__________________
「いた、く……ぇ!? なんともない!?」と驚愕もする。
それはこっちのセリフだという気持ちを、ここまで感じるとは思わなかった。
しかし心臓がバクバクしている。本当にただ事で済んだっていうのかよ!
普通なら完璧に、腕とか肩とかの関節が外れている。本当に死んだかと思うほど人形のようにだらりと、ピクリとも動かず気絶しているはずだ。いや、本当に死んでいてもおかしくない。意識があってもとんでもない激痛で悶えることすらできないのかもしれない。
ふと、服の右腕を掴まれた。
見てみると、掴んだ本人は藤谷で、震えそうなほど真向を見ながら不安そうに掴んでいる。
はらはらする感覚が酷くなったように感じるのは、藤谷の不安まで染ったからかもしれない。本当に大丈夫なのかよと僕も、身震いが起きそうな中、真向へ視界を戻した。
真向はまだ呆けているように目線を落としたままでいる。
バン! とガン! が一つになって鳴った音が祐樹の方から鼓膜を殴ってきた。
いいタイミングかのように、祐樹がまた、低空飛行の弾丸となって真向に急接近してゆく。
ハッ、と最悪な予感に凄まじい鳥肌が立った。
叫んでいた。「やめろぉぉおおおお!!」と。しかし、祐樹が一瞬で身を翻しながら、怯える真向の腕を乱暴に掴んだ。「そーらそらっ!!」と逆方向へぶん投げて背中を仕切りにぶつける。
真向がまた絶叫しながら、今度は大の字で弾丸となった。そしてついにまた右の仕切りに、バウンドするほど背中をぶつけてまた除夜の鐘が鳴ったような音が鳴った。バウンドの仕方がトランポリンで跳ね返ったかのようだった。
それでも真向はもう悲鳴を上げなかった。さらには軽やかに白い氷の床へ着地して、二三歩よろめくだけで済んでいる。
とはいえ、真向はまさに放心状態となっている。




