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魔法使いの空間には侵入の機能がないのはもちろんだ。乱入の機能もない。知らないうちに入退空間移動されることもない。予め決められた人しか、ここにいることはできない。
口の中がベタベタする。渇いている。喉も渇くほど。
しかし、ここで不安を口にしたってただ余計に話をこじらすだけだ。「な……に、」と声を絞り出す。
「今度は僕を、女扱いかい? それとも女性を下に見てんの?」
「櫻こそなんだ。見た目だけで言っただけなのにオーバーに言いやがるな!」
グッと声が出かかったのにまた、詰まったように出ない。絞り出す。
「お、女って言葉を都合よく使い分けするからだろ!? よくも」まただ。
またきた。
「フハハハっ」と耳元で囁かれた。聞き覚えのない女の子の声で。
目眩がしたかのように視界がぐらつく。
しかし「おいおい、よくも、なんだっていうんだあ!?」と呆れたように吐き捨ててきた祐樹の怒鳴り声で、目が覚めたような感覚を受けた。
「よくもっ、……女性をおもちゃにできるよなっつってんだよっ。八杜の国を支えているのは女性だってのに!」
「そうよ変態!」




