見た
意識の無い子供を落とさないようするのって気を使うな。
まぁ、大人でも気を使うだろうけど。
お、『リザの服屋』が見えて来たな。
そろそろ走るのを止めるか。
走り込んで来たらレニちゃんかリズィさんが驚くからな。
今日はどっちかな?
レニちゃんはまたサイズが無いって言わないだろうな。
俺のサイズは無くともこいつのサイズならあるだろ。
リズィさんが居たら服を仕立ててもらおう。
「いらっしゃい!」
「あら、キヨさんじゃない。
いらっしゃい。
今日はどんなご用かしら。」
「どんなごよう!?」
二人共いました。
「リズィさん、今日はこの子の服を買いに来ました。」
俺は背中の子供をリズィさんに見せた。
「この子の?
・・・ずいぶんと汚れてるわね。
まずはその子の体を綺麗にしましょう。
レニ、水と布を準備して。」
「はい!」
「あぁ、そうか。
このままじゃ駄目でしたね。
レニちゃん、水は俺が準備するよ。」
そうだ。
まだ泥とか付いてて汚いままだった。
「うん、分かった!」
レニちゃんは店の奥の方に行った。
「キヨさん、水を準備するって・・・。」
「スキルを使いますから。」
「?
私達も奥に行きましょ。
その子の体は店の奥で洗うわよ。」
「はい。」
俺はリズィさんに着いて行った。
奥の部屋に入ってリズィさんが俺の方を振り返った。
「その子をここに寝かせてちょうだい。」
「分かりました。
【寝台】。」
「え?」
俺はベッドを出して子供を寝かせた。
「【石】【石】レベル4。」
俺は石を出してその石を加工した。
形は洗面桶だ。
元々がソフトボールぐらいだから大きいのは出来ないな。
割れない程度に薄くしてっと。
表面はなるべく滑らかにしておこう。
なんか陶芸みたいだな。
・・・よし、出来た。
「【ウォーター】」
その石の洗面桶に水を入れた。半分ぐらいは入ったな。
「え?
なんでベッドや石が出てきたの?
それに石の形が球体から変わったよ?」
「そういうスキルですから。」
「そ、そうなの。
あ、もしかしてキヨさんってクラスが魔法使い系ですか?」
「いえ、違いますよ。
なんでそう思ったんですか?」
「いや、だって・・・。」
「おねぇちゃん、キヨさん、布を持ってきたよ!」
レニちゃんが両腕いっぱいの布を持って来てくれた。
「ありがとう、レニちゃん。
リズィさん、この子の体を綺麗にしてきますから理由は後で聞きますね。
レニちゃん、布をこっちに持って来て。」
「あ、待ってキヨさん、その子は・・・。」
俺はレニちゃんが持って来てくれた布を石の洗面桶の中の水に浸してきつく絞る。
俺は片手で子供のボロ布を捲った。
あ。
「あー、おんなのこだ!」
「その子、女の子みたいですから私が拭きますって言おうとしたんですよ。
キヨさん、代わってください。
後、部屋から出て。」
「あー、はい。」
俺はすごすごと部屋から出た。
いや、リズィさん、よくあの子供が女の子って分かったな。
俺は髪が短かったから男の子だと思ってたのにな。
ばっちり見ちまった。
あぁ、リズィさんの顔は変わらず笑顔なのにあの冷たい目は怖かったな。
俺が悪いのかな?
「【スキルトレジャー】」
《【イビル】を習得しました。》
あ、俺が悪かったみたい。
すいませんでした。
黒崎 清
【イビル】レベル1




