表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

レンアイ ノ ヒトコマ 【ショート・ショート】

作者: 横森πRON

執筆中の連載「変化の風、運命の車輪」とは全く関係ありません。

なんとなく書いてみました。

「あの時僕は君にキスをしたけれど、それが『好き』という感情から来た行動なのかはわからない」


学校の帰り道、寄り道をしたゲームセンターで手を繋ごうとした私にオオツキ君が言った。


「やっぱり、僕と君はつりあわない。僕に君は似合わない。君に僕がそうであるように」


動かないゲームの、真っ黒い画面に映る私たち。

似合う?似合わない?

他の目を持たない私にはよくわからなかった。

画面の中にいる私のおなか辺りをじっとみて、彼は私と目を合わさないつもりだ。


「他の人を気にしないとだめなの?」


私は尋ねる。


「だめだよ。僕らも他の人の一人なのだから」


ついにオオツキ君は歩き出してしまった。私が隣にいないにも関わらず。

歩き出した彼を追いかけるけど、どうしてか私たちの距離は埋まらなくて

車の前輪と後輪の関係のように一定の距離を取られたまま、私はオオツキ君を追いかけた。


「私はずっとオオツキ君のことが好きだったんだよ」


最後まで取って置いたセリフをぶつけると、彼は立ち止まり、

悲しそうに笑って


「今言われても困るなァ」


といった。


そうか、『今』じゃなくて、もっと『前』から伝えるべきだったんだね。

声にして、言葉にして、あなたにちゃんと伝えるべきだったんだね。


「今度から、ちゃんと言うね。君に、ちゃんと伝える」


それでも君の悲しい笑顔は変らなくて、

私は、もう君の隣にはいけないのかと悲しくなって、

でも彼にそれを教えてはいけない気がして、

やっぱり、私も笑った。

それはオオツキ君のような悲しい笑顔だったと思う。



明日から、また『今度』をやり直そう。

教室で彼に会ったなら、『おはよう』から少しずつやり直そう。

明日会えなかったら、明後日。

明後日会えなかったら、その次。

9年や10年かかっても、夢のなかですら会えなくても、

いつかまた会えたときに、私は『今度』をやり直そう。

その時、君が幽霊になっていたとしても

私は『今度』をやり直そう。

だから、そのときはちゃんと私の目を見てほしいと思うよ。



「じゃあな」


「さよなら」



また、『今度』

大槻ケンヂさんをオマージュしております。

「んん?」と思うフレーズがあるかもしれません。

知ってる人は知っている、知らない人は…気付かないと思います。

アンニュイな雰囲気が伝われば大成功。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] オマージュはわかりませんでしたが、独特の雰囲気があっていいですね。セリフも現実的というよりは、劇のような調子で、普通と違う感じがして新鮮でした(私が最近の流行を知らないだけでしょうか?)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