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それもここのスケートリンクが広すぎるせいだ。鬼ごっこのように走り回るのではいつまで経っても勝負が決まらない。だから四人で一斉に願った。そうしてスケートリンクを囲う透明な仕切りの付近を競争路として、その中でのみ通常の三倍の速さを上限として追いかけたり、逆走したりすることしかできないように設定した。当然、体が壊れないようにも設定してある。
そして捕まった人は強制的にトラックの内側に追いやられて、決着をつけなくてはならなくなる。〝あれ〟で、〝チェンジ〟の決着をつけるのだ。
心臓がバグバグ、落ち着かない。
ごめんなさい……、とかすれ消えそうな藤谷の声が聞こえた気がして、顔を上げる。
ちょうど藤谷のだいぶ後ろで、残像が一瞬で左へ消えるのが見えた。
「私、そんな……脅かすなんてしたいんじゃ……」そして少し俯く藤谷が、今にも泣きそうだ。
……いや……正直なところ。
目つぶしを仕掛けてきた時の藤谷は真顔だったし、背も僕より少し小さいから目線より上のボタンを押すような感じだった。しかも無言でやってきた。まるで幼稚園児がアリを踏み殺すような無邪気さである。顔も小さいからなおさらだ。
ものすごい不安。
どっかで恨み買ったなんかないよね?
と思うに至ったが、いやそこまではないなと、内心で頭を振った。
むしろ、あってたまるかだ。
藤谷のおかげでみんなと、繋がることができたのだから。
どうして恨みを買うなんてできるよ。
うん。
だだだだだだいじょうだ大丈丈天と冷や汗が治まりそうもない中でふと、目を合わせてきた藤谷があうわうと口を動かしながら「わ、わ、わわ、」と言ってくる。
「わ、たっ、しも、ってだけで……。櫻も祐樹も、真向だって始めたら、目潰し仕掛け合って避け合って、『やっぱやるよなー』って感じいつも、やってるから……私も、ってだけで……」
あーやっぱ、そうっすよねーとため息が深く漏れ出た。だら〜と肩の力が抜けた感じもする。
罪悪だって少し感じた。藤谷が後ろめたそうに目を細めて、目元に薄い影を作っているから。
「でも……なぁ……」ちょっと思いがけなかった。
なぜだか分からない。お淑やかだからなのか。祐樹も幸生も、藤谷のことをそうだと言っていた。僕もその通りだと思っている。
……だからなのかも分からない。
「やっぱ、……藤谷はちょっと、違うって、いうか……似合わないって、いうか……」
「……そんな、ことない。やらなきゃやらないで、度胸なしみたいじゃんっ」
「そういうことじゃなくってさ……冗談とは思えなくて」




