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40話 好意的だから…良しとしよう。


応接室にお茶を持って行って、二人?の前にお茶を置いた時…ヤバイこの女王蜂さんに普通にお茶出したらダメじゃんと今更気付いて超焦った。女王蜂さん、お気になさらず〜って自前のストロー使ってお茶飲んでたけど。


その後、気付いた時にはスズメバチ一行はギルドから姿を消していていて、ギルド長に聞けば森に戻ったと言われた。


それを聞いた人々から安堵の空気が出てきて、それに伴いスズメバチ一行に対する意識も薄れて、色々な憶測も次第に落ち着いていった。


…気付かれずにギルド外に出る術があるなら、ギルドに入る時もそうしてくれたら良かったのに。悪戯にパニックを起こすのは良くないと思うんだ、私。


「はぁ、何か昨日は疲れたなぁ…ん?」


朝、いつもの様に早く出勤した私の目に飛び込んできたのは、デスクに置かれた一枚の紙――どうやらチラシだった。


何となく目を通すと、そこには…木の根元に置かれたスズメバチを模した模様が描かれた暖簾が掛かるミニチュアの屋台車みたいな置物の写真が、デカデカと載っていて、『森の案内、針治療出来ます。』と中々の達筆で書かれていた。…いや、何これ。


「あ、出張治療も承りますよ〜。」


「うわっ!?出張治療って…いやいや、それ以前に何ですかこれは。」


いきなり声を掛けられて、ビックリして後ろを振り返ると、静かにホバリングしている女王蜂さんが居た。このサイズで、結構近い距離なのに羽音が全く聞こえないとは…恐ろしいな。


一瞬、針治療するには特別な資格とか必要じゃなかったとか、色々許可とか大丈夫なのかとか思ったけど…それを丸っと含めて、聞くことにした。


…もうこのスズメバチさん達の存在に慣れてきてる自分が何か…何か、何とも言えない気分だ。


「私達が縄張りにしている森って、私達の存在を抜きにしても迷子が多いのよ。だから、私達が森を案内するボランティアを買って出たって訳。」


「針治療は?」


「私達、カテゴリーは魔虫だからね。人が決めた縛りには囚われないから、言うだけ言ってみようって。針の扱いに長けてる自信あるし、いざって時は解毒やドーピングまで出来るわよ。」

そりゃね……おい最後。


私の非難的な目に気付いたのか、女王蜂さんは「まぁ、ドーピングはする事ないかもね〜。逆に助太刀の方があるかも?」と、ウィンクでもしそうな雰囲気でお茶目に返してきた。おうおう、是非ともそうしてください。


「と言うか、あの森そんなに迷いますかね?」


そういって、いや…と自分の言葉を脳内で否定した。どんな山でもどんな森でも、深い所に入ってしまったら自力で抜け出すのが困難と言うのは、テレビで良く見る話だ。そして、大抵その手の話で生還するのは一握りの人である。


「迷ってる人だと、三年間森から出れてないわねぇ。今年は出れると良いのだけど。」


……えちょ、はぁっ!?


「三年って、遭難って言うか最早行方不明とかそんなレベルですよね!?」


三年間行方不明って…ああ、全然思い出せない。結構ニュース見る方なのに思い出せない。


「当時は捜索とかされとったんやけど、かなり特殊な感じに森の深みに入ってしもたから、年々捜索規模が縮小しとるなぁ。」


「そんなに危ない森だったんですか…。」


当時は普通の森と思っていたけど…そんなに危ないなら、ギルド長にあの森の対象ランク上げるように進言しようかな。…いや、だから蜂さん達が道案内するって話しになってるのか。


「…あの、ボランティアでどうしてそこまでしてくれるんですか?」


そうなると、こちらにメリットしかない状況が怖く感じる。蜂さん側のメリットが分からないと、どんなに言われても蜂さんを私は信用できない。


「ん〜…身内以外の存在と接する事が出来るだけで、私達は楽しいから?役に立てるって事があるって、凄いやる気出るしねぇ。」


どこかで聞いた事あると思ったら…理由がボランティアをしているお年寄りみたいだ。




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