ギルドに登録して
「お前、なんで叫んだ?」
やっぱり習得しました、って聞こえてないのかな。
「驚いただけです。
バゲラさん、カードを作って下さってありがとうございます。
そういえばグラスドッグとブラッドウルフの魔石はいくらくらいになるんでしょうか?」
驚いたついでに【スキルトレジャー】を使いました。
【ステータス】、能力数値とかを見れるスキルだと思うからこれならスキルも調べられる。
魔力量も分かる。
美味しいスキルの筈!
・・・今度から【スキルトレジャー】は小声で言おう。
「驚く度にあんなに叫ばれたら周りに迷惑だろうが。
グラスドッグは500ペル、ブラッドウルフは250ペルだ。
だがお前のステータスじゃ倒せないぞ。」
グラスドッグの魔石は一個100ペル、ブラッドウルフの魔石は250ペルですか。
「分かりました。
この恩は必ず返します。」
「ふん、律儀な奴だな。
まぁ楽しみにしてやる。
よし、トマック連れてけ。」
「はい、バゲラ様。
えっとクロサキヨさん行きますか。」
「キヨです。
トマックさん、ギルドまでの案内、宜しくお願いします。」
俺はトマックさんに着いていった。
俺はイセムの街を見回す。
木造の家が主らしい。
「【スキルトレジャー】」
《【ダッシュ】を習得しました。》
「【スキルトレジャー】」
「あの、何を呟いているのですか?」
「気にしないで下さい。
独り言です。」
二回目の【スキルトレジャー】が使えなかった。
つまり魔力切れ、もしくは魔力が足りない。
さっきカードには「MP:10/50」だったのに今は「MP:0/50」になってる。
多分右の数字が魔力残量で左は最大魔力と言う事だろう。
という事は【スキルトレジャー】の使用魔力量は5ぐらいっていうことかな。
凄いカードだな、これは。これなら【ステータス】を使わずに魔力残量が分かるな。
「キヨさん、カードは落とさないように気を付けて下さいね。」
「はい、トマックさん。」
カードケースが欲しい。
取り敢えずポケットに入れておこう。
ん?
あ、あれは!?
服を来たネコが歩いてる。
二本足で歩いてるぞ!!
ネコ耳、尻尾の生えたネコ顏のマッチョ!
ネコの顏に似た人みたいな感じの本物のネコ人間だ。
「キヨさん、獣人は初めてですか?」
「初めて見ました!」
「そうですか。
彼らはここらでは珍しい存在です。
初めての方は彼らを勘違いしてしまいますが魔物ではなく同じ人です。
デレナ大森林から来る方が多いですよ。」
「そうなんですか。」
この世界は獣人がいるのか。
絶対デレナ大森林に行く。
「はい、着きました。
ここがギルドです。
左端の受付の方に登録の事を話せばいいと思いますよ。
ではキヨさん、お気を付けて。」
「はい、トマックさん。
案内してくれてありがとうございました。
バゲラさんに宜しくお願いします。」
じゃあ、入ろうか。
酒場とかを想像していたが役所みたいな所だった。
列で並んでいるのは荒くれ者としか言いようのない人達でシュールです。
ギルドの奥には数名の人がいました。多分彼らがギルドの受付員なんだろう。他の荒くれ者に絡まれたりしないよね。左端の受付は空いてるからすぐに登録が出来そうだしすぐに行こう。
「こんにちは、こちらは依頼受付、ギルド登録を担当しています。
お間違いはありませんか?」
「こんにちは。
バゲラさんの紹介で来ました。
ギルドの登録をお願いします。」
受付の方は切れ目で細身の男性でした。
真面目そうだな。
「ギルドの登録ですね。
ではカードを見せて貰ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ、お願いします。」
「はい、では失礼します。
【ステータス】」
おぉ!
この人、【ステータス】を使えるのか。
でもなんでカードを【ステータス】で見るんだ?
「犯罪歴、偽装が無い事を確認しました。」
「!?」
「ではカードの上書きをしますがよろしいでしょうか?」
「あ、あの!
なんで犯罪歴や偽装なんて分かったんですか?
