『マルスの壺』
「【ルーム】」
俺はカウンターの上にあった袋を全部亜空間の中に入れた。
「よし、イム!
まずは配達のクエストを一緒にするぞ。」
コクリ。
「ちょっと待ってろ。
【マップ】レベル3、『ケルノ商店』、『グラックス工房』、『マルスの壺』【ナビゲート】」
うん、ちゃんと目的地と道のりが脳内に表示されたぞ。
『ドワーフの宴』は夕方にも行くからその時に渡そう。
昼からは掃除もあるからなパッパと片付けるぜ!
あ、でも目的地はそんなに遠くないし散らばってもないな。
流石はホレルドさん、分かってるじゃん。
「こっちだ。」
俺はイムの手を引きながら歩き始めた。
まずは『マルスの壺』っていう魔道具屋が近いからそこに行こう。
でも魔道具と魔石ってどんな関係なんだ?
定番なら電気やガゾリンみたいな燃料だけどな。
ギルドからも近かったから直ぐに着いた。
なんか、看板には煙が出ている大きな鍋が描いてあった。
壺っていうより鍋だよな、アレ。
「イム、ここは魔道具屋だ。
ここに魔石を配達すればいいらしいぞ。」
俺とイムは店の中に入ってみた。
「こんにちは、ギルドからのクエストで魔石を届けに来ました。」
「はいはい!
今、手が離せないからちょっと待・・・」
バン!!
何か破裂した音と共に店の奥から黒い煙が出て来た。
「大丈夫ですか!?」
「あー!
また失敗しちゃった!!」
顔が煤だらけの中学生ぐらいの女の子が出て来た。
「あ!
魔石を届けに来たんだっけ?
魔石を出してもらってもいいかな?」
「はい、分かりました。
【ルーム】
はい、どうぞ。」
俺は亜空間を出して袋の中身を確認してからサインをもらう為の紙と一緒に渡した。
「へぇー。
空間スキル持ちなんだ。
【インベントリ】じゃないみたいだし珍しいね。
そういや見かけない顔だね。
2人は新人さん?
はい、サインを書いたよ。」
「そうですね。
まだ、登録したばかりです。」
俺はサインを書いた紙を受け取った。
「ふーん。
なら魔道具にはまだ手が出せなさそうだね。
これ、最低でも消耗品で銀貨1枚はするからね。」
「そうなんですか。
ちなみに魔道具と魔石はどんな関係が有るんですか?」
「んー?
それはひ・み・つ!
知られちゃったら商売にならないからね。」
「そうですか。
ではまた今度、魔道具が必要になったら来ます。」
「うん、じゃね!」
軽い人だな。
でもまずは一件。
「イム、次だ。」




