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愚者は賢者と成り得るか?  作者: 泥人形
始まりの街
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ズボンは買えないが

洋服屋はギルドより小さかった。

扉の上に洋服の絵が描いてあるからな。

だけどここで問題が発覚したんだ。


「なんて書いてあるか分からん。」


そう、読めないのだ。

洋服の絵の下に文字らしき物が書いてあったんだ。

多分、店の名前なんだろうけど読めない。

【フェルタ語】を習得してから言葉を話せるようにはなったが文字はまた別のスキルが必要なのだろうか?


「いらっしゃぅえい!?」


「は?」


そんな事を考えながら服屋に入っていったがなんか変な声が聞こえてきた。

一瞬どこから言ったのか分からなかった。


「え、えるふもどき!?」


下の方に目を向けると年が二桁も無いような赤毛の少女が笑っていた。

頭の上に大きなピンクのリボンが付いた可愛らしい子が驚いていた。

元気そうな子だな、店番か?


「違うぞ。」


エルフ?

あの美男美女の種族の代名詞、森の精霊、魔法が得意で耳長のあのエルフか?

この世界はエルフもいるのか。

と言うよりこの少女は俺の事をエルフのように見えるのだろうか?


「エルフに見えるか?」


「えるふっぽい!!」


「マジか。」


見えるらしいぞ。

俺ってばイケメンか!?


「あ。

でも何でもどきなんだい?

お嬢ちゃん。」


なんだ?

俺がイケメン過ぎてってか?

こんな小さな子でも俺の良さが分かるなんて、俺ってば罪な奴だな!


「かっこよくないから!」


おぅ!

純粋な子供の意見って凄く心に刺さるな。

どこがエルフっぽいのか気になるが聞いたらまたダメージを負いそうだから止めとこう。


「えるふもどきのおにぃちゃん、ごようはなんですか?」


口足らずな物言いに顔がほころんでしまいそうだ。

やったら嫌われるかもしれないからしないが。


「ズボンを買いに来たんだ。

ほら右の膝下が破れているだろ。

このズボンと同じようなやつはあるかな。

それとその呼び名はやめてくれ。

俺の名前は黒崎 清だ。

清が名前だからな。お嬢ちゃんの名前はなんだい?」


「レニ!

ななさい!

ん〜、ずぼんはない!」


おぉ、歳まで答えるのか。

日本じゃ知らない人には答えないとか言われているんだけどこっちじゃそんな事はないのか?


「えっと、なんでかな?」


「あうのがない!」


あう・・・サイズの事か?


「大きさが合わないのかな?」


「うん!」


「マジか。」


「ほかにごようは、ありますか!」


他に必要な物、か。


「じゃあ、財布。

財布は売ってるかな。」


銅貨がジャラジャラで困ってるからな。


「あるよ!

こっちに売ってるの!」


「そっちか、どれどれ。」


財布は巾着みたいな奴だった。

色と大きさが三種類づつあった。

色は白、黄、茶で大きさは小、中、大だ。


「すきなのをえらんで!」


「じゃあ、茶色の中をくれ。」


「はい、おだいは、どうか10まいです!」


「はい。ありがとうな、レニちゃん。」


「どういたしまて、キヨおにぃちゃん!

1まい、2まい、えっと。」


レニちゃんは俺から受け取った銅貨を数えているが上手く数えられないらしい。

これレニちゃんと仲良くなるチャンスじゃね?


「レニちゃん、銅貨を数えるのなら一緒に数えようか。

そうしたら足りない分をすぐに払えるからさ。

いいかな?」


「うん!」


「じゃあ、お兄ちゃんが先に言うからレニちゃんは俺に続いて数えてね。」


「うん!

わかった!」


「1枚。」


「1まい!」


「2枚。」


「2まい!」


「3枚。」


「3まい!」


「4枚。」


「4まい!」


「5枚。」


「5まい!」


「6枚。」


「6まい!」


「7枚。」


「7まい!」


「8枚。」


「8まい!」


「9枚。」


「9まい!」


「10枚。」


「10まい!」


「レニちゃん、よく数えられたから偉いね。

銅貨も足りてたし、無事に買い物が出来たよ、ありがとう。」


「うん!

どういたしまして!」


あぁ、この笑顔を永遠に覚えておきたい。


「【スキルトレジャー】」


《【スマイル】を習得しました。》


「なにかいった?」


「レニちゃんが可愛いな。」


「うん!

ありがと!」


カメラが欲しい。

黒崎 清


【スマイル】レベル1

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