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15話 私は何もやってません。私は。


輪になってお互いを支えている空気椅子みたいなのをしている人達がプルプルしてきて、このままだと上手く受け身が取れなくて変な所強打しそうだ…少し手助けした方が良いかなと思ったタイミングで、二人組の警察が到着した。…あぁ、凄い困惑してる顔をしている。


これは説明手間取るかなと思い、静かに気合いを入れた。


「これは…貴女が指示したんですか?」


どうにか自分の中で折り合いを付けたらしい、二人組の警察の一人が、少し警戒しながら聞いてきた。まぁ、そうなるよなぁ。逆の立場なら、私でもそう思うもん。


「いいえ。コイツ…影の精霊の独断です。」


「…契約精霊が独断で動く事なんてあるのですか?」


どうやら、話し掛けてきた警察さんは少しは魔法やそれに関する知識はあるみたいだ。…もしかして、この人も魔法に関して学んだりした事があるのかな?


「少し事情がややこしいので割愛しますが、影の精霊は私の契約精霊ではありません。…それより、早くこの人達をどうにかしないと。何だか大変な事になりそうなんですが…。」


そう私が言うと、私を警戒していた警察さん二人が一瞬我に返った顔をして、大男さん達を支えたりして上手い具合に優しく地面に倒していった。


私と警察さん達が会話している間にも、大男さん達の足はプルプルと震えていたので、変な落ち方もせず倒された大男さん達は、ホッと息を吐いていた。…いくら力のバランスか何かが釣り合って倒れない状態になっていても、ずっと同じ体勢と言うのはしんどいからね。足痺れてきてしまう。


「って、影の精霊。棒で足を突っつくのは止めてさしあげろ。絶対痺れてるから。」


「いや、お約束かと思って。ああ、それとあちらの黒フードの人のアレコレは終わったで〜。」


そう言うと、クッタリと地面に体を預けた黒フードさんが目に入った。…影の精霊、どうしてこの人はあの輪に組み込まなかったんだろう。確かに大男さん達に比べたらこの人は小柄だが…私の記憶にあるバラエティー番組情報だと、別に不可能ではなかったぞ?


「あ、そこの警察の兄ちゃん二人。ウチの事に関してはオフレコで頼むな〜。まぁ、言うてこの辺の警察では公然の秘密みたいな扱いらしいんやけど〜!!」


…何かとんでもない発言が影の精霊から飛び出したが、気にするだけ負けだと思って私は黙した。でも、王宮にもコイツ出入りしてるんだよなと思うと…知っている人は知っているみたいな感じなのかなと思った。


私に話し掛けてきていない人が、護送車の応援を呼んでいる時…もう片方の、私に声を掛けた方の警察さんは、まだ少し訝しげな顔をしていた。…嘘は言ってないんだけど、影の精霊があまりに私と親しそうだからイマイチ契約精霊でないって件を信じていないみたいだ。…まぁ、これに関しては昔から一緒の人か、小春の存在を知っているじゃないと難しいか。


「…本当に、その影の精霊って方は貴女の契約精霊ではないんですね?」


「私、別にちゃんと契約精霊居ますから…今は別行動しているので、直ぐには呼べませんが。」


いや、契約主である私が呼び掛ければ普通に来てくれるんだけどさ…小春のプライベートは守りたいじゃないですか。何か…楽しみにしていたし。ルナさんとの、お出掛け…ううっ。


「お嬢さん、娘離れ出来ひんお父さんみたいになっとるで?」


「…お母さんじゃなくてお父さんなのかよ。」


自分でも少し思ったけどさ。毎回良くやるなぁとも、思ったけどさ…仕方ないだろ、今少しナイーブな心持ちになってるんだから。ひたすらに癒しが欲しいと思って何が悪い。


「護送車の手配、終わりました。…えっと。」


「ああ、すみません。私は夜風と言います。」


名乗ってなかった事に対して『やらかした!?』と思うより、今まで話し掛けてこなかった方の警察さんが話し掛けてきた驚きの方が強くて、不思議とネガティブスイッチが入らなかった。いやだって、正直凄く驚いたし。


「では、夜風さん。署の方で事情を聞かせてもらいますので、車の方に乗ってください。」


…事情は何であれ、パトカーに乗るのに少し後ろめたさを感じるのは何でだろう。




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