バカの扱いは困る
―― 素直なバカ ――
工場のラインのリーダーをしていた時だ。
少し預かってくれとやってきた人物のことだ。
自律神経がどうたらこうたら、となんらかの枠で働いている、古参にはある種有名人だ。
休憩所で暴れているのを私も見たことがあった。
ちょっとした作業を与えた。
外装を取り付けるだけだ。
愚直に働く。
思ったよりも使えた。
が、やらかした。
ビスの頭を齧った。つまりドライバーでビスの頭を削ったわけだ。
あるトルクになるとクラッチが働き止まる仕組みだが、止まらないため延々と掘削したわけだ。
トラブルへの対処が出来ない。
これが問題か。
他の人が気付いて報せてくれた。
問題が起こったら作業をやめて報せる、という基本が出来ない。
まあ、変なことしなかったため、外装に傷もなく助かった。
電動ドライバーが止まらないから、硬直してたようだ。
ビスの頭にドライバーを合わせて、柄頭をハンマーで叩く。
ドライバーが引っかかるようになったら押し付けながら回す。
あとはビスを交換して終わり。
愚直なバカは使いようだな。
―― 掛け算が出来るとほざくバカ ――
棚卸のときだった。
全員に「ちゃんと実物を見て数えるように」と指示を出す。
しかし数が合わない。
数えたバカと確認に行く。
どうやって数えたか、もう一度やってもらい、見る。
段ボールに手を突っ込み4段あることを確認し、一番上の段ボールの仕切りを少し捲って縦横を12と4と数えた。そして掛け算したと答えた。
なんだろう。私の指示を完全に無視してそれを平然と答える。理解してない。
ちなみに一番上の段には部品が歯抜けで、しかも一段に50づつ入るように左右が12だが真ん中2列は13個並んでいた。
二度手間、面倒臭い。
―― リーダーとなったバカ ――
私の後任のリーダーが問題だった。
稀にある電源の不良。手元のLEDが素早い点滅の回数で不良個所を教えてくれる。
一度目は分からなくても仕方ない。
だが何度も繰り返す。
月に一回もないとは言え、憶えろよ。
不良の対処法ぐらい当然だろ。
まあ、そんなやつの話だ。
あるとき
ガシャン
というガラスが割れる音が響く。
使っているランプが割れたのだろう。
この機種では初めて聞いた。
まあ、そんなこともあるだろう。そう思っていた。
ガシャン!
しばらくして再び割れる音が響く。
不良が塊まっていたのか?
ちょっと不審に思っていた。
ガシャン!!
三度響く割れる音。
私は様子を見に行く。
バカは検査をしていたらしい。
暗幕を退かし、蛍光灯の灯りの下、調べる。
すぐに違和感に気付いた。
検査冶具についていたエアダクトが無くなっていた。
即座にバカに尋ねると答えが返る。
足元から取り出し、邪魔だから外した、と。
orz
いや。
〇ΓZ
表現するとそんな感じだ。
この絶望感。なかなか味わえない。
冷却用だから外すな!
必要だからあると理解しろ。
―― 言っても聴かないバカ ――
歯を磨こうとしたら歯ブラシが濡れていた。
父が使ったようだ。
バカなのか?
色も違うし形の種類も違う。目が腐ってのか?
対策として、さらに輪ゴムを歯ブラシに装着し、念を押した。
後日、また歯ブラシが使用前に濡れていた。
私は場所を変えた。
―― 確認しないバカ ――
あるとき姉が洗面所を掃除していた。
使っているのは歯ブラシだ。
問題があった。
その歯ブラシは私のだ。
なぜ、自分の使用後の捨てる歯ブラシを掃除に使うか、掃除に使う前に誰が使っている歯ブラシかを確認しないの?
この家にはバカしかいないようだ。
今、私の歯ブラシは洗面所の鏡台の上の蛍光灯の傘の部分の上にある。
注:自分も含まっています。