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101話 手を貸すのは別に良いけど。


オカンの称号を冠している事に更なる親近感を柚季さんに感じながら、何だかんだ二度目になる柚季さんの手料理…元い、カルマート家の夕食をごちそうになった。


因みにメニューは、何かオシャレな感じになったピーマンの肉詰めを主菜に、副菜や汁物はアッサリした感じに揃え、デザートはレアチーズケーキだった。前回同様に、その料理はとても美味しかった。


ただ、ピーマンの肉詰めを食べる時のカルマートさんが、妙にしょっぱい顔をしていたのが印象的だった。…もしかしてカルマートさん、ピーマン苦手なのかな。え、何そのギャップ。


「さて、どこからはなそうかなぁ。」


食後のお茶を飲みながら、カルマートさんはニヤリって感じの笑みを深めた。…あれ、柚季さんじゃなくてカルマートさんが話始めるのか?


「俺の家は代々カルマート家の執事をしているのですが…執事の仕事を継ぐ時に、白ウサギの精霊も継ぐんです。」


「その精霊を継ぐ時に使う実式が問題でね。何故かその白ウサギ…今の白雪君だけど、その白雪君以外の精霊から嫌われてしまうんだ。生憎術式を弄りたくても、僕では力不足でね。」


少し呆気に取られながら、ああ…と少し納得した。まぁ私と小春が契約した時は、何かこう…かなり原始的な感じで契約した気がするから、格式張った方の精霊契約はあんまりピンとこないけど…パソコンのアップデートしたくてもネットに繋がらないみたいな感じに近いのかな。違うかな?


と言うか、ただ者ではないオーラを身にまとってる系エルフ族のカルマートさんでも匙を投げるとか…もう、ご愁傷さまですとしか…。


『それご主人に言うなよ。絶対泣くから。』


頭に響く呆れ声の白雪さんの声に、言えるかって思った。多分察されてると思うし…傷は、少ない方が良いから。


「皆さん、人種的には好きなのに何か嫌だ…みたいな感じの顔をなさるので、もう辛くて…皆さん、本当可愛らしい方が多い…ので…。」


「ウチ、豆精霊が結構来るもんねぇ。」


豆精霊…辛うじて実態を得ている精霊の中で、マスコットみたいな一頭身の動物の姿をしている精霊を、豆精霊と言うけど…そんなに来るんだ。私も学生時代にちょっと会ったきりなのに。


「豆精霊さんは、まだ普通に逃げてくれるんですが…空を飛ぶ小さな羊の精霊に、そんな顔されたんですよ…。」


おっと、その羊さんは知ってる羊さんかもしれないな。いやでも、日辻さんは仲間沢山居るからなぁ…もしかしたら、その内の一匹かもしれない。


「おや、そんな表情豊かな羊の精霊が居たんだ?ちょっと会ってみたかったなぁ。」


「その羊さんは少し変わっていて、俺が差し出したクッキーを貰ってくれた上に、味の感想まで言ってくれたんです!!…だからこそ、その微妙な表情が何とも…。」


ああ、日辻さんだ。確定で日辻さんだ。他の羊さんでもクッキーは食べるだろうけど、味の感想を言うのは日辻さんだ。


「ぷ、ぷきゅ……きゅう…。」


「あ…小春寝ちゃった。」


お茶を飲んでいた時から何だか静かだなぁと思っていたら、お腹いっぱいになったのと、話が小春にとってつまらなかったのもあって、寝てしまったみたいだ。


「わぁ…ウトウトしてるキツネさん…小春さんでしたか?可愛らしいですね。」


一定距離を保ちながら小春を愛でている柚季さんに…何だか涙が出てきそうになった。物悲しいよ、柚季さん。


「うーん、始が可哀想だなぁ。でも、僕一人では手足が出ないんだよなぁ…誰か手伝ってくれる人居ないかなぁ?」


小春を膝に乗せた状態で、柚季さんの姿に涙が出そうになっていると…カルマートさんが、何ともあからさまな言葉とチラ見をしてきた。さ、最近影の精霊でもそんなあからさまな釣りはしてこないぞ!?


「お嬢さん…お嬢さんは、今はあんな、あからさまな釣りがご所望なんか?」


「え、いや別に正直どうでも良い。」


単に例としてそう言っただけだったのだが、案の定影の精霊が乗ってきてスンッとした気持ちになった。




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