正直に答えて
俺は大量の薬草を出した部屋とは別の所に連れて来られた。
大きなソファーが向かい合うように置かれその間にテーブル、周りの装飾品は花瓶や棚やらは上品そうな物ばかりだ。
応接間だと思うけどここって、偉い人が入るような部屋じゃないの?
俺、そんなに偉くないぞ、場違いだぞ。
「ではこちらに座って下さい。」
「はい。」
俺が座るとその前にシェルムレさんが座った。
「それでは今からいくつか確認をします。
答え難い質問であれば答えなくてもいいです。
宜しいですか?」
「はい、分かりました。」
「それでは、まずは貴方はギルド登録時から短時間でスキルが増えています。
これはユニークスキルの効果ですか?」
えっと、正直に答えた方がいいのか?
ディボロ様から貰いましたって、言うのか?
信じて貰えるかな?
あー、でもゲームみたいな世界だから神様が実在しててもおかしくないのか?
・・・ディボロ様がどんな立場なのか分からないから迂闊に話せないな。
誤魔化せるだけ誤魔化してみるか。
でももしかしたら嘘発見器みたいなスキルがあるかもしれないな。
注意しよ。
「はい、そうです。」
これは本当。
【スキルトレジャー】がユニークスキルだと思うし、その効果で他のスキルを習得した。
「貴方は今、クラスを持っていないようですが、今まででクラスをお持ちした事はありますか?」
「はい、ありません。」
これも本当。
クラスは今も無し。
教会で貰えるらしいから近い内に貰いに行きたいな。
あ、寄付金がいるみたいだからお金を準備しないとな、いくらだっけな?
「貴方はスキルオーブでスキルを覚えた事はありますか?」
「はい、ありません。」
これも本当。
そもそもスキルオーブをまだ見たことも無いからな。
見つけたらすぐに【スキルトレジャー】でスキルを習得しよう。
「分かりました。
最後にカードを更新させて貰って宜しいですか?
カードに記載されていないスキルがあると要らぬ疑いを受けてしまいますから。」
「分かりました。
どうぞ。」
俺はカードをシェルムレさんに渡した。
にしても拍子抜けたな。
もっと、こう、スパイゲームみたいな応答があると思ったけどな。
「カードをお返しします。
それではまた後日に呼ぶ事がありますのでその時にお知らせします。」
あ、これで終わりじゃないの。
そっか、ホレルドさんが国からの人が来るって言っていたからシェルムレさんが調べる訳じゃないのか。
〜 〜 〜 〜 〜
俺はギルドを後にして門に向かった。
新しく手に入ったスキルの検証の為だ。
本当は薬草を取った後、直ぐにしたかったがバゲラさんが鬼の様な顔で見ていたのですぐにギルドに向かいました。
バゲラさん、ちょっとギルド行くのが遅くなってもいいと思うんですけど。
でも、後日また調べられるのか、悪いようにならないといいんだけどな。
「【スキルトレジャー】」
《【ホーネスト】を習得しました。》
まぁ、その時になったら分かるだろう。
さて門にも着いたし外に出てスキルの検証でもしようかな。
「おい、なんでまた外に出ようとしてるんだ、お前?」
あ、バゲラさんが仁王立ちで門の前に立っている。
まるで髭の長い仁王像だな。
バゲラさんにも報告した事を伝えておこう。
「バゲラさん、ちゃんとユニークスキルの事を伝えましたよ。
今からスキルの試し打ちをしに来ました。」
「ふむ、そうか。
危険な事はするなよ。」
「はい。」
危険があるか確かめるだけです。
黒崎 清
【ホーネスト】レベル1




