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リニアモーターカーが通過するのを白線の外側で目の当たりにしたかのようだった。あまりの突風で少し後ろに飛ばされながら尻もちをついてしまう。ゴンッと体の内側で衝撃が響いたのは痛くない、というのに激痛がきた気がして顔が「いッ」となった。体の正面も隣に向いたので藤谷も向かい合っている。藤谷も同じく尻もちをついたのが見える。
しかし真向は祐樹に持っていかれた。「ひぇあああぁぁあぁあああ!!」と真向が悲鳴を上げる中で「そーらそらあ!」と祐樹が一層怒り心頭に発する。
ハッとその方へ顔を向けるとちょうど、祐樹が真向をグワングワン振り回している。
その振り回し方は、お花畑で彼氏が恋人と両手で掴み合いながら恋人が宙に浮くほど回っているのを、ハンマー投げ並に激しくしている振り回し方。腕とか肩とかの関節が外れていてもおかしくないほどだ。真向の悲鳴もさらに激しくなっている。真向がものすごく恐がっている。
なのに祐樹はやめない。やめようともしない。
ついに真向が声を震わせながら叫んでも、止まない。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!!」
「なにが、ごめんよっ。ここまでされてやっと謝る気になる奴なのかよッ」
「違う! 本当にっ、本当にっ!」
「やられるのが怖くて言ってるだけじゃねぇのか!?」
「そんなことないよっ。本当に!」
「おーきっとそうなんだろうね! けどなあッ!! さっきのだけは許せねぇぞッ!!」
そう、祐樹が言い切った時、信じられなかった。真向を左へぶん投げるとは思わなかった。
足裏を先頭にして真向が弾丸となって飛んでゆく。喉を潰さんばかりに絶叫しながら、徐々に体が縦回転してゆく。そして頭が先頭になった時に透明な仕切りへ頭を思いっきりぶつけた。
それと同時にである。なぜか除夜の鐘が鳴りやがった。
しかし真向の方はそんな音では済まされない。鐘が鳴り始めてからもすぐに落ちないでいるほどなのだ。そして今スケートリンクに落ちた。ただ事ではない勢いで、頭頂を押さえながら大口も開けた。「痛ぁあああああぁ……れ?」と。
いきなり我に返ったように平然となった。頭を押さえたまま。




