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しかし突然失速して、今度は急激に落下し始める。
しかし突然失速して、上へ引っ張られ始めてそうなってゆくかと思えばまた急激に落下し、突然上へ引っ張られ始めて失速する。失速したかと思えば今度は突然落下し始める。そしてまた上へ引っ張られ始めて失速。突然落下し始める。上へ引っ張られて失速してはまた突然の落下が始まる。
囁くように笑う女の子の声まで聞こえる気がしてきた。
腹が立つ。
揺さぶられている。自分の内側だけがグワングワンと。
ふはっ、とまた聞こえてきた。囁き声のような笑い声が愉快そうに。
涙が出てくる。
気のせいだと思う。
目を閉めて思い込む。気のせいだとっ。ちくしょうッ。
今度は人形を振り回すように扱うのかよッ!!
フフフ。
はたと感覚がしなくなった。
目を開けたら今度は目の前が真っ白の氷だ。微かな引っかき傷の影があるようにも見える。両手と両膝に刺さるような冷たさ。
ハ、と顔を上げて見渡したら、本来そうなっているはずの景色に戻っているのが分かった。それは白い氷の床がちゃんとある景色。それは今見える景色。元に戻っている。
本当に?
やたらと確認したくなる。フフフフ。
しかし、それに気を取られていられない。気を取られるよりも、確かめなくてはならない。防爆ガラスの壁の方へ駆け出した。少しして行き着く。濃淡のある葉緑の海が、時間の止まった波のような流れも作ってそこにある。
おかしい。
濃淡のある葉緑と桜色と、枝のない木々が混ざり合った景色が、最奥の海原の手前にあるはずだ。これじゃあまるで夏に見る景色じゃないか。
ヒ。




