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127話 足元にも及ばないにしても。


もしトロバドールさんがルナさんを狙っているとしたら…う、ううん、ルナさんなら自衛くらいは出来るだろうけど、学生時代に一回拐われた時があったからなぁ。…まぁ私もあるんだけどね、拐われた事。その辺似てるよなぁ、私達。


「アルベロ先生って、トロバドールさんって知ってますか?」


トロバドールさんから何のアクションのないまま休日になったので、私はアルベロ先生の所に意見を求めに向かった。因みに小春は、ルナさんと一緒に私の実家へ遊びに向かっている。


…夏期休暇に入ったら、一日くらいは顔を出すつもりだからセーフセーフ。


「トロバドール…?あ〜…ああ、何かそんなヤツが昔俺の周りをチョロチョロしていた…気がする。」


「そうだったんですか。」


トロバドールさんの問題とか知ってたら良いなぁ…程度で聞いたのだが…まさかアルベロ先生とトロバドールさんも繋がっていたのか。相変わらずの適当さだが、これはこの際気にしない。


「良く分からんが、何か昔俺に助けられたとか何とか言ってたな。」


「アルベロ先生に直接、ですか?」


「さぁ?」


覚えていない事に軽くずっこけそうになったが、トロバドールさんが昔は周りをチョロチョロしていたとなると…アルベロ先生に直接助けられた訳でなくても、アルベロ先生が動いている姿を間近で見れた位置に居たのだろう。


意外に動く時は動くからなぁ、アルベロ先生。その姿に圧倒されて、憧れを抱いても可笑しくない。…って、いつの間にか私の中で対象がルナさんからアルベロ先生に移ってる。


いやだってさ…悔しいけど、ルナさんとアルベロ先生だったら、性格的ににはアルベロ先生の方が近いし…今思えば、トロバドールさんとの会話では、私の名前を除けばアルベロ先生とコスモクロアさんぐらいしか人名が出てきてないし。


「でもどうして…今更私に絡んできたんでしょう?アルベロ先生との噂は、結構前から出ていたのに。」


「切っ掛けなんて、大抵些細なもんやで。」


…相変わらず、影の精霊は色々知ってるみたいだ。でも影の精霊はなぁ…使うとエライ事にしかならないし…いや、エライ事になる前に影の精霊を使って情報を聞いた方が良いのかな?いやでも、それでトロバドールさんのプライベートな情報が開示され過ぎたら、次トロバドールさんに会った時にどんな顔をすれば良いか…そりゃ普段はあまり接点のない人ですけど。


「夜風、面倒くさい。」


「知ってます。」


「お嬢さんが面倒くさい事になっとるから、ウチが勝手に言うな〜。ウチが勝手に言っただけやから、お嬢さん的には面目は立つやろ?」


影の精霊が勝手に言っただけって…確かに言い訳にはこれ以上のモノはないけど、でもそれって…ただの免罪符だよな。


「いや…影の精霊、話してくれ。」


「おっおっお?お嬢さんったら、面倒くさいのを拗らせて腹を括ったみたいやな?ええで、ウチそう言うの嫌いやないで!!」


色々とツッコミを入れたくなる顔をした影の精霊を、腹に力を入れてどうにか耐えた。…いや、足元に居た影の精霊は踏みつけたから、あまり耐えれてないかもしれないが…。


「アルベロ先生、すみません。わざわざアルベロ先生の所に来なくても良かった話を、ここでしてしまって。」


「今更じゃね?…あ、夜風。何か飲み物。」


「何かって……あ〜、紅茶になりますけど、それで構いませんか?」


「飲めたらどうでも良い。」


どうでも良い…か。だったら水にしてやろうかな〜。アレも飲み物の分類だしなぁ?


…まぁ、そうしてアルベロ先生に水を差し出して私だけ紅茶飲むってなったら、多分私が居たたまれなくなるから…素直に紅茶淹れよう。


「はぁ…本当私って面倒くさいですね。」


何が面倒くさいって、もう全体的に面倒くさい。


少し気持ちが沈んでしまったが、淹れている時に漂ってきた紅茶の香りに、少しだけ落ち着いた。




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