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 なのに、奈袴(なばかま)が、相も変わらず嘲笑(あざわら)ってくる。

 ついに頭がおかしくなったんじゃないかと思った。

 こっちは可笑しくて、笑いがこみ上げてくる。そのまま笑ってやられればいいと思った。

 いい気味だ。笑っているうちに終わらせてやる。

 そう思って、――視界が(にじ)み出した。

 そして今こそ握り潰してやろう。

 ――食いしばり過ぎて歯がギリリと(こす)れてしまう。

 ずっとそうしたかったことだ。

 ――涙が落ちていっているのが分かる。

 笑いは止まらない。

 ――それに反して嗚咽(おえつ)まで出てきてしまう。

 両手に力を入れられない。力が入らない、もう。

 ……ちくしょうっ。

 腹が立つ。腹が立つ。こうなるって、とっくに分かっていたんだろうが。

 笑いが込み上げてきた時からもそう。首を()める時からもそう。

 だから力が入らなくなったんだ。いくら首を絞めようが無駄だというのを分かっていたから。

 今ここでやっても、何度もやったってあいつが、本当にやられるわけではないのだ。

 頭の中でやり返しているだけなのだから。

 今も天井裏で笑って見下しているに違いない。いくらこうしたって最後は(むな)しくなるだけだ。

 ……だからって現実(あっち)であいつの前に立ったって、なんにもできやしないんだっ。

 ちくしょぉっ。ちくしょおっ。今のここの僕も、あの頃の僕なんだろう!? 裏切ったみんなも奈袴のそばにいるんだろう!?

 腹の底がねじ切れそうだ。

 目が辛いくらい熱い。涙のせいだ。

 ちくしょぉっ。

 誰もいない。

 誰もいなくなった。今じゃiCPC(ケイタイ)なんて、無駄ばっかり備わったゲーム機だ。

 ――あいつのせいでっ!

 ずっと気づかなかった。

 そういえばずっと、後ろから聞こえていた。

 柔らかくて、静かな感じだが(りん)としていて、聞いたことのある声。同級生の女の子の、……名前が出てこない。

 でも前にみんなと一緒に遊んだことがある。それは勘違いではない。確かなことだ。

 声だけではなかった。言葉も投げかけてくれている。確かに覚えている言葉。その時だけは無駄だらけのゲーム機ではなくて、ちゃんと携帯していてよかったと思えた。そのiCPC(アイスィーピース)の、スピーカー(じゅわき)越しから投げかけてくれた言葉。

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