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99話 心配事は少なくしたいから。


一週間の潜入調査を終えた私には、いつもの日常が戻った。たまにラシェールさんから報告のメールを貰ったり、影の精霊から報告を貰ったりするけど、目立った行動をしている人は居ないみたい。


…影の精霊の報告には、ナヴェーさんやミストラルさん、ラシェールさんでグヘヘな妄想をしている輩は居るってあったけど、実害ないし、まだ妄想の範囲内なので黙認している。…ウチの学園、男子も女子も逞しいよなぁ。


「はははっ、学生やっていたんだね夜風さん。」


「笑わないでくださいよ…。」


まぁ、逞しいってのは私も言えるかな。黒歴史一直線だと思っていた高等部の潜入サポートの依頼を、こうして他の人に笑って話しているんだから。


カルマートさんに、何とプライベートで呼ばれた私は、仕事終わりに一旦家に帰って、小春を連れてカルマートさんのお家を訪れた。…だって、小春も連れてきて良いって言われたので。小春、白雪さんを見付けたらまっしぐらに飛んでいったけど。…多分、うん、多分大丈夫。執事の柚季さんも見てくれているし。


「ねぇねぇ、その潜入中に何か面白い事なかった?話せる範囲で良いからさぁ。」


「面白い…ですか。」


野生の本能に小春目覚めてないと良いなぁと考えながら、カルマートさんの話に頭を切り替える。


守秘義務に引っ掛からない範囲のネタかぁ…うーん、かなり距離が空いた状態ですれ違ったのに、ルナさんに勘付かれそうになったとか、義弟のイヴィールの学園での姿が見れた事とかは言えるかなぁ。


戦闘ありの授業でちょっとやらかしてうっかり目立ってしまった事とか、それをカバーする為にラシェールさんが頑張ってくださった事は…ラシェールさんの事を簿()かせば、ギリギリ言えるかなぁ?ナヴェーさんとミストラルさんの話しは、絶対言えないし。あの二人は出自が特殊過ぎるから直ぐバレる。特にナヴェーさんは分かりやすいから。


「ああ、すまない。そこまで困らせるつもりはなかったのだけど…大変なら、無理に話さなくても良いよ。」


「ああ、いえ。あるにはあるのですが、口頭では少しややこしいので…必要なら、後でレポートみたいにまとめましょうか?」


…自分で言っといて何だけど、スゲェ事を言ってるな。何がどうとは説明できないけど、取り敢えずまともな人ではないって感じが凄い。


「ぷっ…ふふっ…あははっ!!やっぱり面白いね、夜風さん。そのブッ飛んだ思考は、夜風さんから感じる高校生(・・・)な所が関係してるのかな?」


カルマートさんの言葉に、冷や水を浴びせられた様な気持ちになった。グルグル考えていた思考が、一気に急停止させられた…みたいな。


確かに…『私』は高校生の半ばあたりに時に死んでいる。そして、『私』は死んだ時から成長していない。そう考えた上でカルマートさんの言葉を考えると…もしかしてカルマートさん、アルベロ先生と同じく『私』の存在に気が付いているって言うのか?


…いや、別にそれでも良いか。ちょっと気まずいけど、気付く人は気付くだろう。多分ヴァンさんも…頑張ればミストラルさんも気付いてそうだ。


「おや、意外に直ぐ冷静になるんだね。」


「気付く人も居た、ってだけですから。」


執事の柚季さんが淹れてくれたお茶を飲みながら、シレッとそう答える。…うん、まだ少し心拍数が速いけど、それでも気分は大分落ち着いてきた。割り切りと諦めの力スゲェ。


「ううん、夜風さん自身を大きく揺さぶれるネタはこれくらいしかないんだよねぇ。後は突っつくとコッチが火傷しちゃいそうだし。」


「カルマートさん…私をゆする気だったんですか?」


もしそうなら、カルマートさんとの距離感を考えないと…いやでも、この屋敷を維持しつつ執事を雇ってギルドに長期の依頼を出すだけの余裕があるなら、私をゆする意味がないか。…ああ、引き出したかったのは金品ではなくて情報の方か。


「どちらかと言えば、警告に近いかな。大分気が緩んでいるみたいだったから、気を引き締めないといずれ足元を掬われるよ?ってね。少し意地悪だったのは認めるけど。」


…気が緩んでいる様に見えていたのか、私。少し傷ついたけど…これから気を付けよう。




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