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『引き分けの場合は男女両方から一際大きな炸裂音が鳴ります。服は裂けません。バブルのみが破裂しますがその代わりに』巨大な残像が目と鼻の先で左から右へ通過した。「わああ!」と仰け反った時にはとっくに通過されていた。藤谷の「ひあっ!」も一緒に聞こえた気がする。そんな気がしながら後ろへバランスが崩れそうになった。
やばい。
目の前でブンとオオスズメバチが過ぎった時のものとはえらく違う。後少し前にいたら鼻を持ってゆかれたかもしれない。半透明の触押板も消えてなくなっている。
しかし今、復活した。
いや、復活とは違う奴。
こいつはなんて新しい奴だ。
『すでに荒ぶるお客様二名様のXバブル喧嘩の調印が確認され、開戦されて数分が経つのですが、実はあなたの方にも参戦権があります。どうなさいますか?』と、小さい黒板に書かれたようなそれの下に、YESかNOかHOかの選択肢が表れている。カーソルは見当たらない。
そんなばかなだ。ここでYESにしたら、とばっちりみたいじゃないかと僕は思う。止めに入ればさらなる逆鱗を二人分相手にせにゃならんだろう。指先をNOと映る光の面へ触れた。
小さい黒板に書かれたそれが切り替わる。
『そんなバカなっ。じゃあこの雄々しく活気に溢れてぶつかり合っている気配の中、柵もないのに観客でいやがる気なんですか! 私の役目終わっちゃったし! 一体どうすればッ』
しかも選択肢が三つ、なにを言っているのか分からない。『ご飯 』だし。
『お風呂』だし。『ぎっしりあんこ』って!
知ったことかあ! と胸中で叫ぶも優勢の好奇心。『ぎっしりあんこ』を選んでみた。
『その通り。男の子なんだから、ケンカとか争いなんかよりもエッチな話で盛り上がればいいじゃない』
三つの選択肢は全部『わっしょい』だった。「だぁああちくしょお!」




