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43話 心強さより、心配が勝つ存在。


割りと本気に、寝る時に明日が憂鬱だ…明日なんて来なければ良いのに…と思ったが、そんな事を思った所で時が止まる訳もなく。


私の心境への当て付けの様に清々しく晴れた空を見て、小春に心配させないようにしながら、私は重々しい溜め息を吐きつつ朝の支度をした。…天気に当たり出すとか、我ながら相当だな。


「お嬢さん。いつも通りに起きたけど、そないにのんびりしてええんか?」


「安心してください、今日はいつも通りで大丈夫だと事前に通達がありましたから。」


朝ご飯を作っている時に、影の精霊が何とも不安を煽る感じに聞いてきた。しかし、私は事前に送られたメールを、当日やらかして胃を痛めない為にしっかりと読んでいたから、問題なかった。いや、今も家から離れたら胃が痛くなりそうだけど。


メールの内容によると、今日はいつも通りにギルドへ向かえば良いと書いてあった。…今日『は』って所に何か色々思う所が発生するけど、仕事だから仕方ない。泊まりとか、何か凄く家を空ける時になったら、また上司に相談しよう。


「それに、事前にそう通達があるのに早く行った所で、あまり意味があるとは思えません。結局手持ち無沙汰になるなら、そうならない様にしたいです。」


「んで、本音は?」


「……今日くらい、いつもの様に平和な朝を過ごしたいと思って。」


朝ご飯を食べ終わり、歯磨きをした後、影の精霊が用意した、下手なフルプレートの鎧よりしなやかで強固な防御力を誇る服に身を包み、どうせ落ちるからとスッピンのまま、一応通勤用鞄を持ってギルドへ向かった。…小春に「今日お休みなの?」と聞かれて、仕事だと説明するのが大分しんどかった。




ギルドで新人の私達三人に言い渡された最初の仕事は、良く採取依頼の対象になっている地域のパトロールだった。報告によると、何でも対象の薬草の自生数が大分減ってきているらしい。


本来なら、ギルドが依頼を調整して採り過ぎない様にすれば、ちっとやそっとでは問題は発生しないらしいのだが…明らかにこの地域一帯に何か起こっている様なので、現地を調査する。並びに、冒険者へ依頼を発注するに当たってのランク査定をする事になった。


「ぴゅぅ…これは初っぱなからキツいですね。」


結構広大な範囲を三人で見て回らないといけないとか…まぁ、派手な戦闘は起きづらそうだから別に良いけどさ。


因みに、現在は各々にサポーターが付いた状態で取り敢えずバラバラに見て回っている。本来なら、こんな特別待遇は有り得ない。…有り得ないが、コイツの場合はその『有り得ない』に存在を付けたみたいなモノだから…。


「これでもこの地域はC〜Bランクに指定されとるから、あまり油断しとったら足を(すく)われるで〜?」


「サポーターが影の精霊だから、最悪の事態にはならないと思うんですが…いや、ある意味最悪の事態になりそうっちゃなりそうですが。」


そう、今日付いているサポーターは影の精霊だから、こうして私達がバラバラに動いても大丈夫なのだ。…と言うか、こうしてバラバラに動いてなかったらこうして堂々と影の精霊と会話していない。流石に、こんな素に近い私をインドールさんやセイボリーさんに見られるとか……ルナさんや由榎さんでも抵抗があるのに、それ程仲良くない二人に見せるとか…無理無理。


「逆に考えるんや、お嬢さん。あまり思い入れのない人やから、素を見せてもどうと言う事はないと。」


「そう言う問題じゃないんですよ、影の精霊…。」


そんな風に軽口を叩きながら、あちらこちらを見て回る。私の目には、特に問題がある様には見えないのだが…。


「それこそルナさんと一緒だったら、何か分かるんでしょうか。はぁ…凡人の私には分かりません…。」


「まぁまぁ、お嬢さん。今回は人為的な問題やないから、そこまで警戒せんでも大丈夫やで〜。」


影の精霊の言葉に、人為的じゃないなら魔物とかの可能性があるのか…うん、どっちにしろヤバイよね?ヤバさのベクトルが違うだけでさ?




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