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「真向まで入ってくんな! それにそぉゆぅお前は何様だってんだよッ、ぶっ飛ばし甲斐が高まっちゃう」
「あ? なに、どーしてもウチをぶっ飛ばしたいの?」
「真向じゃねぇよ!! 最初ちょっと真向の方向いちゃったけど! けどそれにのとこから俺櫻の方向いてなかった!?」
「いやぁー聞いてた感じだとウチに言ってたんだけどねぇ」
「というかそうにしか聞こえないし」
「藤谷さん!?」
と祐樹が言ってからも三人が騒ぐように言い合っている。多分、真向も藤谷もそうやってやらない方向に持っていきたいのだろう。
僕もその方がいいと、今なら切実に思う。クズだろうがクソだろうがどうでもいい。さっさと帰りたい。こんな空気になったからもう帰ろうって流れになって、そして無事に退空間移動して帰宅する。そんな流れになってくれとも思う。
恐い。
また囁かれているのだ。途切れ途切れで、笑い声が、右からだったり左からだったり。
絶対僕を見て楽しんでいる。僕の周りをクルクル回りながら。
遊ばれている。
ちくしょうっ。
ちくしょう黙れッ。
黙れッ! 黙れえ!!
「黙れぇえええええええええッ!!」
それはエコーが利いているように、それほど響き渡った。
思わず閉めていた目を開けると、みんなが目を見開いてこっちを見てきている。どれほど響いたか分かるほど。
背筋が凍るのを感じる。やってしまった。
背筋が凍るのを感じる。
「……どうして……」と真向が、消え入りそうな声で言った。
僕だってどうしてだよと思う。無意識に眉根が寄って、歯も食いしばっている。
もう後戻りはできない。
「つべこべ言ってねぇでさっさと調印しろってんだよ!!」
睨みつけてやる。祐樹へ下から凄んで睨みつけやる。
もういい。早くしやがれ。
「フフフ……」と祐樹が忍び笑いをしてきやがる。こんな時に。
早くしてほしいのに、同じ笑い方もしてくるなっ。
それになんでなにも言わないんだよッ。
嫌だ。
考えさせるな。
「どうしたよ。さっきからなんかおかしいぜ?」と祐樹が薄笑いを浮かべてきた。
両目が熱くなってきた気がする。
「もしかしてなにか隠してんの?」
ビクッとまた心臓が跳ね上がった。




