ちびっ子
「【マップ】レベル3。」
脳内に地図が浮かぶ。
俺がいると思われる所には逆三角錐のような白い物が表示されていた。
これが自分の位置が分かるって効果か。
選択条件はどうやって設定すればいいんだ?
「条件は最寄りの孤児院。」
お!
声に出したのは正解のようだ。
地図が縮小していって黄色い逆三角錐が表示された。
脳内の地図に従って歩いていく。
人に当たらないように気を付けていく。
なんか歩きスマホに似た感覚だ。
そうして歩いていくと孤児院に着いた。
俺は孤児院の扉を開けた。
「メルサちゃん、ちびっこ共、来たぞー。」
「えるふだ!」
「あそぼ!
あそぼ!」
「誰だ?」
メルサちゃんは居なかった。
代わりに顔に大きな傷がある茶髪で褐色の人間の女性が居た。
その女性はちびっ子を両脇に抱えていて俺の方を見ていた。
「初めまして。
俺は黒崎 清です。」
俺は近寄って来たちびっ子の頭を撫でたり片手で抱きしめたりしながら答えた。
あ、撫でた方が笑った。
めっちゃ笑顔が可愛い!!
「そうか。
お前がメルサの言っていた奴か。
本当に痩せ過ぎたエルフみたいだな。
私はバロッサだ。
丁度良い、こいつらの面倒みるの手伝え。
私だけじゃ手が足りないからな。
ほら、あいつがなんかしてくれるらしいぞ。
行って来い。」
いいんですか!?
俺にこの子達を任せても!?
「えるふさん、おはなし、して。」
一人の女の子がそう頼んできた。
毛がふさふさ生えてて獣耳と尻尾があるから獣人の子かな?
昨日の約束だな。
「よし!
じゃあお話をしようか。
どこで聞きたい?」
「こっち、こっち!」
服を引っ張る姿、可愛い。
〜 〜 〜 〜 〜
「だ、る、ま、さ、ん、が、転んだ。」
俺は素早く振り返った。
誰も動かない。
もう近くまで来ている。
「だ」
「たっち!!
かった〜!」
負けた。
最後の一人だったのに。
獣人恐るべし。
俺は桃太郎、一寸法師などの日本の昔話、シンデレラや赤ずきんのグリム童話などを話した。
ちびっ子達は聞いた事の無い話を嬉しそうに聞いてくれた。
その後は質問攻めにあった。
子供故の純粋な疑問だから答えるのは簡単だったが数が多かった。
その後にちびっ子の名前を聞いた。
人間の男の子はグド、カラボ、ルック。女の子はペティー、アルニ、レナ。そして唯一の獣人の女の子はルーチェという名前だった。
名前を聞いた後は孤児院の中庭で鬼ごっこをしたり今のように達磨さんが転んだをしたりしていた。
ルーチェちゃんは体を動かすのが得意な様で途中から本気を出した俺でも負けてしまった。
どうやら獣人は身体能力が高いらしい。
俺はその後もバロッサさんに呼び掛けられるまでちびっ子達と遊んだ。
俺はもうどんな事があっても乗り切れそうな気がする。
ちびっ子達は疲れたようなので昼寝らしい。
一緒に寝てはダメだろうか?
「悪かったね。
子供達の世話は疲れただろ。
助かったよ。
ありがとう。」
「いえ、気にしないで下さい。」
「それにしてもあんた、結構子供に好かれていたじゃないか。
これからも遊びに来な、歓迎するよ。」
言質、いただきました。
「はい、これからも宜しくお願いします。」
「バロッサさん、只今戻りました。
あっ、キヨさん来ていたんですね。」
バロッサさんと話しているとメルサちゃんが帰って来たようだ。
「あぁ、昨日約束していたからな。」
あ、メルサちゃんが笑ったよ
「そうですか。
キヨさん、ありがとうございます。」
「どういたしまして。
それでは俺はこれで失礼します。」
「もう帰るのか?」
「はい」
「そうか、じゃあな。」
「キヨさん、また来て下さいね。」
俺は孤児院から出た。
今日は最高だった。
これってなんかスキル習得出来るかな?
「【スキルトレジャー】」
《【ハッピー】を習得しました。》
やった。
黒崎 清
【ハッピー】レベル1




