48話 縁の下の力持ち強い…。
武闘部は、それこそずっとパトロールとか外回りしかなくて、ギルドには、居たとしても朝早い時間かそれなりに良い時間か…と思っていたのだが、まぁ、実際その通りだった。
と言っても、初仕事みたいなほぼ素人集団で固まる事はなく、各々先輩に付いてパトロールとかをする、と言う…初仕事が何だったんだ。そう思えるくらいには、こっちの方が研修受けてるみたいな感じになっている。
「本日も異常なし、っと。」
本日の報告や、先輩が気になったポイントをまとめてレポートにして、またその日の内に提出した。あ、影の精霊に確認してもらったから誤字脱字や表現のミスとかはない…と思う。
レポートを提出し終わって、先輩に誘われてギルドの武道場にて軽く…ええ、軽く手合わせをしてから、私は上がりの時間になった。
淡く藍色が混ざりだした空を見上げて…うん、これから遅くなる様だったら小春をギルドに呼んで良いか部長に掛け合おう。もしかしたらオリエンテーションの時みたいに許可が下りるかも。…許可出たら、良いなぁ。
「キツネさんなら、寂しいなぁっとしながらリビングのソファーで丸くなっとるで。」
「…直ぐ帰ろう。」
今日付いた汗やらその他の汚れを軽くシャワーで流していたのだが、浄化魔法を使えば良かったかもしれない。疲れた時に温かいシャワーは、気持ち良いんだけど。
仕事時間に手合わせとかって良いのかな?と思ったが、ついでに武道場の点検も兼ねているからと言われたら…新人の私は何も言えない。
「あれ…コスモクロアさん?」
「あら、夜風さん。上がりかな?お疲れ様。」
「はい…コスモクロアさんは、まだ仕事なのでしょうか?」
何やら疲れた感じのコスモクロアさんが心配になってそう聞くと、コスモクロアさんは苦笑いしながら、もう少ししたら帰るわよと言った。
どうも、私達の報告から一日も経たない内にあの芋虫の駆除と捕獲の両方の依頼がギルドに出されたらしい。捕獲?と疑問に思ったが、要するに生け捕りして人工的に二型以降に成長させるつもりなんだろう。
「受けた人曰く、『いやぁ、臨時収入にもなるし研究やモノ作りの材料の在庫も集まるし、良い依頼!!』だって。人は見掛けによらないと言うけど、あんな小さな子がねぇ…。」
「あ〜…あはは、そうですね。」
その発言をした人に…その口調と、コスモクロアさんが言った特徴に、一人思い浮かぶ人が居た。…ルナさん強いな。
「まぁ、その冒険者は採取とか良くやってるみたいだから、虫には慣れてるんでしょうね。普通に仕留めたり生け捕ったりしていたわ。」
私達の精神に強烈な打撃を与えた芋虫を、ヘラリとした感じに流すなんて……まぁ、ルナさんはその代わりに、古文の説明とかになったら凄い辛そうな感じになるけど。
…一応言っておけば、私だって一匹二匹ぐらいなら芋虫系は大丈夫なのだ。しかし…今回は、数の暴力が過ぎたと思うんだ。
「でも、そう言うならどんな冒険者より事務部の方々の方が強いのでは…。」
ギルドに届けられる芋虫なんて、それこそ私が腰抜かす程あるだろうに、ちょっと疲れたな〜ぐらいで抑えてるんだから。
「芋虫なんてまだ可愛い方よ〜。たまに…本当、何て形容したら良いか分からない、見てるだけで自分の存在意義が分からなくなりそうなイソギンチャク…の苗が来たりするから。」
「おう…。」
「それでもベテランさんになると、そのイソギンチャクみたいなやつの苗どころか、エレメント・ドラゴンの鱗の欠片を見ても動じなくなるって話よ。」
私の場合は、エレメント・ドラゴンさんの知り合いが居るからまだ何となく慣れてるってだけで、全く知らない人がいきなりそんなトンデモアイテムを見て、それでも動じないとか…。
…ギルドにおける真のヤバイ人は、事務部のベテランさん達なんじゃないか?




