おおう…。」しか言ってないよ?


由榎さんに、何もそこまでしなくても…と言い掛けて、でも由榎さんは、私の為にルナさんを止めてくれた訳だからと思い直す。それを踏まえると…後でルナさんは労るとしても、今は黙っていようと思った。ごめん、ルナさん。


「由榎さんまで…私の仕事終わりに狙って繰るなんて、どうしたんですか?」


「はっ、そうだよコトハ!!今日、学園に居たんだって!?」


私の言葉に由榎さんに叩かれたダメージを忘れた様に反応したルナさんを見て、相変わらずだなぁと思った。ただ、どうしてルナさんが私が学園に居た事に対してこんなに反応しているのか分からなかった。


「え、ええ。仕事で。」


「仕事!?」


「ほら、言ったでしょう?琴波に限ってそれはないって。」


「ぶぅ…学生と教師って枠がなくなったから、遂に進展したのかと思ったのに。」


そのルナさんの発言で、なるほどと納得した。ルナさんは、私がもう別にアルベロ先生に用がある様に思えない社会人になったから、それでも私がアルベロ先生に会いに行ったから、私とアルベロ先生との関係が進んだんじゃないかとアレコレ考えた訳だ。


…よ、良かった。ちょっと前に、休みの日に普通にアルベロ先生に会いに行った事は、どうやら伝わってないみたいだ。もしかしたら影の精霊がひっそり伝えるかもしれないけど、それでも今はバレていないみたいだ。


いや、アレもアレで学生時代のノリみたいな感じだったと言うか、つまり他意はないんだけど、この流れだと少しややこしい事になってしまうだろう。


「確かに、学園にはアルベロ先生へ用があって行きましたよ。でも、それは依頼書を届けた上で依頼に同行するって目的があったので。」


正確には、アルベロ先生経由で私に用があったみたいなんだけど…コレを言ったら私が針のムシロになってしまうから、言わないでいよう。


「あ〜、そっか。今度は先生じゃなくて、冒険者としてアルベロ先生の所へ向かうのかぁ。」


「ほら、もう分かったでしょ?…じゃあ、琴波。これから一緒にディナーでもどう?小春ちゃんも呼んで。」


「ファミレスだけどね〜。」


由榎さんにディナーって言われて少し身構えたけど、ルナさんに補足説明をしてしてもらって、ホッと力が抜けた。


「小春を呼ぶのは構いませんが、何でまたファミレスで夕食を?」


ルナさんや私なら、ファミレスってイメージもあるんだけど…由榎さんにファミレスのイメージはないなぁ。何か、もう少しお高いかお洒落なレストランのイメージがある。


「…別に、良いでしょ。私だってファミレスに行くわよ。」


「第一、私普通に寮の食堂使っていたじゃない。」と言いながらも、自分でも柄にないと思ったのかフイッと顔を逸らした。…ふふ、由榎さん可愛い。




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