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その両手はまるでヘッドホンを握っている。体の向きも斜め右を向いたり斜め左へ向いたりしながら縦に振っている。
ムカつく。カチンときた時には駆け出していた。とはいえまるで風になったかのような加速を感じる。腹が立ちながらも、その加速感を心地よく感じられた。なんだか真向から叫ばれた気がするが勢いに全身を委ねる。そして祐樹のその土手っ腹に飛び蹴りを食らわせた。その時も爽快な手応えを感じる。
祐樹がぶっ飛んでゆく。それなのに、その割には大笑いをしていた。そして確かに聞こえた言葉の意味がすぐに分からなかった。
反則だあと言った祐樹の言葉。
…………ウソえしょ?
サー、となる感覚。血液が全て白い氷の床へ吸い込まれたかのように感じるほど。ヤバい。ヤバいヤバいヤバいゔわああ、ゔわあああああああこれはないっ、これはないよ順序間違えてんじゃんそうだよ選曲中に攻撃するのは卑怯だって反則じゃないかっ。
お互いが構えないと始まらないんじゃないか!




