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真向が今度は、最上段最後部席で大跳躍したと思えば防爆ガラス天井を滑ってゆくし。
その中でやっと祐樹の叫びが遠くから聞こえてきて情けない。「ちくしょおおおおおッ!!」が泣いている。「埒があかないよお!!」が雑魚っぽい。その割にはバガア!! と二階席の中段あたりを突き破り、斜め上のライナーで防爆ガラスを目指す。
なんと真向が「いやだぁあああああ!」と本当に嫌そうにしているのに祐樹の方へ跳んだ。跳びながら祐樹へ振り上げた右脚。踵落とし。そのタイミングはばっちりであった。
バゴッと白い氷の床に祐樹の大の字シルエットの穴が空く。
僕は目を疑った。思考も忘れて。
……空気も死んでいる。
音もない。冷たくもない静寂の間。
それは「あ」と真向が我に返ったことでぶった切られた。
それはただの二度目であるだけなのに、僕にとってはきっかけにもなった。電撃を食らったかのように危機感を抱くきっかけ。思わず祐樹の名を叫んでいるほどの。「ばかあああああ!!」と藤谷の絶叫まで炸裂する。それは自分の声以上だ。言っていることがよく解る。




