12話 巻き込まれるのは決定事項。
そこから一週間…コスモクロアさんともそれ以外の方とも、それなりに良好な…表面上は良好な感じになりながら、過ごせた。同僚とは席が離れているのもあって、あんまり話せてはないけど…新歓の時少しだけ話したら、悪い人ではないみたいだった。…お互い初出勤の時緊張して、強張っていただけらしい。…ま、どちらにしろ話さないんだけどね!!打ち解けるまで時間掛かるからね!!
まぁ、そんな色々あった一週間が終わり、社会人になって初めての休日になった。こ、こんなに休日が有り難く感じたの初めてだ。暫く人に会いたくない…買い物あるから出るけどさ。
「はぁ…何で日用品って、こう立て続けになくなるんですか。」
「使うからやない?」
「そりゃそうだけど…小春、私買い物行くけど来る?」
朝ご飯を食べつつ頭の中で買い物リストを上げていきながら、小春も来るかなぁと声を掛けたのだが…「今日、ルーちゃとお出掛けするの〜!!」と言われて断られてしまった。る、ルナさんと、どこにお出掛けするんだ!?
気になるが…下手に詮索して小春に嫌われても嫌なので、色々聞きたいのをグッと抑えて「そっか、気を付けてね?」と笑顔で言って、手早く支度を終えて家を出た。
「お嬢さん、よう耐えたな。」
「すげぇ気になったが…あんなに嬉しそうな小春に根掘り葉掘り聞くのは躊躇われたんだよ…。」
バスに揺られながら、何となくネットでニュースをパラパラ見ていく。へぇ…最近何か、スリや置き引きをする集団みたいなのが巷を騒がせているのか。
「この世界でこの手の犯罪を成立させるなんて…誉められた事ではないのですが、良くやりますね。」
「表立ってやっとるのはそんぐらいやから、まだ可愛い方やと思うけどな〜。」
おっと…また裏事情を言うつもりかコイツ。
「この事件だけ言うんやったら、その組織に時空系の先天性加護持ちが居るんよね〜。発動条件はちと厳しいけど、接触したら割りと何でも任意の場所に転移できる能力者やで。」
案の定だよ…案の定、私にしか聞こえないように、知らない方が何となく幸せな気分になれる情報をぶっ込んできたよコイツ…まだ引っ掛かりがあるって事は、この話根が深いのかな…嫌だな。
にしても、精神系の先天性加護以上に引きが少ない時空系の先天性加護が犯罪者の元に行っちゃったか…。
「この置き引きや引ったくり、場合によったら集団リンチみたいになるみたいやで。お嬢さんも気を付けや?」
「と、言われましても…。」
影の精霊がこう言うって事は、私も狙われる可能性があるって事か…自分で言うのも何だけど、事前に狙う人を下調べとかしないのかな。
「強いて言うなら、襲う人は男性構成員の趣味が反映されるらしいで。」
あ、はい。
うーん…そう言う意味も含むなら、人通りが多い所から少ない所に移動した時が人を特定しやすいかな。そうなると…荷物は影の精霊に一度預けておいたら良いか。
「影の精霊に頼りすぎて後が怖くなりますね本当に…。」
「大丈夫やて、お嬢さん。少なくともお嬢さんが人として生きてる間はずっとウチは一緒やから。まぁ、何やお嬢さんが魂だけになっても憑きまとってる気がせんでもないけどな!!」
…何だろう、凄く不安になる発言を聞いてしまった気がする。生きていても死んでいてもコイツに憑きまとわれるとか…便利な人?ではあるけどさ…魂だけになったら便利もへったくれもない気がするんだ、私。
一度にたくさんの情報が来た為、何となくバスの窓の外の景色を眺めて現実逃避した。
「お嬢さん…いくら現実から目を背けても、かなりの高確率で狙われると思うんや、ウチ。」
「まだ…まだ、直前に私の職業に気付いて引き返すって希望が残ってますから。」
自分で言っていて何か虚しくなってきたけど、願うだけなら良いだろ!!願わなかったら現実にならないし!!