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空模様

作者: 二一 不二

雲ひとつない空ってやつは、言ってはなんだが味気ない。

 雲ひとつない快晴の空、である筈だった。


 しかしいつの間にか、薄汚れた雲が青い中空を漂っている。

 おかしいな、一体どこから現れたのだろう。気になって周囲を見渡してみると、その雲の発生源を見つけた。

 取り壊されている真っ最中の古びた白いマンションだ。年季の入った外壁が角から溶けて、そのまま空へと流れ昇ってゆく。あの小汚い色の雲は、ろくに掃除もされずにくすんだペンキと、カビや土埃によって生み出されていたのか。


 まったく相応しくないと思った。この空の青を汚しているようで我慢ならない。

 私は近くを行く見ず知らずの母親が押すベビーカーから赤子を取り上げると、空へ向けて、その軽過ぎる身体を高々と掲げた。赤子は日の光を全身に浴びると、目や鼻、耳に口から、真っ白な煙を吐き出した。落とした影すらも汚く見える崩れかけのマンションよりもずっと清らかで美しい、しかしあまりにも小さな雲が、空にひとつ生まれた。


 雲を出し切った赤子は、先ほどよりも遥かに軽く、また静かになっていた。水に浸した未開封のポケットティッシュよりも軽い。そして泣き声はおろか、鼓動すらも聞こえない。

 人が生まれもち、やがて汚されてゆく真っ白な純粋さのすべてを吐き出したこれは、もはや赤子とは呼べないだろう。


 突き抜けるような青空に浮かぶのは、燦々と輝く丸い太陽と、大きな煤けた雲、そして小さな真っ白い雲。

 風に吹かれて次第に崩れてゆく雲たちの隣に、突如として、間延びした人型の影が出現した。正体は、近くの公園で遊ぶ女の子が作った影送りだった。

 大きな影は、何も言わずに私たちを見下ろしている。その影がこれまた突然に、上半身を横倒しにした。何事かと思ったが、何のこともない、ただ強風に吹かれただけだ。巻き上げられた木の葉も巻き込んで、影はぐにゃりと折れ曲がる。その先にあったマンションの雲と混ざり合い、空に黒を広げてゆく。緑色の木の葉も、赤子だった雲も、光そのものである太陽すらも、飲み込み、塗り潰し、青空を染めてゆく。


 風は止まず、拡散も収まらず、やがて天井の青は消え去った。そうして、空から黒が降ってくる。境界を失った私たちへと分け隔てなく降り注ぎ、ぶすぶすと溶かし、取り込んでゆく。


 その先には何も残らない。真っ暗な真っ黒があるだけ。

 雲も空も、私もあなたも、今日も明日もありはしない。

 ただ黒だけが、すべてになる。

 それはとても■■■■■■■■■■

取り敢えず何か書かなきゃいけねぇなと思い立ち、その勢いのまま書いてみました。

一見、意味不明な文章ですが、何か思う事はありましたでしょうか?

どうぞ思いっきり深読みしてみてください。

これはそういうつもりで書いた作品です。

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