それと上書きって?」
カードには載ってなかった筈。
「犯罪歴や偽装についてはスキル【ステータス】の効果です。
上書きはスキル、ランク、称号が追加されます。」
「ランクと称号?」
「ランクはクエスト、つまりギルドの発行されている依頼を達成していくと昇格されていきます。
初めのランクは1です。
ランクが10上がる時だけ別条件が加わってきます。
クエストにもランクがありランクと同じかそれ以下でなければ受ける事が出来ません。
なので高ければ高い程多くのクエストを受ける事が出来ます。
ですが問題行為などで降格される事もあります。
気を付けて下さい。
称号はその人の行動によって得られます。
通称では二つ名とも呼ばれています。
これがある方の方がクエストを優先される場合もあります。
逆に悪名とも言われる称号をお持ちの時はクエストの取り消し、ギルドの追放もありえますので行動には気を付けて下さい。
上書きをしますがよろしいですね。」
「はい、お願いします。」
受付の男性はカードを持ったまま俺を見て。
「【ステータス】上書き。
スキル、ランク、称号を追加。」
おぉ!
【ステータス】ってそんな事も出来るのかよ。
「これは・・・多才な方のようですね。
さすがですね。」
「多才ですか?」
「はい、クラス無しでスキルを得ている方は稀です。
さらに持っていても精々一つです。
スキルがある方はその系統に才能が飛び抜けて高い印と言われています。
例外として種族スキルなどその種族特有のスキルで生まれた時から持っている方もいます。
貴方はこれだけの才能を持っていると言えるでしょう。」
「そうなんですか。ではクラスとは何でしょうか?」
「クラスとはその人の才能にあった職業のことです。
クラスにもレベルがありそのクラスレベルによってスキルを得る事が出来ます。
クラスは神殿で神様から与えられるので機会があれば行く事をお勧めします。
ただしその場合神殿に寄付をする必要がありますので銅貨100枚を用意しておいて下さい。」
「分かりました。
お名前を教えてくれませんか?」
「私はシェラムレです。」
「そうですか。
ではシェラムレさん、ありがとうございました。
これからクエストを受けたいと思います。」
「お仕事ですので気にしないでください。
クエストは彼方の受付の方に聞いて下さい。」
「はい、わかりました。」
シェラムレさん、凄ぇ。
何も見ずにあんなに答えられるなんて尊敬するな。
さぁ日銭を稼ぎますか。
今空いてるのは右端のお爺さんだけか。
中央のお姉さん綺麗な人と可愛い人達だもんね。
お爺さんより女の人が人気なのか。
そういえば、・・・魔力残量が増えてる。
やっぱり時間経過で回復するのかな。
一回だけ使おう。
「【スキルトレジャー】」
《【マップ】を習得しました。》
これはディボロ様の地図から習得したスキルかな。
「こんにちは。
クエストを受けたいのですがよろしいですか?」
「おぅ、いいぞ!
クエストを受けるのか?
カードを出してくれ。」
カードを出す。
このお爺さん、なんか怖そうだな。
こう、カタギの人じゃなくて隠居した極道みたいな雰囲気がある。
うん、並びにくいな。
でもこういう見た目程優しい人が多いのが世の常さ。
「んん?
ランク1か。
なら薬草採取のクエストを受けるか?」
「はい、受けます。
ちなみに薬草はどんなものでしょうか?」
「ん?
薬草を知らんのか?
これだ、これ。」
お爺さんは後ろの棚から黄色で丸い葉を出した。
「これが薬草だ。
そのままでもすり傷程度なら治せるがこれで作った回復薬はHPを回復する事が出来る。だからどれだけあっても困らん。
この葉1枚を銅貨1枚で買い取るから出来るだけ多く採取すればいい。
ちなみに5枚でクエスト達成だぞ。」
「そうなんですか。
分かりました。
それを受けます。
それと俺は今日この街に来たのですがここらの宿賃って幾らでしょうか。」
「ん?
大体銅貨5枚だな。
なんだこの街は初めてなのか。
うちの近くに銅貨3枚の宿屋がある。
ここから離れているが良かったら紹介してやろうか?」
「お願いします!」
ほらな。
黒崎 清
【ダッシュ】レベル1
【マップ】レベル1